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かくて結城友奈たちは勇者となった

 『結城友奈は勇者である』、全話観了! 薄々、「こういう事なのかな?」とは思っていましたが、やはり「ウテナもの」でした! 大好き!

 「ウテナもの」とは名作『少女革命ウテナ』に感銘を受けた僕が、勝手にそう呼称している物語の分類の一つです。これから大人の庇護の下から巣立っていかんとする若者に、エールを送る物語。世の中というものはウテナで描かれた近親相姦などのおぞましきものや、ゆゆゆで描かれた抗えぬ理不尽よりも、もっとおぞましく、理不尽で、残酷で……。不景気で明るいニュースが聞こえてこない、先の見えない日本。今やこれが無いと始まらない、もう一つの「世界」、ネットの中にまで悪意は満ち満ちている。 それでも! ……それでも、歩いていこうよ、外に出ようよ。辛い時は友と肩を並べて歩こう。迷わず行けよ行けば判るさ!  

 これです、こういうやつが僕の言う「ウテナもの」です! ラスト手前の学芸会の劇の台詞で、その事が示されておりますね。

 

魔王
「結局、世界は嫌な事だらけだろう!

 つらい事だらけだろう!

 お前も、見て見ぬ振りをして堕落してしまうがいい!

 あがくな! 現実の冷たさに凍えろ!!」

勇者
「そんなの気持ちの持ちようだ!

 大切だと思えば友達になれる!
 互いを思えば、何倍でも強くなれる! 無限に根性が湧いてくる!
 世界には嫌なことも、悲しいことも、

 自分だけではどうにもならないこともたくさんある。
 だけど、大好きな人がいれば、くじけるわけがない。あきらめるわけがない。
 大好きな人がいるのだから、何度でも立ち上がる!
 だから、勇者は絶対、負けないんだ!」

 

 (この台詞は、友奈が目覚める前の東郷さんの朗読とも合わせて噛み締めたいのですが、長くなるので割愛。各自調査!)

 

 これまでの回や最終話のAパートまででも、このメッセージは物語の中で示されてはいますが、この劇のシーンでより明確に、印象的に視聴者に訴えられます。これは製作者たちの願いであり、あるいは信じたい事であり、あるいは実体験であり、そして何より僕ら視聴者へのエールでありましょう。ラストの「明日の勇者へ」という言葉は、モニターの前で見ている僕らへ投げかけられているんだ! 明日のエースはキミだ! 勇者部五つの誓い、もとい五箇条を胸に前へ進め!

 

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  勇者部の皆が、真っ直ぐな好人物だったのが良かった。真っ直ぐな諦め無さに、僕らは好感を持ち、励ましたく、応援したくなり、そのド正面ストレートの訴えを素直に受け止めたくなる。

 その訴えを受け止めた視聴者僕らが、勿論いきなりあんな大事を成し遂げる大勇者になれる訳では無いと思います。でも明日、飛び込みの営業を1件増やせるかもしれない。腕立て伏せを3回増やせるかもしれない。今まで恥ずかしくて出来なかった電車で席を譲る事ができるかもしれない。そんな小さな勇気への後押しになってくれたら……。それは小さいかもしれませんが、なんとも尊い連鎖ではありませんか。

 ある孤独な闇の騎士がこう言いましたよね。「誰でもヒーローになれる。少年の肩にコートをかけるという思いやりを示すことで、世界が終わったわけじゃないと教えてくれた人もまたヒーローだ。」 さぁ、今度は僕達の番だ。勇者は連鎖する! 明日の、勇者へ!