読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

2016年映画ランキング

 新年あけましておめでとうございます……なんて書き出しで書いていたのに、ああでもないこうでもないとダラダラしてたらもう2月。ああ! ……ともかく、2017年もよろしくお願いいたします。

※注意※

・映画館で見たから、本数を見たから偉いという訳ではないですし、このランキングが絶対という訳ではありません。感想含め、あくまで僕の主観です。

・このランキングは「現時点で振り返ってみると大体こんな感じ」という程度の気軽さでつけています。今後順位が上下する事は大いに有り得る、大雑把なランキングであるという事をご承知ください。

寸評中にはネタバレも含まれますので、ご了承ください。

 

 

 

◆2016年ランキング

1:オデッセイ
2:ちはやふる 上の句
3:この世界の片隅に
4:君の名は。
5:シン・ゴジラ
6:バットマンvsスーパーマン ジャスティスの誕生
7:同級生
8:ローグ・ワン スター・ウォーズストーリー
9:レヴェナント 蘇りし者
10:クリムゾン・ピーク
11:ブリッジ・オブ・スパイ
12:ちはやふる 下の句
13:ドント・ブリーズ
14:アイアムアヒーロー
15:帰ってきたヒトラー
16:デッドプール
17:ロスト・バケーション
18:傷物語 Ⅱ 熱血篇
19:ザ・ウォーク
20:ボーダーライン
21:シビル・ウォー キャプテン・アメリカ
22:スター・トレック BEYOND
23:X-MEN アポカリプス
24:ズートピア
25:HiGH & LOW THE MOVIE
26:聲の形
27:傷物語 Ⅰ 鉄血篇
28:エンド・オブ・キングダム
29:ミュータント・ニンジャ・タートルズ 影(シャドウズ)
30:マダム・フローレンス! 夢見るふたり
31:HiGH & LOW THE RED RAIN
32:SHERLOCK 忌まわしき花嫁
33:ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅
34:ルーム
35:スーサイド・スクワッド
36:ジャック・リーチャー NEVER GO BACK
37:ゴーストバスターズ
38:殿、利息でござる!
39:ザ・ブリザード
40:劇場版 ガールズ&パンツァー
41:バイオハザード ザ・ファイナル
42:グランド・イリュージョン 見破られたトリック
43:ドラゴン・ブレイド
44:ジェイソン・ボーン
45:貞子vs伽倻子
46:Mr.ホームズ 名探偵最後の事件
47:インフェルノ
48:超高速!参勤交代リターンズ
49:アウトバーン
50:KING OF PRISM by PrettyRhythm
51:ポッピンQ
52:白鯨との戦い
53:インデペンデンス・デイ リサージェンス

 

 

 

 

◆寸評

1位:オデッセイ

 面白かった! リドリー・スコット作品で一番好きかも。

 深刻な状況にたっぷりハラハラさせられるんだけれど、冗談を忘れぬ不屈の男、主人公のマーク・ワトニーとノリのイイ70’sソング、そして他の宇宙パニックものの漆黒の闇とは違う、火星の赤々とした景色が物語を陰鬱しすぎないのも良し。

 火星に取り残されるという絶望的状況を、知恵と工夫のDIY精神で乗り切る主人公。トライ&エラー&ネバーギブアップ&トライ、みたいな。生き延びるために学び、挑み、戦え! さすれば道は開かれん。見せてやるぜ、人のみが持つ無限の可能性を!

 これはリドリー・スコット監督の人生訓作品だ、と考えるのは安易かしら。でも、熱い心意気を受け取った気がするんですよね。なんだよリドリー、今までの作品観てたら、アンタは人間の事嫌いなんだと思ってたけど、こんな素敵な人間賛歌を作り出すなんて! 疲れた大人も子供もこれを見な! 俺たちはこれからも学び、挑んでいくんだぜ! EDのグロリア・ゲイナーの『I Will Survive』に涙、涙。

♪I'll stay alive.(私は生き続ける)

♪I've got all my life to live.(生きるための人生があり)

♪I've got all my love to give.(誰かに捧げる愛があるのよ)

 


2位:ちはやふる 上の句

  2時間という限られた時間なので、オミットされている点は多々あるけれど、一つの映画作品としては全く問題なし。むしろ原作漫画、あるいはアニメを超えてさえいるのが、キモのかるたシーン。

 読まれる上の句……一体下の句は何だ? ……張り詰めた緊張が空間に凝縮され、それが極に達した時、決まり字が読まれる……刹那、交差する視線と視線、手と手、響く快音! 取られた札が勢い良く舞い散る! 競技? いやいやこのエクストリームかるたは戦いだよ! 剣豪同士の決闘だ! 冒頭からかように、競技かるたの醍醐味を堂々真正面から観客にカマしてくれるので、一気に引き込まれます。緊張と開放の使い方が凄く上手。原作でもアニメでも、言うちゃ悪いけどこんなにかるたシーンに説得力はなかった。リアルな肉体の力強い躍動と演出が創りだす妙!

 キャラクターをみんな魅力的に描いてくれてるんですよね。特に太一の葛藤を丁寧に描き、クライマックスの試合でそれを解消し、理由ありきの勝利にしてくれるので、カタルシスが爆発するんですよね。原作に無い、太一の「運の無さ」の理由描写の洒脱さ。ぺらぺら喋らせてお涙頂戴にしないのも良い。机くんの「必要とされた事なんてなかった」のくだりも泣けるなぁ。

 青春映画、そして漫画実写化映画の傑作だと思います。漫画やアニメで実写化して、良かった作品なんてない? じゃこれ観よう! 

 


3位:この世界の片隅に

 昭和初期の広島。戦時中と言い条、人は毎日ご飯を食べ、働き、笑い……主人公・すずの愛すべきパーソナリティーも相まって、描かれる日常の細やかなおかしみや喜びにぐいぐい引き込まれる。

 しかしのんびりふんわりと生きてきた彼女も戦火をこうむり、大きな喪失を味わう。すると彼女は今まで殆ど見せなかった感情を見せ始めるようになる。この世界は残酷だ。少女はいつまでも少女でいられない。訪れる大きなカタストロフに、大きな世界の転換。しかしそれでも日常は続く。喜怒哀楽を受け入れ、“居場所”で生きていく。その生きていくという事の肯定と輝きに満ちたエンディング(原作補完までしてくれた!)、素晴らしかったです。

 よく「泣ける!」と評される本作ですが、僕は物語の中で起こっている事については泣けなかったんですよ。でも終盤、スクリーンの中で生きている・生きていくすず達を観ていて、「ああそうだよな、こうした人達が営みを繰り返して、昔から今に繋いできたんだな」とふと急に実感として思えてしまい、そうしたらなんだか涙が湧き出してきてねぇ。僕はこの歳でまだ何も受け継がせてない・残してない人間なので(それは人それぞれで、恥とか義務を果たしてないとかそういう事でもないとも思うけれど)、そういう事を果たしている人への尊敬と感謝を、若い頃よりも感じるようになった今の自分にはね、なんだか響いたんですよ。

 すずさんを演じるのは、能年玲奈こと、のんさん。冒頭にある、すずさんのモノローグ「よく周りにボーッとしてると言われる」の一言の鈍くさそうな感じといったら! 描かれる細やかな感情の機微をきっちり表現できるのですもの、女優ですわ! 色々ご事情あるようですが、今後のご活躍を願うばかり。

 暖かで愛らしい絵に、のんさんの確かな演技がのったすずさん。ぶっちゃけね、萌えます。これはかわいい! 僕結婚願望あんまり無いんだけど、すずさんはいいなーと、こう…ね!  そしたら片淵監督が「配偶者がほしくなる映画」を目指しました。とつぶやかれるのだものw まんまとのせられましたわー(笑) 本当すずさん、守ってあげたいし、終盤の成長した姿も素敵。もっと萌え視点でも語られるべきですよこの作品!

 


4位:君の名は。

 SFを下地に、時間や空間、さまざまな距離のもとに思いが交錯する男女の物語、というのが新海誠監督作品の持ち味。ビターな結末が多いというのも、その一つですね。

 新海誠作品はその持ち味に惹かれた熱心なファンを獲得していますが、どこかマイナーだったように思われます。所謂メジャーなエンタメとは言い難いものだったというか。しかしこの『君の名は。』は、新海監督の持ち味を存分に発揮させた集大成とも言える作品ながらも、メジャーエンタメ作品として通用する普遍性・大衆性を持ちあわせているというのは、今更僕が言うまでもないでしょう。

  入れ替わりものとしての物語が続く中盤までは、物語としてそこまで新海色は出ていおらず、肩透かしをくらったよう思えますが……。瀧と三葉の入れ替わりに三年のタイムラグがあり、彗星の落下で既に三葉は死んでいた、という急展開。一気に物語の景色が変わるサプライズから新海マジックが爆発! 宮水神社のご神体のある山頂で、誰そ彼の光の中、時間と空間を越え、思いが繋がる!

  ……の後も話は続くんだよ今回は! てっきりここで思いは繋がるもやはり二人は元に戻り、結局糸守町の住人は全滅だと思ったもの。そこからちゃんと物語を続け、三葉の奮闘、二人の分かたれた切ない思いをさんざん見せつけ、「どーなるどーなる?」と僕らを散々悶々とさせながら溜めを作った上で、さらに歩道橋の上で一回すれ違わせておいてかーらーのー、因縁の電車でのすれ違いによる再開だもの! こーれはキモチイイよフゥーゥ! で、タイトルに繋がる二人のあの台詞だもの。カタルシス爆発!

 これ!この皆をちゃんと楽しませるサービス業としてのエンタメですよ。しかも前述の通り、誰が観ても新海誠作品だわ!って納得させた上でですよ! 新海さんの作品は好きですが、明確なハッピーエンドの作品も見たいと熱望してた僕には嬉しい限り。

 「君もいつかちゃんと、幸せになりなさい。」という奥寺先輩の台詞がありましたが、それはお話の帰結としてだけでなく、この作品自体もお客さんに愛される幸せな作品になったんじゃないでしょうか(奥手な人ばかりの田舎の劇場で、まさかの拍手が起きた!)。この言葉は監督から観客へのメッセージであり、願いでもあるのでしょう。

 


5位:シン・ゴジラ

 今までのシリーズより、リアリティーの度合いをグッと上げて、ゴジラ日本上陸という大事件を対処したり、翻弄されたりする人間の様を描いた作品。『突入せよ!あさま山荘事件』と『プロジェクトX』を足したようなというか。テンポがよく、そこかしこにおかしさすらある会議シーンは楽し。巨大怪獣もし上陸したならば、というシミュレーションを入念に追求してやってくれるものだから、(東日本大震災というモチーフがあるとはいえ)あっ、そうか実際はこうなるよなぁ、この絵は怪獣映画で観たことないなぁという新鮮なショットが散見されたのが嬉しいですね。

 シリーズ中最凶最悪だと感じさせてくれる暴君・ゴジラが、東京を蹂躙し、破壊し尽くす様には絶望させられましたし、「でも、やるんだよ!前に進む他ないんだよ!」と、その絶望に対抗する日本人の奮闘には、グッと来ましたね。

 いわゆる一般的な「怪獣映画」のイメージとは違う変化球だとは思うのですが、しかしゴジラは作品全体を支配し続けており。やはりこれ立派な怪獣映画でしょう。面白かった! この手はこの作品でしか使えない、次同じ事はちょっとやれない一度きりの魔法のような作品だと思いました。

 


6位:バットマンvsスーパーマン ジャスティスの誕生

 やっぱり僕はザックが作る画面が好きだよー! アメコミが動いたらこうなるんだろうな、と膝を打つシーン多数。劇場のスクリーン映えしていて、これぞ映画館で映画を観る醍醐味だなァ。この映画、粗はいっぱいあるのは承知なんだけど、痺れる絵面がズバスバ出て来るので好きなんですよ。「ああ、あのシーン格好良かったなぁ、あのシチュエーション良かったなぁ。」とずーっと反芻していられる、そんな映画。僕にとっては、さらにデカいバジェットで作った『HiGH & LOW』というか。たびたび言及される、レックス・ルーサの屋敷の厨房横にサーバールームがあるのヘンだよ問題も、あのルーサーがそんな真っ当な屋敷を作る訳ないだろ、で論破できるんですよ!(暴論)

 闘いの果てに、物語は光の超人の死という結末を迎えます。しかし20年戦い続け絶望した「闇の騎士」に、その「光」が希望を与えたのには震えました。「光」を失い、今が一番暗い時かもしれません。が、我々は確かに「正義の夜明け」を目撃したのです! 集え、正義よ!

 


7位:同級生

 中村明日美子の同名漫画のアニメ化。総作画監督があの林明美さんだけあって、あの明日美子先生の繊細なタッチが文字通りそのまま動いてる! 前述のBvS評ではないですが、そうだよ、漫画は動かないけど、動いたらきっとこんな動きだし、コマとコマの行間はきっとこんな絵だよー! 説得力高い! 勿論キャラ作画だけでなく、背景やガジェット、演出も含め、全力で明日美子ワールドを作り上げるぞ、という熱が画面の隅々から伝わってきます。始めて本作を読んだ時に感じたあの空気をまた味あわせてくれるほどに……。単純にアニメ作品としてもレベル高いので、男性アニメファンにも見て欲しいなぁ!

 実力あるスタッフが世界の構築に力を尽くし、最高の画面が出来上がり…そしてそこに芝居がのっかる。や、正直原作読んでる時は、草壁=神谷さん、佐条=野島(健)さんとは全然違う声を想定してたんだけど…やぁこれは草壁に佐条ですわ。

 神谷さんはしゃべり倒す役を色々演じてこられてますから、台詞表現の組み立てが達者で豊か。こういうの、生きのいい芝居とでもいうのでしょうか。野島さんは役の立場上、抑制的な芝居が主ですが、きっちりポイントを抑えて情感を出してらっしゃる。素晴らしい……。

 ボンクラ腐目線で言うなら、守護霊視点で「がんばれ!」「カワイイなぁ」と素直にいい匂いしそうな男子高校生2人を見守れる至福。もう本当、ニヤニヤドキドキしっぱなしでした。劇中三回程ある、キスのあとの見つめ合い、良かったねw ときめくー!

 


8位:ローグ・ワン スター・ウォーズストーリー

 正直中盤までは若干ダルくもあるのですが……クライマックスの設計図奪還ミッションからは燃える燃える! SWは父(の立場の人)と子の継承の物語で、本作もそうではあるのですが、もう一つ、別の継承の物語があるのです。ローグ・ワンのメンバーが、針の穴を通すようにインポッシブルなミッションを攻略し、それは同盟軍兵士に繋がり、そして……。ああ、これはこういう意味だったのか! ファンなら膝を打つこと間違い無しのこの展開! ありがとう、ありがとうギャレス・エドワーズ
 シリーズに無かった新鮮なルックの格好いい絵面が、戦闘シーンで沢山見受けられたのは良かった。SWゲームのバトルフロントの影響もあるかもね。

 


9位:レヴェナント 蘇りし者

 息子を殺したトム“鬼畜”ハーディーを絶対殺すマンと化したレオ様の鬼気迫る熱演で、ラストまでぐいぐい引っ張る復讐譚。凄まじかった……。

 『北斗の拳』の「執念が俺を変えた!」という名台詞の如く、息子を殺されたレオ様が尋常ではない執念を背負い、体当たりの肉体表現でそれをひたすら体現しまくってます(台詞らしい台詞は中盤ほとんどないもんね!)。これでオスカー取れないなら永遠に取れないと思わせる程。

 その尋常ではない執念に立て続けに襲い来る困難困難、また困難を、これも尋常ではないカメラワーク(相変わらずのどうやって撮ってんだコレ、のエマニュエル・ルベツキ!)で追いかけ続ける。レオ様演じるグラスが 「1度死んだ身だからもう死は怖くない」みたいな事を仰るけれど、あんた10回は死んでたよ! そんな死のジェットコースターの合間合間に、ハッとする程に自然の美しい風景を捉えてたりするんだから如才ないすなぁ。

 あとvs熊シーンね! こんなに熊が人間を襲う様を丁寧に・執拗に描いた映画はちょっと無いんじゃないかなぁ。熊に襲われて生き延びた人の「熊に背を向けて亀の状態になったからなんとか助かった。仰向けだったら腹割かれて死んでた。」という生々しい証言を思い出したよ……。

 


10位:クリムゾン・ピーク

 いやー凄まじい美術・造形物。妖しの魅力をはらんだシャープ家の屋敷を現出させただけでも拍手。この館とクリムゾン・ピークという土地にすっかり魅せられてしまいました。作りこみが狂気の沙汰レベルですよ!
 メインの役者陣も秀逸ですよね。ソバージュヘアの間より見える、眉間にシワを寄せた苦悩の表情がハマっていたミア・ワシコウスカに対するは、トム・ヒドルストンの麗しの異相。そしてジェシカ・チャスティンは珍しい?怪奇派を演じていましたが、どうしてどうして。黒衣から見える白い肌、真っ赤で大きな口がインパクト大です。皆ルックス完璧!
 この作品は雰囲気に、世界にただただ酔う為の映画でしょう。悪い意味ではなく、素晴らしい「雰囲気映画」でした。

 

 

11位:ブリッジ・オブ・スパイ

 原爆の機密情報をソ連に漏らしたスパイを弁護する事となった、一人の弁護士に纏わる史劇・政治劇。自国に原爆の危険をもたらした男を弁護するという行為は正義か否か。
 守られるべき倫理よりも感情の爆発が目立つ事を、僕たちはネット上でいやという程経験していますが、そういう時代にこの「不屈の男」の物語の心強さ。我々は彼ほど決然と信義を守れるのか。スパイとタイトルにありますが、派手なシーンは特にあませんし、画面は終始地味です。しかし、こんな時代にはしみじみ味わい深い話でした。良い役者の演技と印象深き台詞の数々。いやぁ、静かに熱いぞ。

 

 

12位:ちはやふる 下の句

 作品単体で見るとパワーは上の句の方がありますが、纏めあげるバランスの良さは流石、上を受ける「下の句」。瑞沢高校かるた部が本当のチームになり、新が再生する物語は見応えありました。
 愛すべきかるた部の面々の素晴らしさは上の句と同じく。そしていよいよ登場したクイーン若宮詩暢は彼らに負けず、いやさ勝るくらい良い! 画面にいるだけで空気が変わる存在感。松岡茉優さん素敵だ…! 見下され京都弁で罵倒されつつ素足で蹴られたい……! 若宮クイーンが近江神宮で「神様の通り道」をスッと登っていくシーン。無言でただ歩むだけのシーンなのに、彼女がどんな存在なのか雄弁に画面が語っている! 独特の札の取り方も同じく! かぁぁっこいいい! 美しいいいい!
 またカルタシーンは上の句と同じくまさしく「闘い」なのだけれど、千早と若宮クイーンの試合はカンフーバトルシーンのよう(あの囲い手の変化!)。素晴らしいスポーツ青春映画でした。

 


13位:ドント・ブリーズ

 舐めてた相手が聴覚の優れた暗黒座頭市だった映画。深夜2時、灯りが落ちた闇の中。ドアや窓が完全に塞がれた勝手の利かぬ他人の一軒家では、視覚健常者など狩られる側に過ぎないのだ!

 最低の家族環境から妹を助けるためとはいえ、金を盗む事に固執したばっかりに追い詰められていく主人公のロッキー。キチ○イ(になってしまった!)爺さんとペットの猛犬は容赦なくこっちを殺しに来るもんだから堪らない。最初から最後まで全く気が抜けない!

 異常に耳の良い盲目爺さんは、少しの音も聞き逃さず執拗に攻撃をしてくる。とはいえ音を立てなければ……あッ爺さん、光を奪いに来やがった! 闇にじわりと消え、どこから襲い来るのか判らない、拳銃持ったタンクトップマッチョのキチ○イデアデビル爺! 悪夢か!

 巧みな演出で緊張を強いてくる上に、中盤でドン引く展開も待ち受けているので、90分も無い短い映画なのに「早く終わってくれ!」と祈りながら観ていました。つまらないんじゃないんだよ、面白いんだ! でも怖いんだ! 鑑賞前に必ずトイレに行っておこう。漏らすぞ!

 


14位:アイアムアヒーロー

 日本が舞台なのに、真っ当にゾンビものやってるって嬉しいじゃないですか。予算と規模は勿論違うけど、『ワールド・ウォー・Z』の冒頭風、街中で感染が拡散していくパニック描写! あれが日本で!

 ま、その大拡散シーンの後、画面に出てくる人数はガックリ減るんですけれどw、逃げずにゴア描写をガンガンやってたのは大いに評価すべきでしょう。また、単なるジャンル映画の面白さの枠に留まらず、ダメ人間が立ち上がるという覚醒映画としても成り立ってますよね。劇中にも「海外なら銃でZQN倒すんのラクなのに」みたいな台詞がありますが、ゾンビものにつきものの銃が、規制のある日本ではなかなか出てこず、故にここぞの必殺技、男が覚醒した証のカタルシスを呼ぶ機能を果たしてるのも面白いですね。
 ラストの大射殺祭りは邦画ではちょっと無い位に屍山血河を築く凄まじいものですが、ショットガン攻撃の見せ方に幅が無く、やや間延びしたようにも感じます。けれど消耗戦を強いられる登場人物の精神状態と、それを見守る自分の焦燥感が同期してるようにも受け取れたので、初見ではアリな気もしました。

 

 

15位:帰ってきたヒトラー

 1945年に自殺したはずのアドルフ・ヒトラーが2011年のベル リンに蘇ったら……というコメディーの皮を被った問題提起。映画という「虚構作品のストーリー」の流れとして、そのカリスマ性と話術でドイツ人を虜にして いくヒトラーなのですが、彼が街の市民にインタビューするシーンは、「現実の」街の素人さんを相手に「ガチで」ゲリラインタビューをしているというのだからなんとも挑戦的というか実験的というか。で、その結果、まんまと素人さんから国家主義民族主義 を肯定するような発言を引き出してしまったという……。この作品は物語という仮説に過ぎなかったのに、その実完全に当たっていたという皮肉(勿論、今ヒト ラーを担ぎ出す不謹慎さに怒る人もいたけど)。笑えるけれどなんとも怖い、日本の対岸の出来事ではないと感じた作品でした。

 


16位:デッドプール

 デップーといえばアッパー系クレイジーなそのノリがあまりにも有名ですが……その実、本作はごく真っ当な復讐劇でした。デップーがゲスト出演したアニメなどでは、彼には「賑やかし」の役を与えられる事が殆どですがそんな「飛び道具」だけでは単品作品では持たないでしょう。いや、むしろ単品作品だからこそ、デップーが背負う影にもちゃんとフォーカスできたともいえます。ごくシンプルな愛と復讐の物語というお話の幹がちゃんとあるからこそ、ハチャメチャやっても、(一見さんですら)ちゃんと楽しめる作品になってるのだと思います。低予算ですがよく出来てる!

 吹き替え版もハマってました。こりゃ喋り倒しになった加瀬康之さん大変だw

 

17位:ロスト・バケーション

 『フライト・ゲーム』『ラン・オールナイト』のジャウム・コレット=セラ監督の作品は、低予算でコンパクト、若干の粗もありながらも、総じて上手くまとめて見せてくれる……といった印象。今回もまさにまさに。ほぼほぼ一つの浜辺周辺で話が進み、最小の登場人物で見せちゃうこの小粒感。でも主人公にちゃんと動機を背負わせ、それを物語に組み込んで客に共感させ、きっちりハラハラドキドキで86分引っ張るんだから大したものです。
 主演のブレイク・ライブリーライアン・レイノルズのカミさん!)、いい芝居してましたね&尻! 最後にはサラ・コナーばりのど根性!
 メキシコの美しい海が息を飲むくらいに美しいし(それを使ったEDクレジット映像も秀逸)、スマホ表現もちょっとしたアイディア。あるアイテムの意外な医療サバイバル活用や、今っぽいデジタルガジェットも海に持ち込まれると新鮮。
 めちゃめちゃ大傑作!という訳ではないけれど、おっ、気が効いてる!って要素が散見された上に面白いという。意外なめっけもん観たなぁ、得したなぁという思いです。おすすめ。

 

 

18位:傷物語 Ⅱ 熱血篇

 冒頭で神谷浩史 vs 江原正士入野自由大塚芳忠とクレジットされますが、主人公の阿良々木くんを演じる神谷さんはひたすら喋り倒し叫びまくる。まさに声で、芝居で三人と戦ったと言えましょう。激闘! 熱戦! そしてもう一つの戦い(?)、羽川翼役、堀江由衣さんとのときめき丁々発止の掛け合いも良し。会話劇アニメの真骨頂を観た思いです。
 その会話劇を彩る、尾石マジック益々高みへ至りと言わざるをえない画面作り。シャフト作品というと、テンポのよいテクニカルな動の視覚的演出が取り沙汰される事が多い印象がありますが、静かで繊細な心理描写を支えるある種地味な演出もまた素晴らしく。羽川パート最高! ああ、羽川さんのあの手に引っかかって身を持ち崩してぇ!

 

 

19位:ザ・ウォーク

 人間の力強さを讃えた実在の綱渡り大道芸人の自伝的作品。と同時に、ニューヨーク最大の商業センターだったワールド・トレードセンターへの愛、そして直接描かれた訳ではありませんが、かつてあったあの悲劇への哀悼の意を、アメリカ人ならずとも感じさせられる作品でもありました。
 綱渡りまでの過程がケイパーもの風に描かれていて面白いですね。主人公は傲慢さも持ち合わせているのですが、冒頭からの軽妙語りと、演じるジョセフ・ゴードン=レヴィットの愛嬌であまり嫌味さを感じさせません。
 綱渡りシーン。WTCの壁面模様と、ツインタワーに張り巡らせたロープ、そして主人公が持つバランス棒、そして背景にNYの街並みが重なった時、幾何学的な美しい画面が幻出して、思わず息を飲みました。こんな絵は想像できなかったなぁ。秀逸!

 


20位:ボーダーライン

 やぁ、酷い(モノを見せられてしまった!)映画! 色んなパーツは『ゼロ・ダーク・サーティ』に似てるんだけど、関わろうとしても全く歯が立たず、徹頭徹尾状況の渦に流されてしまう女主人公はじめ、結局は全然違う作品でしたね。戦争にすらある「掟」なんて糞食らえ。ベニチオ・デル・トロジョシュ・ブローリンのあの2人の人非人っぷりよ。

 麻薬組織のアジトにカチコむ真際、夕刻のメキシコの大地に日が落ちていく。暗視スコープを装備し歩いて行く兵士たちは闇に沈んでいく……。 この夕刻のシーン、全くもって美しい(光と影のコントラストはまるで市川崑作品のよう)ですが、この「地平線を挟んで闇に没する」絵は、まさしくボーダーライン、何かの境界線を示したものではなかったか。この後の作戦の顛末、そしてさらにその後に女主人公に起こった事の酷さ、エグさ。うーん、僕、日本に産まれて良かったわぁ、とてもあんなの耐えられないわぁとゾッとしたものです。小市民の僕は、せめて出来る範囲で正しさを守って生きていきたいと思っているのですが、まぁ甘っちょろい甘っちょろい。
 頭からお尻まで、何もできないままの翻弄されるエミリー・ブラント、うさんくささ爆発のジョシュ・ブローリン、そして凄まじい存在感を誇るベニチオ・デル・トロ。この三人は本当よかったですね。面白いけれどしんどい作品でした。

 

 

21位:シビル・ウォー キャプテン・アメリカ

 物語は結構穴があるような気がしますが、観たい絵がバーン! 空前のアクションがドーン! で最高に楽しかったのも事実。うーん、なかなか困った映画だw
  例えばスパイダーマンなんて、ソニーとのしがらみがクリアになったから急遽ブッこまれたんじゃないかって思う程(別に彼いなくても成り立つよねこの話)。だけどこのスパイダーマンがまた可愛くって魅力的なんだw 彼のの能力がもっとお話の必然性 に結びついてくれたら……。

 また敵の魅力には欠けるよね。「超人達の活躍の裏で被害を受けた一般人の逆襲」なのは判るけど、地味! 掘り下げもないから思い入れも湧かない! 今回はアベンジャーズが2つに分かれて戦うお話なので、注力しないのは判るんだけど。

  でも前述のアクションは凄まじいし、メインキャラの掘り下げは、そのキャラのファンなればこそグッと来るくらいに描かれてるんですよね。キャップvsアイ アンマンのドロドロの殴り合いを見てたら泣けて泣けて。床に置かれた傷ついたキャップのシールド。印象的なあのカットに、キャップの心中や偶像としての キャプテン・アメリカの終焉など色んな事を想起させられました。

 

 
22位:スター・トレック BEYOND

 ワイスピシリーズで名を上げたジャスティンらしい、アクションの見所が多い作品。派手な見せ場で賑やかな画面づくりをさせつつ、果てには「なぜ、終わりなき宇宙を駆け、星々を探索(スター・トレック)するのか」という原点に立ちかえるお話でした。TVシリーズおよびその派生映画シリーズとのスタンスの差異が取りざたされる
本シリーズですが、ここで振り返りをしてくれたのは良かったなぁと。

 あと、本シリーズだけでなく、初代から続くスタトレシリーズ全体に関わる大きな存在・スポック a.k.a レナード・ニモイとその消失に、作品内で触れてくれた事は嬉しかったですね。(勿論もう一人、この三作で脇を固めてくれたアントン・イェルチンにも。)

 


23位:X-MEN アポカリプス

 新三部作の掉尾を飾る作品……ながらも、前作との整合性がややズレてる気が……。マグニートー関連の家族がらみの導入は不要にも思える。終盤の「一人じゃない」と絡めるならば、もっとチャールズやレイヴンとの絆、クイックシルバーとの関係性も強調すべきではなかったか。ちぐはぐな印象は否めない。

 ただ、新三部作だけでなく、『三作目が最低というのは全員一致』の旧三部作をもなんとか救おうという気概が見て取れたような気がして。結果、歪な作品ではあったのですが、旧三部作から見ていた身、第一次X-MEN直撃世代としては、スコットとジーンの姿に熱くなってしまったのですよ。スタッフのシリーズ愛を感じたのは嬉しく、好ましく思いました。

 


24位:ズートピア

 教科書に載せたいような相変わらずの優等生映画。その丁寧な組み立てや万人に通じんが為の目配せが鼻につくんだけど、まぁ大したもんです。最大公約数を得んがため「薄く」なってはいないものね。普遍的なテーマを陳腐に取られないような手際が見事って事なんでしょう。懐かしいバディポリス風味なのもおじさんには嬉しい。
 あとまぁほんのちょっぴり、ジュディとニックの仲を勘ぐらせるような台詞ありましたけど、あの世界では異種族カップルは成立するんだろうか。作中ではその手の事が全く描かれてなかったと思うけれど。

 


25位:HiGH & LOW THE MOVIE

 アクションシーンが凄まじかった、ヤンキーバトルものTVシリーズの映画版。いやぁ、大人数が入り乱れての乱戦バトルがどうかしていた! あれだけの規模の「喧嘩」をあのクオリティーで見せてるのは邦画史上初?(他にそんなものやろうって作品が無かっただけかもだけどw)もう少しカメラワークにキレが欲しかったけど、乱戦の中の長回しには興奮しましたなぁ。階段落ちしながら腕ひしぎ十字固め極めるなんてシーン、生まれて初めて観てその発想の斬新さにバカ負けして変な笑いが漏れました。
 勿論予算はかかっているのでしょうが、それより何より、アクションワーク、見せ方が意欲的なんですよね。ただ予算がれば良いアクションが出来るかというとそういうもんでもないでしょう。頭捻って体動かしてっていう地道な努力の結果かと思うと嬉しい。『ルパン三世』『るろうに剣心』や本作などがヒットして、アクションは売れる!アクションに憧れる!っていう風潮起きてくれ!と祈るばかりですよ。
 ただまぁ、仲間愛・地元愛に溢れたヤンキー思想の脚本は正直稚拙でライダー映画レベル。自分たちが見たい形でストレートに感動したいという、本作品が対象としたい視聴者層には合ってると思われるので否定はしませんけれど、タルいシーンも正直多々あり。今のライダー映画のシナリオが子供だまし程度なのは仕方ないのかもしれませんが、一般向けの作品ならもっと上のレベルのものが見たいなぁ、とも。

 


26位:聲の形

 漫画の評判は聞こえていたのですが未読。ヒロインがろうあ者という事で、障害が主軸のお話かと思ってたんですが、コレ違いますね。徹底してコミュニケーションの話だ。
 僕も恥ずかしながら、主人公の将也みたいな高校生活だったんですよ。自分には関係ないのだと、他人を諦観とともに断じた人間って、他人を一個の人間として認識しなくなるんですよ。本作では他人の顔にバッテンマークをつけて、将也がそれを個として認識していない事を表現していました。アニメ『乱歩奇譚』でも類似の表現がありましたが、あれはコミュニケーションの取れない人間の心象を実に的確に映像化したと言えます。他人と繋がりを持つのって、しんどいしめんどいし怖いんですよ。それでも人って、どうしても他人を求めちゃうものじゃないですか。そこで相手を一個の人間として受け止めて、相手に心を寄り添わせようとするか。その心持ちで顔のバッテンは着いたり取れたりすると思うんですよ。クライマックスで将也が観た、世界が広がっていくような風景は、まさしく閉じこもってきた殻から飛び出したという証左でしょう。
 で、なんで将也のことばっか書いてるかというと、他のキャラにあまり共感できなかったからなんですよね。これは尺の都合だと思うのですが、キャラの信条の移り変わりが一見して読みにくく思えます(僕の読解力不足かもですが……)。特に真柴は将也と友達になりたい理由も判らない。彼はそれ以外も殆どのシーンの行動が唐突に見えてしまう程に心が読めなかったですねぇ。顔つきだけは思わせぶりだったので、後で裏切るのかと思っちゃったよw
 とかく将也視点では大いに共感できましたし、故にラストも大いにカタルシスを感じ、得心が行くもので良かったのですが、周りの描写に不満があるという感じです。
 あとブヒ部的な話をすると、長身スレンダーな佐原さんが超タイプです。付き合ってください。結弦は悠木碧さんの演技も相まって超かわいいです。付き合ってください。植野さんは腹立ちますけれど、超エロいです。いやらしい事させてください。

 


27位:傷物語 Ⅰ 鉄血篇

 今までの物語シリーズの前日譚。阿良々木暦が如何にして吸血鬼になったかを描くお話。なぜ今このタイミング?と思っていたものの、直前にTV放映された『終物語』の死屍累生死郎編を経た後だと飲み込みやすい話でもあるのか、と合点がいく。しかし映画だから予算が増え?ると、尾石演出がますますゴージャスに出来るもんだなぁと。スクリーン映えする絵を作れる監督さんですよ。

 

 

28位:エンド・オブ・キングダム

 ホワイトハウスの次は英国だと、ロンドンで同時多発テロに見舞われる大統領とその警護官。前作に続いて、立て続けに各国首脳が殺害され、英国が制圧されていくさまは見応えあり。日本の首相も巻き込まれてるのには笑ったw
 「ダイ・ハードもの」なので面白くない訳はないのだけれど、続編らしく(?)主人公の言動が前作より雑になってるのは気になったかな。一応、欧米諸国の若者が他国のテロ組織に入り、祖国に仇をなす、という問題も取り入れている……のだけれど、主人公の雑な言動も相まって、「リアリティーの補強として取り上げはしたもののホントはそこに興味ないんです」感がありありと見えるというか。現実の問題を掘り下げても、この作品の面白さと咬み合わないのはわかるけど、もうちょっとやりようないかしらとは思った。や、面白いんだけれど、どこかデリカシーに欠け気味というかw

 

 

29位:ミュータント・ニンジャ・タートルズ 影(シャドウズ)

 亀忍者達の愉快な掛け合いを楽しみながらテンポよく見られる佳作だと思います。
 終盤のアベンジャーズのNY決戦ぽい流れからのイケイケドンドン感→エンドクレジットのあのテーマ。雑な点もありますが、ハッピーにノリで駆け抜けるのがこの亀忍者シリーズの真骨頂でしょう。新キャラのケイシーがいまひとつパッとしないのはやや残念。

 相変わらず亀4人の吹き替えがハマってて、特に畠中祐さんは他の出演作より自由に遊べる役柄なので、いつもより幅の広さ、おかしみを感じてたまらんかったですね。

 


30位:マダム・フローレンス! 夢見るふたり

 歳をとってもお花畑なお嬢様(というだけではなく、実は……)という老婦人を演じるメリル・ストリープ、魅せてくれます。音痴の自覚の無い「困った」彼女を、「愛すべき」人間としても観客に受け取らせる細やかなニュアンスを含んだ芝居は流石!

 フローレンスと複雑な関係にある、ヒュー・グラントが演じる夫。彼が金のために彼女と結婚したか否か、どう取るかで彼と作品の評価が変わると思うのですが、やはり彼はちゃんと彼女を愛していたと思うのですよ。己は夢を果たせなかった。妻も過去、夢を果たせなかった。「おそらくは最後の夢」を叶えさせ、その夢を保つために東奔西走する、金目当てを遥かに越えた献身的な様! 嘘を積み重ねた上での「夢」でしたが、その真摯な愛が本当だったからこそ、あの最後のフローレンスの表情でしょう。

 彼女を「裸の王様」「芸術への冒涜者」と見る事も出来るのですし、それも事実ですが、「非難されても、カーネギーで歌った事実は消せない」と彼女が言うとおり、(信頼できるパートナーたちの支援も相まって)「やってみた」からこそ、夢を叶え、会場の客から万雷の拍手を浴びたのですよね。自分の情熱に正直に進む事を肯定してくれる一本でした。ともかく役者陣の熱演が素晴らしかった!

 


31位:HiGH & LOW THE RED RAIN

 雨宮兄弟をフォーカスしたスピンオフ的作品。今まで殆ど描写がなかった兄弟について掘り下げてくれたのは○(ED後のアイスのやりとりのカワユさよ)。相変わらず(主に泣かせの)描写がダラダラしてるのは×。もっとテンポよく!
 ラストの雅貴と広斗、そして二人の心の中の尊龍のバイク並走シーンは『ワイルド・スピード SKY MISSION』の『See You Again』の流れる別れのシーンのオマージュだよね。でも劇中、尊龍のバイクに自転車で並走する雅貴・広斗の、幼き無邪気なあの頃の描写を入れてるから、変な唐突感や嫌味はなく。あれは上手い消化・昇華だと思いましたよ。

 


32位:SHERLOCK 忌まわしき花嫁

 舞台を現代から19世紀、コナン・ドイルが生きていた時代に移し替えた本作。しかし感性は現代のままに、ドラマ『SHERLOCK』の本質は変わらず。元々英国本国では、TVスペシャルの作品だったらしいですね、これ。本編前後にメイキング的な映像もあり、今までのシリーズを楽しんできた人の為の作品でしょう。これだ、この大いなる着地を待ってたんだ!
 薬物中毒というホームズの設定を巧みに使った絶妙なるご都合主義。さぁ、ゲームの開始だぞ諸君! シーズン4が楽しみ!

 


33位:ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅

  ハリポタは1作目の冒頭を観ただけなんですが、楽しめました。でもそこかしこにファンじゃないと判らないネタが仕込まれてた感じ。急に出てきたグリンデルバルドなんて正にそうでしょ?

 逃げた魔法生物をニュートがポケモンマスターよろしく捕まえる話と、魔法の根絶を目指す結社の思惑という2つの話が軸になり、収束していくお話なのですが、この2つがもっと有機的に関わってたらなぁというのは、最近の緻密で唸らされる映画を観すぎてる故の贅沢な注文でしょうか。とはいえ、魔法生物や魔法バトルの派手な絵は、見応えあり。
 「整ってはいるんだろうけどどこか異相」系役者のエディ・レッドメインは、ギーク系男子のニュートを魅力的に演じています。コミュ力が無い訳じゃないんだけど、相手の目を見て話さない、あの人付き合いが得意じゃない感! コリン・ファレルもいい味出してたんだけど、話の流れ的に損こいてるよなー。勿体無い。もっと掘り下げがあったら、名ヴィランキャラとして君臨しそうなのに。あれはグリンデルバルドが最初から化けてた」って事でいいの? シリーズファンじゃないからよくわかんないけど。
 吹替版で観たんですが、ニュート役の宮野真守さん、細かなニュアンスもしっかり表現なすってて、あ、やっぱりこの方信頼置けるわと。そうそう、妹クイニー役の遠藤綾さんも素敵だったなー! アリソン・スドルのアクトとばっちり合ってて、ジェイコブじゃないけど、ひと目(ひと耳?)惚れしてしまったw 続編(あるんでしょう?!)でジェイコブともども活躍してほしい!

 


34位:ルーム

 誘拐犯に閉じ込められた女と、その中で産まれ、外を知らない少年の密室からの脱出劇……のように予告を見ると思えるのだけれど、実は脱出後のドラマの方にこそ重きが置かれてたという。

少年が初めて外に出た時に、世界を認識できない描写がしばし続きますが、自分が上京した時をふと思い出してしまった。あの寄る辺の無さよ! 本作は母と息子の物語でありますし、ベタですが閉じ込められていた納屋=母の胎内という事でもあるんでしょう。

 人間はいざ希望を持って産まれてみても、なんかんだ世界の洗礼を受けて大変な目にあうもんなんですよ。でも本作のラストシーンのように「決別」をして歩き出していかなければいけない。「子供の目」の視点だけれど、大人の僕も改めてそれを受け止めなおしましたとさ。

 

 
35位:スーサイド・スクワッド

 『ジャスティス・リーグ』前にちゃっかりチームものですよ。とりあえず 集められたバラバラの悪党たちがいよいよ一つになり、男気見せてチームとして動くのは燃えるのですが……そのチームとして結束するまでが描写不足に感じま す。キャラクター個々人は魅力的な連中揃いなので、ちゃんと丁寧に段階踏んで結束してくれたら絶対アガるのに! でもそんな描写に割ける尺はない……。
  これさ、2時間の映画じゃなくって、ドラマシリーズでみたいよね。各個人の魅力や関係性をもっと掘り下げてさ。キャラクターに魅力があるだけに、いろいろ 端折られてる部分が勿体無く感じてしまった。ジョーカーの出番も増やしてさ。見たいでしょ?  ハーレイは当然かわいいのだけれど、人外萌としてはエン チャントレスちゃんも好きなんですよ。故に、繰り返しますが人外萌えとしては、汚い方wのエンチャントレスちゃんの方が好きなんですよ(わかるっしょ?) 声も沢城みゆき先生だしな!

 


36位:ジャック・リーチャー NEVER GO BACK

 前作と違い、、今作は女性少佐と少女を加え た三人でのチームものみたいになってる。リーチャーもならず者の顔をやや潜め、むしろトムが過去に演じたスペシャリストの側面が強いか。マンネリ化を嫌ったのか、その前作と違わさんが為に、ジャック・リーチャーという強烈なキャラクターの個性が薄まってしまっているのは勿体無い。前作の魅力は、まさにその薄まった部分なのですよ。
 その点はなんとも惜しいけれど、アクションとしてはそこそこ面白いし、おトムさんも体張ってる(また全力疾走何度もしてる!)し、女性少佐役のコビー・スマルダーズはマリア・ヒルを演じてる時よりもりもりアクションしてて良かったっすよ。

 


37位:ゴーストバスターズ

 お話は落第点。盛り上げられそうな所はハズすしタルいシーンもチラホラ。ゴーストもバリエーション少なめで寂しく、メリハリなくなんとなく流れでファイナルバトルに入るものだから、カタルシスがじぇんじぇん無い……。

 ただ、キャラクターは100点! エリンの妙なだらしなさ、アビーのキュートさ、パティの強いおばちゃんぶり、ケヴィンのバカかわゆさ、そしてそしてホルトマンのキチガイセクシー……(ホルトマンは5億点!)。

 


38位:殿、利息でござる!

 「今の日本に足りないもの」を提示する寓話。悪い作品ではないのですが……常々「時代劇の良い話」を観る度に抱く「こじんまり感」「どこかで見た感」をやっぱり覚えてしまった。「日本の道徳に寄り添う寓話」を二時間程度の尺でまとめると、こんな感じにまとまっちゃうものなのかもしれない。語彙力がないのでこの気持をなんとも表現できないのですが…。引っかかるなぁ。

 悪役・松田龍平の作りこみと、守銭奴山崎努は流石。今わの際を演じる山崎努の瞳の中の光! あの撮り方良かったねぇ。

 


39位:ザ・ブリザード

 大型タンカーを真っ二つに裂く史上最大級のブリザードに、クリス・パインが小型救助艇で立ち向かう樣は見応えバッチリ(ああ、海にももう行きたくない!)。ただ没するまいとあの手この手で生き残りにかける、大型タンカーに残された男たちの奮闘ぶりも意外に楽しめます。

 ただ、クリス・パインがなぜそこまで救出に拘るのかという理由がちょっとサラっと描かれすぎ。動機づけの部分はもっとしっかり描いて欲しかったです。冒頭30分くらいは結構タルい感じもしますし、そこでもっと動機部分の根回しを、ね。

 


40位:劇場版 ガールズ&パンツァー

 あれだけの大人数のキャラにまんべんなく見せ場を作り、活躍させている交通整理力は大したもんだなぁと。決戦の地に、今までのライバル校が味方として、テーマ曲を背負いながら集うシーンは燃えるし、ギミックだらけの遊園地決戦もアニメならではと言える絵。

 ただ、愛里寿の参戦に至る動機づけが弱い・雑というか。ボコミュージアムの唐突さ。みほ達が訪れるシーンも同じくで、あそこはタルく感じた。熱烈なファンはキャラ描写でニンマリできそうだな、とは思うけれど、申し訳ないけれど僕はそこまでこのアニメのファンではないので……。ファンムービーとしては素晴らしい出来なのだと思いますが、僕の思い入れの無さでこの位置。

 


41位:バイオハザード ザ・ファイナル

 今までのシリーズ作品以上でも以下でもない(裏を返せば安定した?)面白さ。予告にあったゾンビ大焼却シーンより見栄えのする絵がないのは残念。ロボコップガンカタ展開は笑ったw

 レッド・クイーン役にジョボ姐の愛娘を起用したのは案外縁故採用でもないのには関心(いや、でもある意味親子関係を作品に利用した究極の縁故採用か)

 


42位:グランド・イリュージョン 見破られたトリック

 完全に1作目観てる人向けの続編映画。マジックもますます奇想天外感を増し……。まぁ、ファンタジーですよねw そう割りきって見ると、あの中盤のトランプ受け渡し芸はコントすれすれで笑えます。

 ラストマジックの見栄の切り具合は様になってて格好良いけれど、あのオチに落とすには展開がやや雑に思えたのと、ダニエル・ラドクリフの見せ場は登場シーンが頂点だったのは残念。

 


43位:ドラゴン・ブレイド

 『ロード・オブ・ザ・リング』、『300』、『グラディエーター』をつまみ食いしたようなシーンが散見されましたね。団結・集結シーンは燃えますが、話はまぁ、良くも悪くも荒く、今ひとつ食い足りない印象。主人公の価値感が矢鱈に現代よりですが、まぁそこは目くじら立てても仕方ないでしょう。

 


44位:ジェイソン・ボーン

 一度終わったシリーズが再び……というシリーズ再起動もの。しかしシリーズを牽引してきた魅力の悉くが、今までの三作より矮小化されてしまっていたように思えます。 アクション映画の近接格闘のリアリティーを底上げしたCQCの見応えは薄く。今までの三作よりさらにカメラは近いし動くし、何とも見難い。ボーンの強さを支える頭脳戦での機転も今ひとつで、「この手があったか!」「頭いい!」という驚きに欠く……。

 ボーンが工作員になるきっかけが明かされるというストーリーも、ボーン本人には大事かもしれないけれど、観てるこっちには大した話には思えなくって……。蛇足を見る虚しさに苛まれてしまったのでした。再起動というより墓暴きに終わってしまったなぁという印象(そうそう、EDのテーマの『Extreme Ways』に入るシーン、タイミングも今までで一番ダサい)。作中で「このまま消える」とか、「これからは若い世代の時代」みたいな台詞がありましたけど、これってこのシリーズ自体の事を隠喩してるんじゃないかしらん。

 しかしベガスのストリップを大胆に使った、SWAT装甲車vsダッジ・チャージャーのカーチェイスは素晴らしい! アガる! えっ、こんなに頑丈なものなの?!と吃驚のタフネス&パワーを誇る装甲車が一般車両を面白いように蹴散らす! 追うダッジ・チャージャー(但しAT)! ベガスのビカビカテラテラのネオンをバックに、ボーンシリーズらしからぬヤンチャ暴走を繰り広げる装甲車に向かって、これまた破天荒アタックをしかけるボーン! おお、ボーンシリーズのリアリティーを越え、まるでワイルドスピード時空に飛び込んだかのよう……楽しかった!

 あと人物を映す際に光と影で内面を表す演出は良かったです。クドくならぬないようにさり気なく挿入されてるのが、自然に情感を溢れさせてくれるんだ。

 

 

45位:貞子vs伽倻子

 テンポよく話が進んでいくのはいいのですが、ねっとりじんわりしたいやらしい怖さは無く、ホラー感はあまり無かったです。あくまで「対決」に焦点を絞った作品ゆえかと思いますが、ホラーを期待して観に行ったので、ちょっと物足りなくも思えました(とはいえ、多くの人が見られる娯楽映画に仕上がっているのは商売としても正解だとは思います)。

 2つの呪いの対決も、まぁ「どちらかを負けさせる訳にはいかない宿命を背負った対決もの」だからね、仕方ないね、なあっさり醤油味。あの2つの呪いが合体するというラストも想像できちゃったので、うーん。呪い同士が立ち会うまでの盛り上げはかなりワクワクしたのですが。もっとこっちが口アングリ、バカ負けしちゃうようなラストが欲しかったなぁ。

 あとあの自分勝手な酷い呪い拡散のくだり、要る?w 特に解決せずに終わったし、あるかもしれない続編に向けて取り敢えず入れときました、かしらん?

 


46位:Mr.ホームズ 名探偵最後の事件

 タイトルに反して(?)これは万人にやってくる「老い」と、それをどう受け入れるかという作品でしょう。老い。得たもの、得ていたものを失い、孤独になる。我々が存分に知る、あの天才的頭脳を誇ったホームズですら、多くのものを失ってしまうという事に、我々は愕然とする。しかし老いなお、彼が理性的に真実を追求せんとする姿勢に勇気づけられるし老いてから新たに得るかけがえのないものだってある。しみじみと響く作品。

 ただ、ホームズが30年前に残した謎を、新たな相棒を得て解く推理劇……なんてものを期待していたので、拍子抜けしたのも事実。思てたんと違う案件。

 


47位:インフェルノ

 シリーズ未見。MMR風の物語を想像しましたが、金田一シリーズ要素もあったような。ミステリーものの割には、犯人やそのタネなどはあっさり明かされるし、のちのちょっとしたどんでん返しも後付けの強引感がなぁ。今ひとつ。

 ウイルスを封じるケースの封印が、ちゃんと効いてる/効いてないの描写がやや判りにくいのも勿体無い。あそこはっきりさせるだけでもっとハラハラさせられるのに。イタリアの歴史建造物を美しく描いてるのは良し。そういう絵のリッチさはある。

 


48位:超高速!参勤交代リターンズ

 ファンタジー時代劇人情コメディーでご都合主義が多すぎます。が、劇場内は結構笑いが起きていたし、ライトに楽しむものでしょう。そこに野暮は申しますまい。

 ただ、前作で「参勤交代という制度に振り回される人たちの話」は既に終わってるんですよね。中盤以降は「参勤交代」は何処へやら、前作からの因縁に決着をつけるだけに終始。軸となる面白い仕掛けがなくなってしまった分、「普通の人情時代劇」になってしまった所は否めない。続編の辛い所だと思います。

 あとちょいちょい無駄に見えるシーンが挿入されるのも疑問。(弓の名人・吉之丞の脈絡なく出てくるあの特殊矢、要る?)古田新太大岡忠相は良かったっすね。この人時代劇合うなぁ。 

 


49位:アウトバーン

 アウトバーンという邦題と予告映像から壮大なカーチェイスを期待したのですが、それは然程大きなウェイトを占めている訳ではなく。ニコラス・ホルトが機転で切り抜けていく逃亡劇。

 『ビトレイヤー』の監督作品なので期待していたのですが、話の作りは荒し。監督らしい色気のあるよい絵は散見されるのだけれども、ね。脚本がもうちょっとしっかりしていれば……。ニコラス・ホルトのアップの表情は沢山楽しめるので、ファンなら(ファミ通クロスレビュー風〆)

 『アイアンマン3』のマンダリンをより胡乱にしたようなベン・キングズレーと、センスのいいスーツ着た、ハンニバルっぽい知性を感じさせるアンソニー・ホプキンス。この二大悪党は流石の存在感。良かったですが……何で出演したんだろう!?w

 


50位:KING OF PRISM by PrettyRhythm

 TVアニメのプリリズのシリーズは未見。尺が58分と短い所為か、とにかくテンポが早い……。ここ間が欲しいな、って所も関係なくどんどん話が進ます。尺の短さを逆手に取ってとにかく畳み掛けるスタイル。この駆け抜けるドライブ感が、ファンには快感なのでしょう。個人的にはじっくりドラマが見たいと思うのですが……。

 話題のレインボーライブはじめ、過剰な演出も、個人的にはあまりノレず。僕にそれらは、必然としての演出ではなく、過剰なものを見せんが為の演出に見えてしまうんです。既視感を覚えるなぁと記憶を探ったら、ゲームのスパロボシリーズのオリジナルキャラの戦闘ムービーに同じノレなさを感じている事を思い出しました。長台詞&シリーズごとにインフレしていく派手な演出を思い入れの全く無い人物にやられても……。勿論キンプリもスパロボも、それが好きな人は勿論多いでしょうし、これは好みの問題でしょうかね。僕はやっぱり理屈じゃないものは、丁寧に助走して盛り上げてくれないとノリにくいんだなぁ。そしてこの尺では、ドライブ感を売りにしている(であろう)キンプリではそれは難しいのだろうなぁ。

 シンボルたるコウジが去り、沈みゆくライブ会場を新人のシンが盛り上げ、新たなる希望となるという継承の物語は好み。シンが「これからもプリズムショーを応援して下さい!」と観客に語りかけるシーン。これはプリティーリズムを作ってきたスタッフ達からの、スクリーンの向こう側にいる僕達鑑賞者へのメッセージでもありましょう(シンの語りに、キンプリ本編と関係ない、今までのプリティーリズムシリーズのライブ映像を重ねて見せているのがその証左ですね)。そういう作り手の思いにはグッとさせられます。

 僕には良し悪しある映画で、残念ながら悪しの方が多く感じた作品でした。皆さんが熱狂的になる理由も、理屈ではですがなんとなく判りますし、否定するつもりも全くないです。

 

 

51位:ポッピンQ

 『ちゃお』にコミカライズ作品が連載されているようだが、一番の対象は小中学生女子だろうか。大人の階段を最初に踏み出す「中学卒業」を控えた5人の少女の物語。その少女達を通し、現実の同じような境遇の少女達にメッセージとエールを贈るという心意気は良い。けれども正直、構成や脚本は首を傾げざるをえないレベルだった。ご都合でルール設定がどんどん出てくる割に、それに必然性は無い(ように僕は思えたし、あるなら理由をもっと強く打ち出すべき)のだ。

 プリキュアシリーズで練り上げられたCGダンスは流石の出来だが、なぜその異世界でダンスを踊る必要があるのかもまるで描写が無い。5人の少女達でメインに描写されている、伊純とさき、彼女たちが抱えた問題を乗り越えるのはまぁ理解できるが(それでも根拠不足だとは思う)、他の3人の少女は物語が解決したから、結構なんとなく成長したていで問題を乗り越えてしまう。

 かように一事が万事、描写不足ゆえに説得力に欠けるのだ。少女達にメッセージとエールを贈るという心意気は良い、と前述したが、この説得力の無さで果たして受け手の少女たちの心を掴む事はできるのか疑問である。もっと対象年齢が低ければ、こんなにざっくりしたお話でもいいのかもしれないが、それにしても子供だましもいいところ、なのである。

 あとEDクレジット後の続編の予告。本編だけではレノの存在の意味が判らなかったが、これを見れば一応の合点はいく。しかしそんな続編の予告サプライズを作ってるくらいなら、まず本作を一つの作品として地に足をつけてまとめ上げて欲しかった。ダンスシーンの地味ながらも凝ったカメラの使い方、キャラクターデザイン、演者の熱演等、褒めたい所も多くあるのだが、話の作りという幹の部分があまりに宜しくなく、最後まで乗り切れなかった。これが東映アニメーション60周年記念作品で本当にいいのだろうか。今のところ続編を観に劇場まで足を伸ばす気にはなれない。

 


52位:白鯨との戦い

 原作未読。白鯨モンハンものでも、クリヘムとベンジャミン・ウォーカーの男同士の対決でもなく。すいません、僕の読解力では何をやりたいのかよくわかりませんでした。捕鯨反対を叫んでるアメリカでも、昔は鯨狩り尽くしてたという歴史を掘り下げる訳でもなし……。キリスト教徒ならもっとグッとくるんでしょうか?

 


53位:インデペンデンス・デイ リサージェンス

 予告で観れた大カタストロフシーンは少なく、折角出てきた新キャラも、別にいなくてもいいんじゃなかったのか感あるヤツもチラホラ。前作で言う大統領の演説のような高揚シーンはあそこまでアガらず、テーマの一つ?の親子愛もなんだかボンヤリとしていて。

 怪獣としかいいようがないラスボスの正体は良く言えばバカっぽくて面白いですが、存在が面白いだけで見せ方・展開は序盤のエイリアンの攻撃に比べて尻すぼみだよねアレ。それなりに豪快な絵は観られるけれどどこかのっぺりとした、メリハリなく最後まで走ってしまったような作品でした。ラストはノー天気だなーと笑うべきか、正気を疑うべきか。

 

 

 

 以上、53作品。2017年も良い映画に出会えますよう。