『アベンジャーズ エンドゲーム』タイムスタンプ

 ※当然ながらネタバレあります。

※劇場で時計を見ながらチェックしたものなので、実際のスタンプとはズレあると思います。

※ハルクがエンシェント・ワンからストーンもらうシーンチェックし忘れたっぽい……

※てかそもそもタイムスタンプって言葉でいいのか。語彙力ないからわかんないよ。

 

 

15分  「サノスの息の根を止めに行こう。」

    タイトル出る

23分  サノス処刑→5年後

25分  偶然ネズミが通りかかって、アントマンが5年ぶりに量子空間から帰還

29分  ナターシャ、各地のアベンジャーズとモニター会議。

    ローディ「バートンを見つけるのが怖くなる。」

33分  スコット、アベンジャーズ基地に到着。「録画映像か?」

36分  タイムトラベル構想の話を持ちかけにトニー宅へ

40分  「天才が必要だ。」ハルクをスカウトに。

42分  トニー、メビウスの輪理論?を閃いてしまう。「3,000回愛してる。」

46分  タイムトラべルテスト。アントマンスーツの中に漏らす。

48分  トニー登場。キャップと和解、シールドを返す。

52分  「新アスガルドへようこそ」ソー、見事なビールっ腹を披露。

57分  東京でヴィジランテしてた クリントをナターシャが連れ戻す。

60分  テストトラベル。クリント、過去に飛んで家族の存在を確認する。

64分  クリント戻る。タイム泥棒会議。

68分  タイム泥棒軍団、3チームに別れて過去に出発。

70分  2012年、ニューヨーク決戦の地にトニー。キャップ、ハルク、スコット着。

72分  2013年、アスガルドにソー、ロケット着。

75分  2014年、惑星モラグにローディー、ネビュラ、クリント、ナターシャ着

    クリント、ナターシャはそのまま惑星ヴォーミアへ。

79分  2014年ニューヨーク。キャップ、『ウインター・ソルジャー』でのエレベーターシーン再現かと思いきや、「ハイル、ヒドラ……」のマジックワードであっさり脱出。

84分  ロキ、どさくさに紛れて四次元キューブを持って逃走。

    キャップは過去の自分と闘争。「バッキーは生きている。」

    ロキの杖=マインド・ストーン回収。

87分  ハルク、エンシェント・ワンからタイムストーンを奪おうとしてアストラル体にされる

89分  過去ネビュラ、今ネビュラと記憶がリンクする。

91分  2014年アスガルド。ロケット、リアリティ・ストーンを回収。

    ソー、母と再開、立ち直る。ムジョルニアを再びその手に。

   「まだ捨てたもんじゃない!」

95分  2014年惑星モラグ。スターロード、ノリノリで歌っていたところ、ローディーに殴られ気絶。「こいつアホだな。」パワー・ストーン回収。

98分  ネビュラ、過去ネビュラとリンクし気絶。帰還に失敗。危険をナターシャに伝えようとするもサノスに捕まる。

    サノス、未来での自分の運命を知り、ピム粒子をゲット。

100分 トニー&キャップ、スペース・ストーン回収のために更に過去に戻る事を決意。

102分 1970年、ニュージャージー。スタン・リーがご陽気にカメオ出演

104分 ハワード・スターク、ハワード・"ポッツ”に出会う。

107分 キャップ、ペギーを窓ごしに見つめる。

109分 今ネビュラvs過去ネビュラ

111分 2014年惑星ヴォーミア。ナターシャ死亡。クリント、ソウル・ストーン回収。

118分 タイム泥棒軍団帰還。

121分 アイアンガントレット完成。ハルクがパワーを発動させ、サノスに消された人間たちが戻る。

    今ネビュラに化けて帰還した過去ネビュラ、こっそりタイムトラベルマシーンを起動させる。

125分 2014年より来襲したサノス戦艦、アベンジャーズ基地を砲撃。

129分 過去ガモーラ、サノスを止めるために今ネビュラと組む。

130分 トニー、キャップ、ソーがサノスと対峙、戦いが始まる。

135分 クリントからガントレットを奪った過去ネビュラを、今ネビュラが自らの手で殺す。

136分 キャップ、ムジョルニアを手にする。「持てると思った……。」

138分 恐ろしい数のサノス軍、地球に襲来。

    それでもキャップ、「まだやれる」と言わんばかりに一人立ち上がる。

139分 「左を見ろ。」

141分 「アベンジャーズ……アッセンブル!

142分 トニーを見つけたピーター、生存報告。思わずトニー、ハグ。

143分 スターロード、過去ガモーラに股間を蹴られる。2回目のが玉を直撃。

144分 茶色くて汚いバンのクラクション、鳴る。

145分 ガントレットリレー開始。

147分 ワンダのテレキネシスに苦戦のサノス、戦艦に味方もろとも地上を砲撃させ る。

148分 宇宙の彼方よりキャロル・ダンバース颯爽登場、戦艦を轟沈させる。

150分 アマゾネスアベンジャーズがアッセンブルし、ピーター坊やを助ける。

152分 ストレンジ、「これが14,000,605分の1の勝ち筋だ!」とトニーにサインを送 る。

153分 「なら……私がアイアンマンだ。」サノス軍消滅。

156分 トニー・スターク死亡。「ゆっくり眠って……。」

157分 各々が自分の生活に戻っていく。

158分 トニーの葬式。皆でタイムトラベル前にトニーが残したメッセージを見る。

    「3,000回愛してる。」「トニー・スタークにも心がある。」

163分 ソー、王位をヴァルキリーに譲る。「アスガーディアンズ」、宇宙へ。

166分 キャップ、ストーンを返しに過去に旅立つ。

168分 キャップ、自分の人生を生きて帰還。

170分 キャップ、サムにシールドを渡す。「君のだ。」

171分 ある一軒家。そこには幸せそうに“ダンス”を踊るスティーブ・ロジャースとペ ギー・カーターの姿が。そして二人は“キス”を……

 

 

 

2018年映画ランキング

 新年あけましておめでとうございます。

 昨年も冴えない感じでしたが、私もいよいよ不惑の歳。なんとかここで何かを変えたいところでございますよ。ともかく、2019年もよろしくお願いいたします。

 

 さて昨年は、1週間に1本ペース、年間50本の映画を観るという目標を立て、結果55本の作品を鑑賞しました。 仕事の繁忙期に気力をごっそり削られると、劇場に向かう気力がなかなか湧かなかったのですが、なんとか目標を果たしました。

 

 では、以下に記録として、自分の2018年の映画ランキングと、作品ごとの寸評をまとめてみようと思います。

 

 

※注意等※

・2018年に自分が劇場で見た全映画のランキングです。

・映画館で見たから、本数を見たから偉いという訳ではないですし、このランキングが絶対という訳ではありません。感想含め、あくまで僕の主観です。

・このランキングは「書いた時点で振り返ってみると大体こんな感じ」という程度の気軽さでつけています。今後順位が上下する事は大いに有り得る、大雑把なランキングであるという事をご承知ください。

寸評中にはネタバレも含まれますので、ご了承ください。

 

 

 

◆2018年ランキング
1位:ちはやふる −結び–
7位:アベンジャーズ インフィニティ・ウォー
10位:1987 ある闘いの真実
16位:来る
18位:ペンタゴン・ペーパーズ
20位:アイ・トーニャ 史上最大のスキャンダル
23位:ジュマンジ ウェルカム・トゥ・ジャングル
27位:ミッション:インポッシブル フォールアウト
28位:アリー スター誕生
29位:ちいさな英雄 カニとタマゴと透明人間
32位:シュガーラッシュ:オンライン
33位:ハン・ソロスター・ウォーズストーリーズ
34位:アントマン&ワスプ
35位:パーティーで女の子に話しかけるには
38位:悪女 AKUJO
41位:ヴェノム
44位:仮面ライダー 平成ジェネレーションズ FOREVER
47位:ゴッホ 最後の手紙
50位:GODZILLA 決戦起動増殖都市
53位:キングスマン ゴールデン・サークル
54位:ダークタワー
 
 

 

 

 

 

◆寸評

1位:ちはやふる −結び–
 「もっと、もっと、繋がれ。繋がれ。糸のように。新と、太一と、皆と、繋がれ。うまく言えないけど、私にとってのかるたって、そういうこと。」これは、『ちはやふる 下の句』での千早の台詞ですが、その下の句のテーマ「繋がり」を、本作の中で重ね続けていき、そして最終的に本作のテーマ「未来」に結んでいく。本作の物語の構造そのものが、高校と水沢かるた部を卒業していく劇中の面々への祝福とエールであるし、同様に本作で実写映画『ちはやふる』を卒業していくキャスト陣への祝福でもありましょう、そして勿論、鑑賞している僕たちへの祝福でもあり。
 
 特に「スペックは高いけれど、どうにも報われない男」太一が、三部作の果てに成長。最後には物語を牽引していく存在になり「(太一も、観てるこっちも)報われた」と思えるこの喜び。ことかるたに関しては凡人、何者でもなかった太一が、原田先生と周防名人という二人の師に導かれ、覚醒し、物語の幹になるという展開こそ、無数の何者でもない観客たちにとって、「私の物語」になり得るのではないかなと。
 
 周防名人が劇中、小野小町の歌を指し、「この歌が今に語り継がれているように、人間は瞬間を千年先に残すこともできる。」と説きましたが、まさしく本作は青春映画・スポーツ映画の金字塔として長く長く世に語り継がれる作品になるのではないのでしょうか。こんな大傑作が本邦で生まれた事が、なんとも喜ばしい!
 
 
 高坂希太郎監督の「神は細部に宿る」を地で行く丁寧な仕事のおかげで、可愛らしいあの絵柄 ──ある種のファンタジーとも言える── 登場人物たちに生き生きとした説得力が出てくるんですね。アニメーションの魔術を見た思いです。
 
 この作品、冒頭に「死」にまつわる大きな出来事があって。その件の扱いについてとても気を使っているのが上品だなぁと。直接的な「死」という言葉は1回しか出てこなかったと思います。あの品の良さを保ち続ける絶妙な制球力、素晴らしい!
 
 その、おっこの死にまつわるトラウマを扱ったシーン! 普通のBGMがいつのまにか自然に、不穏なものにスライドしていくあそこ、凄かったねぇ!怖かったねぇ! そしてそこで溜まったストレスを一気に開放する、挿入歌『ジンカンバンジージャンプ!』が流れるドライブ&ショッピングシーンのカタルシスもたまらない(ああっ水領さまっ!)。……あかん、褒めるところばっかりすぎる!

 

 
 凄いぞ、スター・ウォーズのep1から6を2作でやり遂げた。もはやこれは『マハーバーラタ』『ラーマーヤナ』に並ぶインド一大叙事詩である(断言)
 
 ただただひたすらに、アマレンドラとマヘンドラ、2人のバーフバリと荒ぶる神・シヴァを讃える物語。だが力強さを備えた名作とは得てしてシンプルなものである。原哲夫漫画のような「すげぇなこの人は!」の釣瓶打ち! 俺は無能な小物だけれど、あんな偉大な男の下に仕えて、及ばずながら力になりたいと思って涙したよ。弱気を助け、義を重んじ、夢を抱かせてくれる大英雄!
 
 しかしハッタリかましまくりのはっちゃけアクションなのに、ちゃんと継承・王位奪還ものとして芯が通っていて、物語が綺麗に収束していくのは見事だよ。新たなインド神話を作るのだという気概が伝わってきて、嬉しかったなぁ。
 
 
 恋人同士になった女子高生2人が、相手と自分の心に向き合う日常の様を描く小さな恋愛劇。僕は百合系作品だと、登場人物たちのピュアさを観察するようなものが好きなんですよ。男の乱暴な生々しさは嫌というほど知っているので、それが介在しないファンタジーに浸りたいんです。主人公の山田と加瀬さんがとても素直なキャラクターなのもよろしい。日々の喧騒に疲れた人々は、美しい自然に還ったりして心を浄化したりしますが、僕にとっては本作がそういうセラピーになりました。
 
 また加瀬さんがね、格好良くて、可愛らしくて。でも年相応に弱くって、尊敬できて。僕の理想の「王子系女子」を体現してるんですよ。
 誤解を恐れずにキモい事を言えば、僕がこういう「王子系女子」を憧れの眼差しで観ている時は、アラフォーのおっさんではなく、その「王子系女子」と同じくらいの年齢の、しかも女子(この場合は女子高生)の心持ちで彼女を観ているんです。山田よろしく、おじさんを完全に「加瀬夢女子」にさせた時点で勝ちですよこの作品(笑) あーあ、白馬に乗った加瀬さんが、女子高生になった僕を迎えに来てくれないかなぁ……(うっとり)
 
 
 これは森見登美彦が描くSFジュブナイルですよ。しかも今までアニメ化された『四畳半神話大系』『夜は短し歩けよ乙女』よりよっぽど正統派エンタメ。ジュブナイルとしてはじまり、『インターステラー』的SFを「すこし・ふしぎ」的SFを織り交ぜ解決し、またジュブナイルに着地していく。いやぁ、夏に見たい傑作がまた1本増えました。
 
 アオヤマ君という、小学4年生にしては「出来た」子供。彼の持っている幼さゆえの万能感の描写が面白いと思いました。アニメでギャグ方向に振らず、真正面からこの万能感を扱ってるのあまりないんじゃないかなぁ。あそこまでではないにせよ、かつて少しくらい聡かった子なら、共感できるんじゃないでしょうか。
 
 そんな聡い子が恐らくは初めて味わう「初恋」、「喪失」、そして大きな「決意」。ラストでは冒頭と対になるようにアオヤマ君のモノローグが流れますが、その重みは全く異なります。あまりにも遠い「世界の果て(a.k.a お姉さん)」への道のり。しかし、彼は決してその道を諦めないでしょう。若者よ、大志を抱いてハイウェイを進め!というエールを送る素敵な作品なのでした。
 
 
 
 どう大人になっていくのか。あるいはある種のモラトリアム的期間(鳥かご)からどう羽ばたいていくのか、という普遍的なテーマ。それを『響け!ユーフォニアム』という人気TVアニメに乗っけて成立させているのに、かつそのTVアニメ版とは全く違う手触りの青春ものとして、よくこうも達者に具現化できるなぁと。セリフだけに頼らず、キャラクターの仕草や間、構図、あるいは背景やガジェットなどの配置等々、描写を丁寧に積み上げて観客をコントロールしていく手腕には舌を巻きました。

 青春という、あのとてもとても短い(でも当人たちはそんな短さをちっとも感じていない)あの輝きと可能性に満ち満ちた時間を生きる若人たちの苦悩すら、アラフォーおじさんには眩しくてしかたなかったです。かつては自分もそんな世界で生きていたはずなのに。
 
 
7位:アベンジャーズ インフィニティ・ウォー
 2作目では減じてしまった、「あのヒーローとあのヒーローが!」という大集合映画の醍醐味が蘇った感。ガーディアンズら宇宙組が地球組と交わる面白さ! 地球組も魔術師に王様と新キャラ増えたしね。これは本当にワクワクできた!
 
 キャラがどんどん増えるとどうにもモブ気味なキャラが出てきてしまう、なんてのは日本の大集合映画で見てきましたけど、本作は奇跡的に全員に見せ場があり、不足感がないのが凄まじいよね。相変わらずの交通整理力。その分上映時間もえらい長いんだけれど退屈には思えなかったな。場面転調のつなぎ方も何かと気が利いてて気持ちよかった。
 
 ガーディアンズ連中のシーンでは結構笑いを取っていくんだけど、後半はやっぱりハードでシリアス。大胆な話の奔流に押しつぶされそう……。クリス・ヘムズワースが語った「皆がこの長い旅の終わりを感じている」という言葉を噛み締めながら見ておりました。
 
 
 クリーチャーの出て来る物語が、こんなにロマンチックになるものか。人間と物の怪の異類婚姻譚は洋の東西を問わず多くありますが、本作は今のこの時代に寄り添ったデル・トロ印の最新御伽噺なのでありました。
 
 トランプ政権誕生以降、北米では白人対マイノリティという構図が強くなっており、程なくしてそれに異を唱えるメッセージが込められた映画も多く作られるようになりました。政治的メッセージは、場合によっては「臭み」になってしまい鼻につくものですが、本作ではファンタジーに落とし込むことで「臭み」は感じにくく、登場人物には共感しやすくなり、自然に彼らの痛み・苦しみが伝わってくるんですね。
 
 そのファンタジー要素については、デル・トロ監督の趣味性を全開にしちゃってるんですけれど……。とはいえ単なる趣味に留まらず、あのグロテスクさのあるクリーチャーが愛の対象であるからこそ、劇中のイライザのセリフのように、相手の「ありのまま」を受け止めるピュアな恋愛劇によりふさわしいという。なんか製作者と物語のバランス、相性の良さが奇跡的で、デル・トロはこの作品撮る為に世に出たのでは……と思わせるほどに色んなピースががっちりハマってる作品でした。
 
 
 『巨人の星』×『バトルオブ・ザ・セクシーズ』なスポ根レスリング映画。親のエゴに付き合わされ、レスリングエリートとして育った娘が、やがて親に反発し、再び絆を結ぶ。そして子は、果たして本当の「巣立ち」を果たす。親子二代に渡る、真っ直ぐなスポ根ものとして「も」素晴らしいのですが、そこに「インドに根強い男尊女卑に立ち向かう女性の物語」、という要素が加わるんですね。「女だてらにレスリングなんて」「お前は俺に従っていればいい」。マウンドや土俵に女性が上がれない本邦においてもグサッとくる描写が……!
 
 そんな壁を次々と突破した果てに「女を下に見る全ての人間との戦い」に挑む娘の戦う姿にぐいぐいと引き込まれてしまいました。国際大会で相手を投げ飛ばすその姿に、こちらも思わず「ヨイショ!」の声を上げてしまう。それくらい手に汗握りましたね。応援上映したいよこれ!
 
 また登場人物たちのレスリングムーブが、確実に「やってる」動きなんですよね。組技は体捌きと重心のかけ方がキモなんで、体の使い方知らないとあんなにできないですよ。ちゃんと作り込んでくるインドの俳優陣に大拍手。
 
 
10位:1987 ある闘いの真実
 韓国版『ペンタゴン・ペーパーズ』な趣で、軍事政権の統制下、その腐敗を暴かんとするマスコミや心ある人々たち。そしてそれらを潰さんとするのがキム・ユンソク演じるコク深すぎる所長ですよ。
 
 幼い頃、北朝鮮軍に家族を殺された脱北者の彼は、「アカ」狩りに血道を上げる。法律無視の暴力・恫喝は当たり前。組織を守るためなら自分の部下に対しても、家族に対する拷問を示唆して従わせる。この体制側の象徴たる人物が邪悪さを発揮すればするほど、この時代の絶望感と、真実と民主化を求める人達の願いのような思いが際立つんですね。(いい意味でエンタメ感たっぷりな)今年ベスト級の胸糞悪い悪役ですよ。
 
 ラスト手前、韓国キリスト協会の本部で事件の真相が発表されます。本作における白の側に凱歌が揚がり、黒の側の警察側に敗北の鐘が鳴った、潮目が変わる劇的なこのシーン。ここは本作でたびたび出てくるノワール的な演出の極みで、本当に美しく絵になるショットが連続します。必見。
 
 エンディングクレジットで当時の運動の様子を撮影した映像が流れるんですが、劇中より遥かに規模がデカいんですよ。光州事件や本作を越えて、まさしく「民衆が勝ち取った」事実がたった30年前にあるってのは強いよなぁとしみじみ思い知りました
 
 
 主人公のバーナムは実在の人物で、相当な山師のまぁひどい人物なんスよ。作中でもよく考えると「これ……酷くない?」という点がいくつもあるんですけれど、巧みな表現と異様なまでのテンポの良さでカバーされてる。凄い!w
 
 これフリークショーの興行師の話をマイノリティー賛歌、人間讃歌に仕立てあげようってのが、それこそ山っ気たっぷりな企画なんですけれど、それをミュージカルにしたってのがエラいよねェ。くどくど説明しないでテンポよくどんどん話を進め、景気いい音楽と美しい絵を叩きつけられると、「アレっ? これおかしくない?」て思う間も無いから、なんだか感動できちゃうというw なんという力技! ズルいよ! 作品自体が胡散臭いP・T・バーナムみたいだよね(褒めてます)。
 
 
 『ボーダーライン』の脚本を手がけた、テイラー・シェリダンの初監督作品らしい、強烈な個性を持つ土地と、そこに根深く巣食う問題が描かれた作品。舞台となる先住民保留地は、異様に広大で本当になんにもない土地なので、先住民女性が行方不明になっても、その詳細が全くがわからず。はて、これ人為的に不明になっててもわかりようがないよねというおっかない話。しかも行方不明多発というのは実話という、ね(キョーレツ!)

 かように『ボーダーライン』同様、「物凄いものを見せられているけれど大層しんどい」作品なのです。が、クライマックスの泥臭い鉄火場のシーンは見世物としてもめっけもので、社会派ミステリーを見ていたのに思わぬ得をした思い。
 
 「アベンジャー」と化したジェレミ・レナーがクライマックスで果たす、「人を裁く立場ではない自分よりも、この土地によって裁かれるべき」という報復だからこそ、その後の適者生存的な語りもより深みを増すというか。いやぁ、恐ろしい「土地映画」でしたわい。
 
 
 現実対虚構のオタク過剰接待映画。ここにはアレがそこにはソレが、アッ、アッ、アアーッ!と情報の波に飲まれていく快感。その圧倒的な情報量とライド感溢れる撮り方で飽きさせないというか。
 
 「オアシスは一人でプレイするゲームではない。」の言葉のように、ゲームの中で得た人と人の繋がりが、終盤、ゲーム内でスーパーヒーローのアバター大集結を果たす。そしてそれが現実にも波及し、主人公・ウェイドのために人々がかけつける。フィクションは現実に作用し、うねりを巻き起こす。僕らの現実もあの2045年のように諦めが蔓延する世界になりつつあるのかもしれない。けれどフィクションが人々を癒やし、活力を与え、絆をもたらすのだ! という、「フィクションの力舐めんな!」映画だと思うんですよ。フィクション大好きなオタクとしてなんとも力強い福音。でもその虚構に耽溺し続けてはならないとも説いているんですよね。最終的には「自分を守ってきた子供の頃の部屋」から出ていく……。
 
 なんですけれども! どうにも最後が嫌味に見えるよなぁw あの辺にスピルバーグのオタクへの愛の無さを感じる。あと現実でウェイドのために集まった人、何もしなさすぎ問題ね。
 
 
 狂気全開のマッコール先生の熱血授業が更に極まった本作。目をかけた黒人青年を更生させる為、ストリートギャングの巣窟にひょいとかちこみ暴力でもって解放。そして青年に、見てるこっちが「それ完全にトラウマが残るタイプの恫喝ですよね…」とドン引きするような説教。どうかしている!
 
 言ってることは完全に正しいけど、どう考えてもやりすぎですよね!をひたすら繰り返すマッコール。その熱い説教についつい観ている自分も啓発されて、映画が終わる頃にはなんだかいいもん見たな…と思ってしまうようなデンゼル&フークア監督力に満ち溢れた作品でした。
 
 嵐の中、元同僚の殺しのプロを自らのホームタウンに呼び込んで一人ひとり殺していくマッコールの手際の良さは、もはや小気味よくすらあって……。パン屋の小麦粉の袋切り裂いてから、来るぞ来るぞ……と期待させての粉塵爆発なんて、マッコール屋!と屋号を叫びたくなるケレンすらありました。かつての同僚を殺す時の目のアップが、例の虚無目なのも最高です。あれこそマッコール流の大見得よ。
 
 
 クライマックスのライヴエイド当日→ライブ再現のこのドライブ感たるや、タマランかったですね。特にクイーンのファンという訳ではない僕ですら、「この偉大なるバンドを映画の形で、再び世に知らしめん」という、キャストの熱演、スタッフの執念にほだされて感動してしまいました。
 
 そして何より楽曲の力ですよ。本作日本版の予告では「彼らの楽曲を唯一超えるのは、彼(※フレディのことね)の物語」というコピーが使われていましたが、とはいえやっぱり曲の力あってこそ、ファンでない僕にもエモーショナルな感動を呼び起こしてるのだなと思いました。
 
 
16位:来る
 だいぶエンタメよりでねぇ、Jホラー?があんまりピンとこない僕も楽しめました。丁寧に登場人物の胸糞描写を重ねた果ての、後半の全日本スーパー除霊大戦のワクワクぶりったらないですね。『帝都物語』『帝都大戦』の祈祷シーンをさらにオーバーに・ケレンたっぷりにした感じで、霊能力者軍団全員が全員、怪演を見せているという……なんだこれ!
 
 事が全て終わったあとも、ヘンに湿っぽくならずにバッサリ終わるのも好感。僕はこういうの好きだなぁ。
 
 
 SF飛躍部分の説明はまったくされていないし、スペクタクルの果てのカタルシスも無し。細田作品では、ぶっちぎりで「微妙」扱いされるんじゃないかと思う本作なんですが……。僕には当たりでした。俺が普段考えている事、理想とする事、あるいは過去の・今の自分がスクリーンの中に描かれているという所謂「俺の映画」なんですよ……。
 
 まず冒頭からまずいのである。妹という「異物」に両親の愛を全て奪われてしまった(ように思っている)くんちゃんの描写。あれ、俺なんでこんなに心を千々に乱されているの? はい、俺もちょうどくんちゃんと未来ちゃんくらい年齢差のある妹いるわ。これかつての俺だわと、矢庭に30数年前の、明確には思い出せないけれど、確実に覚えたことのある感情を呼び覚まされてしまったんですね。そしたらもう止まりませんよ、くんちゃんの一挙手一投足にいちいち共感ですよ。くんちゃんより35歳も年上のおじさんが!
 
 あとひいじいちゃんのバイクネタもやばい。ひいじいちゃんではないですが、俺もそれこそくんちゃんくらいの自分に、親父のバイクに一緒に乗せられてあんな感じで走ってましたもん。ここ何十年も思い出してなかったのに! 開く開くよ色んな心の棚が!
 
 「今の自分は、無数の偶然と縁のから成り立っている奇跡の産物である」というもうひとつのテーマについても……。僕は様々なご縁で、浅学非才の身には勿体無い友や経験を得ることが多々あり、これからもこういう縁を大事に深めていきたいと思っているんですよ。なんだよ、くんちゃん a.k.a 俺へのエール映画かよ! ありがとう!という思いです。
 
 
18位:ペンタゴン・ペーパーズ
 メリル・ストリープトム・ハンクスとの丁々発止の芝居のやりとりは流石の見応え。
「報道が尽くすべきは統治者ではなく民衆。権力の監視機関であらねばならぬ」というのは、たびたび報道機関に辛辣な攻撃をしているトランプ政権を受けて、というのもあるのでしょう。しかしこの作品、日本でも森友・加計学園問題が騒がれていたタイミングで上映されてるんですよね。神がかったタイミングだ……!
 
 心ある人々が精神的・物理的に様々に繋いでいき、そして報道は民衆に繋がり、世界を変える。「マスゴミ」なんて画一的に叩く御仁もいらっしゃるけれど、僕はまだその力を信じていますよ。
 
 
 実際にあった、テニスの現役女子王者と男子元王者の対決を題材にした本作。タイトル通りの「男女対決!」という単純な話ではなく……。男女の不均衡・差別問題も含めた上で、最終的には「自分らしく自由に生きよ」という、まだまだそれが難しくもある今だからこそ作られた作品だなと思いました。しかしなぁ、劇中女性に課される単なる待遇差だけじゃなくて、「お前ら完璧に舐め腐ってるだろ!」っていう男どものあの鼻持ちならない態度・心持ち、やっぱりイヤですねぇ。
 
 本作、めちゃめちゃ絵が素敵なんですよ。美しくて刺さるカットがバンバン出てくる。試合前、ボビー・リッグスがエスカレーターで息子と分かれるシーン。終わってみればめちゃめちゃ象徴的じゃないですか! おじさんとして泣けたよアレ。
 
 
20位:アイ・トーニャ 史上最大のスキャンダル
スケートしか知らないトーニャは、故にスケート以外の部分から破綻し、やがてスケートにもそれが侵食していく。愚かだけれども哀しいお話だなぁと。
 
 選手生命を絶たれたトーニャは、その知名度を利用して稼ぐほかなく、ボクシングのリングに上がります。壮絶にマットに倒れるトーニャは、ダウンしながらスクリーンの向こうにいる我々に、「これが真実よ」と語ります。その言葉は痛々しく、本作に対する皮肉でもありますが……。けれども彼女はマウスピースを拾い立ち上がり、再び戦い始めるのです。一敗地に塗れた彼女が、「Stand and Fight」と再び戦い始める。全てをかけたものを失ってもなお、それでも生きよう、進まんとする彼女の生き様を思うと落涙してしまいました。
 
 
 1が恋人たちの映画なら、劇中冒頭での宣言通り2はファミリー映画。ウルヴァリン弄り大好きのデップーですが、これ戦いの果て、今際の際にウルヴァリンが「家族の絆」を手に入れた『ローガン』のデップー版ですよ。
 
 前作のヒットを受けて予算大幅増、スペクタクルのスケールも大きく、アクションもより激しく。映画ネタもやたらに頻発(ああ、映画ファンでよかった!)と、全てにおいて正当進化と言った趣。ブットビキャラの映画だけど、そういう作りの丁寧さという下地ありきだと思うんですよな、このシリーズの面白さは。安易に飛び道具「だけ」「ばかり」に走らず、けど観客を満足させる破天荒さは存分にという。不思議ウェルメイドな映画。いい仕事してるわ本当。
 
 
アルツハイマーの元連続殺人鬼 vs 若き現役連続殺人鬼というアイディアだけでもう面白いんですね。主人公のビョンスは発作的に短期記憶が飛んで行くので、それを使ってのサスペンスを生み出す手腕がひじょーに洒脱。娘を狙う若殺人鬼を殺さんと迫るのに、発作がでちゃったらもうスパーンとその事忘れちゃってるんだもの。おまけにアルツハイマーの事を若殺人鬼が知っちゃう!ああ、怖いですね、ハラハラしますね!
 
 ラストも凄いよねぇ。ビョンスの日記は若殺人鬼が改竄してるけれど、その事実を知るものはいない(ビョンスはもう忘れてる)から、ラストに公開された日記の内容も疑わなくてはいけない。若殺人鬼が死んだというのも作品中に示されてるようだけれど、劇中の姉やタクシーのエピソードのように、一見客観的に示されてるシーンも、それが本当に客観的事実かどうか大層怪しいということ。だから若殺人鬼の生死も実はあやふやなのではないか……。ほんと反則気味だけど、連続殺人鬼の落ちた無間地獄として凄まじいオチだ
 
 
23位:ジュマンジ ウェルカム・トゥ・ジャングル
今回はボードゲームからビデオゲームに舞台を移し学生たちの青春もの。ジュマンジらしいハチャメチャ玉手箱感はやや控えめながらも、「少年少女たちが殻を破り、成長し、友情を育む」という青春王道ものになってます。
 
 ジュマンジの案内役・ナイジェルを演じるリス・ダービーも地味にいい仕事をしていて。なぜかというとね、このナイジェル、前作のアラン・パリッシュを演じていた故・ロビン・ウィリアムズを多分に意識した芝居をしていて(表情の作り方なんか本当似てる!)、前作を知る人間としてはグッと来てしまう。しかも日本語吹替を担当するのは、前作のDVDでもBDでも日テレでもテレ朝でもアランの吹替を担当してる江原正士ですよ! 判ってらっしゃる! ありがとう!
 
 
これね、粗はある。ありますよ。でもね、僕には響いてしまった。なぜならこれ、「膝を壊してエースとしての栄光を掴めなかった棚橋弘至とその息子の話」なんですよ。
 
 主人公のプロレスラー・大山を演じる現役プロレスラー・棚橋も、特別に演技が上手い訳じゃない。でもね、彼が沈没しかけた新日本プロレスを立て直し、膝の故障を抱えながらも大エースとして未だに輝かんとし続ける男であることを僕は知っているのです。その彼のif、もしもの話として異様にしっくり来てしまうという事も分かってしまうんです。
 
 劇中のセリフに「プロレスは生き様だ」とありましたが、棚橋の年齢やコンディション、そして歩んできた生き様が、大村孝志という架空のプロレスラーの生き様を表現するのにこれ以上ないと思わせただけで、この映画は成功ですよ。粗はあるが、主役の最輝きが作品を名作たらしめる、という映画(例えば『燃えよドラゴン』もそうでしょう)はあり、本作もまたそんな作品だという事です。棚橋弘至というプロレスラーの生き様に共感や憧れを覚える人間なら、マスト見るべしな作品でした。
 
 
 戦場でイカれちまったならず者戦闘部隊 vs 銀河を駆ける狩猟星人! 景気&テンポ良く人が惨殺されていく様はいっそ小気味がよくて楽しいですね。妙に笑えるシーンも多いし、プレデターに至っては「人を殺して捨て台詞」感まで漂わせており(喋ってないけど)、まぁエンタメに徹してるんですけれど、主要登場人物に対するちょっとした演出が見事でね。「あ、こいつこういうヤツなのね」というのを案外丁寧に重ねていくんですよ。中盤を過ぎる頃にはならず者達ひとりひとりにすっかり愛着が湧いているんですね。
 
 ヘンリー・ジャックマンの音楽がまたいいんだ。メインテーマアレンジ曲は勿論、「ここぞ!」というところで、今あんまりなさ気な勇壮な「決め」の劇伴がかかるんでね、これがまた気持ちいいんですよ。
 
 難をあげると、今まであまり明かされてこなかったプレデターの様々な謎がいくつも設定されてしまったり、プレデターが妙に人間くさかったり、翻訳機を通して語りかけたりしてくるので、プレデターのある種の神秘性が「なぁんだ」と矮小化してしまったところですかねぇ。
 
 
 『オーシャンズ11』のダニーの妹・デビーが、全員女性のスペシャリストを集め、一攫千金の大泥棒仕事に挑むケイパーもの。キャストの豪華さと比例する登場人物の面白さ・魅力で物語をぐいぐい魅せていく感じ。僕の推しメンはリアーナ姐御です。作業着姿の勇ましさとドレス姿のゴージャスさ(タッパあるから映えるんだまた)
 
 元祖『オーシャンズ11』へのオマージュもちらほらあるんですが、『11』ではダニーが妻の心を取り戻すために盗みをするのに対し、『8』の妹・デビーは男に復讐するために盗みをするんですよ。男が尽くコケにされてしまう本作。おお、原始、女性は太陽だった!
 
 
27位:ミッション:インポッシブル フォールアウト
 トム・クルーズが自ら狂ったスーサイドスタントをこなしまくってしまった本作。監督インタビューなどを読むと、「あるアクションを思いつくと、その当日に台本が変わる」などと信じがたい事も語られていて……。
 
 その無茶苦茶ぶり、かつての香港カンフー映画のようでもありますが、それにしたってトム・クルーズは56歳、四捨五入したらもう還暦ゾーン。ジャッキーで言うたら『ベスト・キッド』を撮ってた時期ですよ。無茶具合はジャッキー超えてる……! イーサンの元妻とルーサーの会話で「ねぇ、彼元気?」「昔のまんまだよ。」という件がありましたが、昔のまんまどころかレベルアップしてて怖いぐらいですよ!
 
 当日に台本が変わるという制作のデタラメぶりが脚本に反映されたか、想定よりも現場の状態が悪くなる→とりあえず現場判断でそれに対処、という場当たり的なシーンが連続するのですが(何度おトムさんの「何とかする!」を聞いた事か)、「世界にはIMF(というかイーサン・ハント)が必要である」という総決算的なお話に集約される頃には、「あっなんかええ話やったな」という感じにはさせられてしまうのがズルいと思いました(笑)
 
 
28位:
アリー スター誕生
 レディー・ガガブラッドリー・クーパーの演技力&音楽力で、そのベタな古典的物語を成立させるという、ある種の『ボヘミアン・ラプソディ』ですね。『アメリカン・ホラー・ストーリー』は1stシーズンで視聴やめちゃったんで知らなかったんですけれど、ガガ様めっちゃ芝居できるやん!と(かつて俳優学校に通ってたんでしたっけ?)。ブラッドリー・クーパーとがっぷり四つの堂々の演技。
 
 そのブラッドリー・クーパーも、こつこつ練習してきたギターテクと、マジもんのロッカーのような歌声を華麗に披露。『ボヘミアン・ラプソディ』といい『グレイテスト・ショーマン』といい、(充分な準備期間などがあるとはいえ)芝居以外の要素のレベル高すぎじゃないですか海外の俳優陣は。舌巻きまくり。
 
 
29位:ちいさな英雄 カニとタマゴと透明人間
 スタジオポノック制作のアニメ3作の短編集。
 
 『カニーニカニーノ』 カニを擬人化したようなキャラクターのお話。子の成長と巣立ちを描いてるのは、ジブリからの脱却宣言としての『メアリと魔女の花』延長戦のような気も。背景美術がやばい。川の表現素晴らしい。
 
 『サムライエッグ』 卵アレルギーの少年のお話。本作も作画力が高くって、例えばダンスシーンなどの、躍動する身体を誇張・省略して描く表現が、昨今のCGによりダンスシーンに慣れた目には新鮮で見ていてすっごく気持ちいいんですよね。手描きアニメの醍醐味! まぁ別に作品の芯に関係あるシーンでもないのにそういう面倒臭そうな作画をひょいと差し込んでくるんでビビるんですけどw アイスクリームにまっすぐ刺さったスプーンが、時間の経過とともにじわじわじわじわと傾いていく描写とかもう細かすぎて笑っちゃったw
 
 『透明人間』 これが一番実験的だったなぁ。見た目だけでなく存在も、そして質量もない透明人間。この透明人間という特殊な存在を活かした「動」と「静」の作画に見応えがあって。「動」だとトラックとのチェイスシーン。スクーターに乗った主人公の体が、自身の質量のなさと走るスピードのせいで水平になってしまうんですが、その際カメラが、主人公の主観視点から体の中に引っ込んでいき、首→胴体→足→スクーター後方と、スパーンと抜けていくんですよ。透明人間なのを活かした気持ちのいい、そして見た事のない不思議映像!
 「静」だと、「雨に打たれてるので皮膚上に水滴がついてる。普通の人間だと右から見たら左についた水滴は見えないが、透明人間なので左側の水滴も全部見えている(ってわかりますこれ?)」って描写が凄かったなぁ。3作ともアニメーションの喜びに満ち溢れてました。
 
 
 事前に見聞きした監督の発言で、展開について予想が出来てしまい、サプライズ感を味わえなかったのはちと失敗でした。が、退屈はしませんでしたね。
 
 俺の隣で見てたおっちゃんが、例の組体操シーンで「なるほどねぇ~」と嬉しそうに唸ってたのよね。観客にこんな想いさせたらこりゃもう勝ちですよ。知恵と工夫、そして熱意がぎゅうぎゅうにつまった、二度と使えなさそうな魔法のような作りの作品でした。
 
 
 ノーラン三部作とも、DCEUバットマンとも全く色が違う娯楽作。このバットマン、戦国時代に飛ばされて多少は悩みますが、速攻で「装備やスーツがなくとも俺こそがバットマンなのだ」という『アイアンマン3』っぽいアイデンティティー回復がなされます。
 
 大仰でケレン味たっぷりの映像をただただ楽しめばいいのですけれど、アメコミ弱者の僕でもいろいろ「おっ」とさせられるくらい、結構丁寧に原作から拾ってる要素もあり。「バットマン」という大前提のもとではっちゃけちゃろうという、制作陣の意気込みが伝わってきてよかったです。
 
 高木渉ショーとも言えるくらい、ジョーカー役の高木渉さんパッション溢れる芝居が楽し。キャットウーマン役の加隈亜衣さんエロかったなぁ。ハーレイ役の釘宮理恵さんも脂が乗りまくり。
 
 
32位:シュガーラッシュ:オンライン
 ゲームキャラのアイデンティティーの話だった前作と違い、今回は割と普遍的な、「変わろうとするもの、変わらなくてもいいと思っているもの」の話になっちゃってますね。前作のようにゲームオタクが見て「これは俺の話だ!」と感じる点はあんまり……。
 
 それはそれで悪かないんですけどね。けども、言うなれば「田舎で年も性別も異なる二人が、熱い友情を育んだけれど、若い方は都会の刺激を受けて田舎から出るのを望んでいる。年老いた方は若者に田舎にとどまってほしいけれど、でも友人ならその友の夢を応援するべきじゃないだろうかと苦悩する。」話なんですよ。ラルフにとっては、ある種の『泣いた赤鬼』的展開で、ちょっと辛かったですね。だって僕、年齢的にも年老いた側/ラルフ側だもん。でも、若者の気持ちもわかるんだよな。都会には自分の力をより発揮できる場所があり、自分の力を認めてくれるライバルがいる。そりゃ田舎から出たいよ。俺もこんな田舎出たいもんな。あとはどう食っていくかだ(おっと話がそれた。)
 
 てか、スーパードラテク持ったキップのいいシャンク姉さんがハイパーチューンなカスタムカーで迎えにきて、手前の才能を認めてくれたなら、ヴァネロペならずとも俺もクラッと来ますよ。俺、シャンク夢女児おじさんですよ。白馬の王女様カモン!
 
 
33位:ハン・ソロスター・ウォーズストーリーズ
 ここのところ、毎年SW映画が上映されてるので、贅沢なことにありがたみがないなーなんて思ってたんですが、スピンオフとしては上々の出来なんじゃないでしょうか。若き日のソロとランドが、意外なほど魅力があって(特にランドは秀逸!)、そのお陰で最後まで楽しく見れたと思います。強引な点、これいらんやろな点もありましたが、キャラの魅力で乗り切った感。ウディ・ハレルソンベケットも良かった!
 
 「若き主人公が故郷を巣立ち、師に出会い、英雄としての萌芽を見せる」という点では、本作もep.4も同じなのですが、師は自分が倒し、ヒロインは囚われたままに終わるという、決定的なオチが真逆という作りになっているのが面白い(そうそう、「嫌な予感」「知ってたさ」の使い方も捻りがあって笑ってしまった)。ep.4の特別編以降の改変で不評な、「ソロがのんびり相手の話が終わるまで待つ訳ねーだろ問題」の意趣返しのような、そして甘ちゃんがアウトローになる為のステップのような、ベケットとの決闘シーンも良く出来てるなと。
 
 
34位:アントマン&ワスプ
 見どころたっぷり、楽しい楽しいアントマン映画2。ただ、ヴィラン側の描写が薄く、割りを食ってるように思えました。
 
 ゴーストとビル・フォスター博士は、スコット&キャシー、ハンク・ピム&ホープと対比される、さらにもう一つの父と娘の形なのだろうけれど、今ひとつ描写が薄い。なんならゴースト単体の描写も薄いので脅威も共感もイマイチ。
 
 脇ヴィランのパーチ一派も類型的な役割悪党の域を出ておらず。ちょっとした台詞や仕草で、「怖い」「出来るヤツ」あるいは「成り上がり」「案外抜けてる」等々とより豊かで印象的な人物にできたんじゃないかなぁと思います。面白かっただけに、惜しい点も目立っちゃったかという感じ。
 
 
35位:パーティーで女の子に話しかけるには
 突飛な奇行におよぶがエロカワイイ女子のエル・ファニングが完全に童貞を殺しに来ている。今で言うならあれだよ『ダーリン・イン・ザ・フランキス』のゼロツーに近いよこのエル・ファニング
 
 エンとザンの、実質ベッドシーンなパンクライヴシーンが素晴らしいのだけれど、ザンだけでなく、もっとエンの方のはみ出し物としての根源が吹き出していればよかったなぁという思い。あそこもっとアガる感じで!
 
 
 三大怪獣シカゴ決戦等々、こっちが想像してくれたことは大体やってくれるので満足なんだけれど、こちらの想像を超えたサムシングは果たしてやってこなかったなーという。
 
 あまり遺伝子変化を起こしていないっぽいゴリラは置いておくとしても、形状もだいぶ変わってるオオカミ、ワニ怪獣がその能力を発揮しまくってたとは言い難い。怪獣たちが個性を発揮しきれていないので、怪獣映画なのにその存在感はロック様に負けてるよねというw 逆にロック様はロック様のままなんだけど、珍しく追い込まれてしまうなかなかない絵なんかもみせちゃって。彼を追い込むには大災害や大怪獣クラスじゃないと釣り合わないというのがスゴイw
 
 
 アフリカントラディショナルデザインと最先端科学がごった煮状態のワカンダ描写が新鮮で面白かった。
 
 ラストの国連総会演説、「るつぼ」的に多くの人種の記者が集まる会場での訴えは、今のアメリカを反映したもので、非常に共感はするのですが、ブラパン1作で描くにはもう少し前段が欲しかったかなぁという思いもややあり。キルモンガーにユリシーズ・クロウの2大ヴィランは双方ともに魅力的。死んでしまうのが本当惜しい。
 
 
38位:悪女 AKUJO
 アクションはアイディアたっぷりで「ど、どーやって撮ったの??」と思うくらいにカメラがモリモリ殺陣の間を自由自在にすり抜けていくのが凄まじい。OPの鏡張りの部屋で戦うシーンは、カメラマンを映らないようにするのはどうしたんだろう。単純にCGで消したのかなぁ?
 
 ただ揺れが相当に激しいので、肝心の殺陣が捉えにくいのは確か。だがチョン・ビョンギル監督が前作『殺人の告白』とは違う畑に大胆にチャレンジした、その精神は大いに買いたい。次回作に期待!
 
 
 ジョン・ウー校長が大阪でロケ、福山雅治がメインどころを張るというのが嬉しいじゃないですか。これがまた面白いアクションが連発なんだ。いつものジョン・ウー節は勿論ですが、手錠で繋がれたチャン・ハンユーと福山雅治が二人で一人、文字通り背中を預けあうことで産まれる美しいショットがたくさんあるのは流石でございます。
 
 たーだお話が進むに連れて、お話のリアリティレベルがどんどんライダー映画みたいな方向にスッ飛んでいくので、そこが本作品に珍味感を与えてしまっているというか。
 
 
 音を出したら速攻殺しに来る盲目エイリアン vs そんな世界で生き抜く家族というホラー……なんだけど、モンスターは実はそんなに重要ではなく。家族側のドラマを描く方が主軸なんですな。だから「音を出したら即死」というアイディアは、実は舞台背景や装置でしかないので、設定なんか結構ガバいです(エイリアンの総数がわかりませんが、あんな原始的なやつに世界中の軍隊は潰せないと思う。飛べないし)。だからそこで結構肩透かし食らう人もいるんじゃないかしら?
 
 なぜあの家族は流暢に手話を使えるのかとか、そういう説明は一切ないのよね。下手すりゃあの姉の設定が最後までよくわからん人もいるかも?(とはいえ僕も途中で気づいたんだけど)。ストイックな「語らずの美学」を感じました。でもラストの、エイリアンの弱点分かって、さぁ大反撃だのシーン、完全にノリノリでしたよねw 見せつけるかのように思い切りショットガンガシャッ!って装填するのはもう見栄切りの域w
 
 
41位:ヴェノム
 ヴェノムがエディーに影響されて、ライオットが他のシンビオートを呼び寄せるのを止めようとしたのと同様、エディーもヴェノムに影響されてるのよね。ラストでは馴染みの雑貨屋を強請るゴロツキを躊躇なく食ってる=殺害してる。疑惑の会社の不正を暴こうとし、友人のホームレスには温かいエディーもシンビオートの影響を受け……という事だとは思うんだけど、その辺しっかり描写しないのでちょっとどっちつかずな気もせんでもない。二人が共生する上で結構大事なことなので、続編も見据えてそこもうちょっと掘り下げてもええんでないの、とは思いました。
 
 キーワードっぽい「できないことなんてない」の使われ方もピリッとせず。脚本はどうもっさりしてた印象。楽しいシーンは割とあったのでよし。
 
 
 今までの ──それこそ1stからUCまで── の宇宙世紀ガンダムの貯金を存分に使った「サンプリング」ガンダム作品。「ニュータイプ」という言葉の定義をかなり独自に拡大してるので、ここに乗れる乗れないはあるんじゃないだろうか。 ちなみに僕はあそこまでNTにイタコ的オカルト要素はあんまり持たせてほしくないなーって感じ。なんでもありになってしまうし、今後、とりあえずNTが奇跡を起こせばええのやろ?という話になってしまう危険性があるからね(そして本作もまた、その想定の範囲を出てないものね)UCがきっちり完結した作品だったので、そこから新キャラ出されて話展開されても、というのもある。
 
 とはいえメインキャラ3人の立ち位置は面白かっただけに、もっと思い入れを抱く時間がほしかった。悪くないんだけど、UC並みに尺取ってたっぷり描いて欲しかったってところ。
 
 
43位:ザ・シークレットマン
 まるで『ペンタゴン・ペーパーズ』の続編かのように、「ウォーターゲート事件」を題材にした作品。すっかりアクション俳優じみてしまったリーアム・ニーソンですけれど、彼の重厚な芝居を久しぶりに見ました。光と影の使い方も上手いのでしょう。リーアム・ニーソンの顔の凹凸と鋭い視線を使った、暗闇に浮かぶ表情。悩める副長官の姿を印象的に演出、独立捜査機関たるFBIを妨害する政権に対し、どう戦うのかが淡々と描きます。
 
 淡々と描いているが故にカタルシスに欠けているのですが、「過去」を描くことで「現在」を浮かび上がらせる事には十二分に成功しているので、僕のような日本人にもリアリティーをもって受け止められるのですよね。ニーソン演じるFBI副長官のマーク・フェルトと部下の会話が心に残っています。「大統領がウソを?」「人は皆ウソをつく。」あれあれ、本邦でも似たようなこと、なかったっけ?
 
 
44位:仮面ライダー 平成ジェネレーションズ FOREVER
 「仮面ライダーとは虚構である(でも……)」という掟破りぎみなメタ視点で贈る平成ライダー総まとめ映画。『レディ・プレイヤー1』のような「物語(あるいは架空のもの)の力を信じろ」というテーマを、小さい子が見るライダー映画にぶっこんで来た気概は買いたいが、上手く処理できていたかというと……。「子供向け」を舐めて見るつもりはないけれど、とはいえ「子供向け」作品で、そういう哲学をガッツリ語るのは難しいんだろうな、というある種の限界も感じてしまうのです。
 
 それでも、20作品の歴史は伊達じゃない。次々と平成ライダーたちがスクリーンの中に現れるその時、スクリーンの外の子どもたちが、まるで応援上映会のようにあ「あ、クウガだ!」「ダブル!」「エグゼイドー!」と声を上げる様に、僕たち大きなお友達が、生まれる前に活躍していた昭和ライダー喝采を送ったように、平成ライダーたちも今の子供たちに同じように受け入れられているんだ。彼らのヒーローなんだと思うとなかなかにグッと来るものがありましてねぇ。この作品、やっぱ子供の多い劇場でみなきゃダメですよ。
 
 
45位:MEG ザ・モンスター 
 ステイサム vs 巨大サメ!の看板に期待をするも、ちょーっとお行儀良すぎません?と。『ジョーズ』的なスリルも、怪獣モノのスペクタクルにも欠ける感じ。予算かけてるのに妙に手堅くまとまってやんの。
 
 とはいえクライマックスで、「あれっ今から『ワイルド・スピード』時空のリアリティラインに変わった??」と思わせるような抜群のステイサム働きは見れます。なぜこれをもっと早く……とは思いましたが、そうするとこの作品1時間で終わっちゃうねw
 
 
46位:ファンタスティック・ビーストと黒い魔法使いの誕生
 前作の珍獣大脱走な面白要素より、キャラクター同士の関係性のドラマに針を降った感じ。僕はハリポタ未見なので、故にわからんところも多々あったんじゃないかなー。まぁこれは観てない僕が悪い。シリーズ履修してから観ましょう。
 
 しかし魔法のムツゴロウさんことニュートが、グリンデンバルドは動物舐めてる言うてたけど、動物群がアレに勝てそうな気もあんまりしないんだけどどうなるんじゃろ。
 
 
47位:ゴッホ 最後の手紙
 本作が変わり種なのは、「ゴッホ画風の動くアニメ」な事。出て来るシーンのあれやそれがみんなゴッホの絵で見た場所。そして人間もちゃんとゴッホタッチ。100名以上の画家を訓練してゴッホの画風を身に着けさせ、そしてそれを動かすために全て油絵で描く(しかも殆どの背景も1コマずつ描いてる)という、ゴッホリスペクトが高じすぎたこの狂気! アホみたいに拘り抜いたアニメ『蟲師』の監督・長濱博史氏すら「狂ってる」って感想を漏らす訳だよ!
 
 
 「図鑑から溢れ出てきたような大量の恐竜とくんずほぐれつ」を期待するとえっれぇ肩透かしを食いますねこれ。
 
 ラストはついに恐竜が世界に解き放たれ、図らずとも人類は恐竜との共存をするハメになる……と、タイトルに冠された「ワールド」の解釈の逆転が起こります。続編もありそうな雰囲気ではありますが、明るく楽しい感じにはどう考えてもならねぇぞという。「今度は戦争だ!」になるしかないよなぁ。
 
 
 ゴジラよりも、櫻井孝宏声のメンヘラ文明破壊星人の方が俄然目立ってるのが、うーむ。ギドラ顕現時のタイムスタンプの歪みによる「俺はもう、死んでいる」表現は面白かったけど、全体的にビジュアルが貧相でもあったかなと。
 
 
50位:GODZILLA 決戦起動増殖都市
 起動増殖都市の発想が弱い。メタルクウラみたいにメカゴジラがトンデモ増殖とかすると思ってたのになぁ、意外にはっちゃけてくんないんだ。これ三部作という事で、「ここでゴジラが滅することはない」のは観客側にもバレてる訳で。
 
 じゃそう思ってる観客をもっと引き込むには、「えっ、この話ここで終わるんじゃね?」くらい、もっと人類サイドがゴジラを圧倒する様を見せても良かったんじゃないかという。まったくの予想の範囲で収まってしまったのが残念。
 
 あとそこそこリアルな人体CGの挙動に、あの影の付け方とか絵柄のリアリティがちぐはぐというか、やっぱり凄い違和感感じます、僕は。
 
 
 前作が「巨大ロボットが出る特撮怪獣映画ハリウッド版」なら、本作は「敵が怪獣の深夜巨大ロボットアニメハリウッド版」な感じ。
 
 物凄くテンポよく進んでいくのだけれど、すると今度はもろもろ描写不足にも思えてしまう。ジェイクの「偉大な英雄の親族を乗り越える」という、『クリード』的なテーマはなんとか描いた感はあるけれど、アマーラの「家族の仇を討つ」という動機は果たしてはいるものの、過程が足りないものだから共感しきれない。ラストバトルの前作にはなかった団体戦、これも新しい絵は描いてるものの、メインどころ以外のパイロットに思い入れがまだできていないから、これもやはり盛り上がりきれない。色々とアイディアは出してるんですけど、とっちらかってるんですな。
 
 あと1について、昼の怪獣バトルがない!って言われてましたけど、単純に昼やりゃいいってもんじゃないなというのも大いに感じました。闇と雨は七難隠しますよ。予算無いなら尚更。
 
 
 良く出来てる。良く出来てる……んだけど、僕とテーマが噛み合わなくって琴線に触れなかったという印象。連綿と続く親子・家族の絆。でもなぁ、俺このままいくと普通に孤独死まっしぐらの人間だしなぁ。死者の国に行ったと思ったら即二度目の死ですよ。
 
 結婚して子供もいる人は、後に続く者を思ってグッとくる話なんだと思う。思うよ。でも僕ぁそんな存在いないもんなー。普段「人は人だしな」と割とドライに思うタイプではあるんですが、とはいえ、疎外感を抱いてしまったのは事実。
 
 
53位:キングスマン ゴールデン・サークル
 魅力的な紳士スパイ達がひみつ道具を使ってのハチャメチャアクション&お下品ネタは変わらずで、楽しい楽しい作品……なのは間違いないのだけれど。どうにもシナリオがよろしくない。
 
 マーリンの退場の仕方のあの雑な理由ね(お前の持ってる金属探知機はなんなんだって話ですよ)! いくらでも他にやり方あるでしょと思うのだけど、どんどんダメな方に話転がしていくんだもの。今まで超人的にハチャメチャやってたのにこんなに雑に・あっけなくそんな事されても乗れない。その後感動的にされても逆に困る。
 
 
54位:ダークタワー
 ガンスリンガーの描写……心で弾を放つサイコガンメソッドや、エクスカリバーを融かして作った二丁銃、ラストのカチコミシーンなどはくすぐられるんだけど……。
 
 お話としてはさしたる盛り上がりどころもないというか、折角の諸々の設定それぞれは良さげなのに活かしきれてないような……。主人公とガンスリンガー、父を失ったもの同士が銃を通して交流するシーンは良かったんだけど、それ以上特に深みがないのももったいない。
 
 マコノヒーの幻術も主人公の母を追い詰めるところとかは面白い撮り方してるのに、ガンスリンガーとの戦いではふつーのサイコキネシスなのも肩透かしなのよね。
 
 
 ミシェル・ロドリゲス姐御がおっぱいとちんちんを晒す体当たり演技で望んだ作品なのに、物語はなんだか妙にどよ~ん&ジメジメしてるの……。

 「えっ、殺し屋のミシェロド(男性体)が復讐に狂う女医 a.k.a シガニー・ウィーバーの手術でミシェロド(女性体)に!?」というプロットで観客が観たいのはそんな作風じゃないと思いますぞ?
 
 
 
 以上、55作品寸評。アニメが大豊作だったなぁ。今年も面白い作品に沢山巡りあいたい。

2017年映画ランキング

 新年あけましておめでとうございます。僕は相変わらず冴えない感じでやっとりますが、なんとか健康なのが救いでございますな。ともかく、2018年もよろしくお願いいたします(特にリアルでお会いしてる友人の皆々様!)。

 

 さて昨年は、1週間に1本ペース、年間50本の映画を観るという目標を立て、結果47本の作品を鑑賞しました。僅かに目標に届かず! 仕事の繁忙期に観に行く気力が湧かなかったのだよなぁ、勿体なし。
 それはさておき、記録として、ここに自分の2017年の映画ランキングと、作品ごとの寸評をまとめてみようと思います。

 

 

※注意等※

・2017年に自分が劇場で見た全映画のランキングです。

・映画館で見たから、本数を見たから偉いという訳ではないですし、このランキングが絶対という訳ではありません。感想含め、あくまで僕の主観です。

・このランキングは「現時点で振り返ってみると大体こんな感じ」という程度の気軽さでつけています。今後順位が上下する事は大いに有り得る、大雑把なランキングであるという事をご承知ください。

寸評中にはネタバレも含まれますので、ご了承ください。

 

 

 

◆2017年ランキング

1:新感染 ファイナル・エクスプレス

2:レゴバットマン ザ・ムービー

3:ベイビー・ドライバー

4:スター・ウォーズ 最後のジェダイ

5:ラ・ラ・ランド

6:スパイダーマン:ホームカミング

7:マイティ・ソー:バトルロイヤル

8:ガーディアンズ・オブ・ギャラクシーミックス

9:ローガン

10:トリプルX 再起動

11:マグニフィセント・セブン

12:HiGH & LOW THE MOVIE 2:END OF SKY

13:スノーデン

14:キングコング 髑髏島の巨神

15:ワイルド・スピード ICE BREAK

16:傷物語 Ⅲ 冷血篇

17:猿の惑星 聖戦記

18:ブレードランナー2049

19:Fate/stay night [Heaven's Feel] I.presage flower

20:ジョン・ウィック チャプター2

21:バイオハザード ヴェンデッタ

22:パトリオット・デイ

23:アトミック・ブロンド

24:バリー・シール アメリカをはめた男

25:ドリーム

26:ザ・コンサルタント

27:ドクター・ストレンジ

28:IT それが見えたら、終わり

29:ハクソー・リッジ

30:KUBO 二本の弦の秘密

31:ジャスティス・リーグ

32:ダンケルク

33:バーニング・オーシャン

34:おじいちゃんはデブゴン

35:オリエント急行殺人事件

36:GODZILLA 怪獣惑星

37:HiGH & LOW THE MOVIE 3:FINAL MISSION

38:ワンダーウーマン

39:パワーレンジャー

40:夜は短し歩けよ乙女

41:打ち上げ花火、下から見るか? 横から見るか?

42:ザ・マミー 呪われた砂漠の王女

43:エイリアン・コヴェナント

44:メアリと魔女の花

45:ゴースト・イン・ザ・シェル

46:ひるね姫 知らないワタシの物語

47:虐殺器官

 

 

 

 

 

 

◆寸評

1:新感染 ファイナル・エクスプレス

  閉鎖空間、乗り物の中を舞台にしたゾンビ映画はちょいちょいあるんですけれど、その中でも本作は舞台となるKTX車両や、ひいては鉄道という「ギミック」の活かし方が上手い。よくもまぁ手を変え品を変え見せ場を作ってくれます。

 また登場人物に個性があるんですね。各人のちょっとした時に見せる行動で思い入れが深まる。だからこそスリリングなシーンで手に汗握らざるをえないんですよね。つまり基本が出来てる! 列車 in ゾンビというアイディアだけに留まらず、工夫を重ねた見せ場の数々にWWZのような目で見るゾンビの数の暴力も見れた上で、しっかり人間たちのドラマも描かれており……ゾンビ映画のド傑作だなぁ!

 主人公が父親なのも相まって、父とは、親とはという点にスポットを当てたシーンが何箇所もあって、僕も人の親ではないものの、いい歳なんでグッと来ましたね。ソグ、サンファ、ヨングクの三人がトイレで一息つきつつ、男とは、父とはについて語るシーン最高! 僕の両親も、(ゾンビパンデミックではないにせよ)色々な事から僕を守ってくれていたんだろうなぁとしみじみ思ってしまい、見た後に父母にありがとうを言いたくなってしまいました。

 吹替で見たんですが、主人公を演じるコン・ユの吹替を担当した中村悠一さんの声は、人が無償の善をなす時の高潔さを具現化したような声なんですな。やがて「父」となり、ひたすらに娘を守る男の役に適役! 流石キャプテン・アメリカ演じてるだけありますよ!

 

 

 

2:レゴバットマン ザ・ムービー

 レゴ? 子供向けなの? いやいや、映画になったバットマンを見続けてきた大人たちにこそ見ていただきたい、映画バットマンの大総括にして、アメコミの枠を超えた超クロスオーバー娯楽作品なんですよ。いいバットマンの最終回だった!

 特に近年のノーラントリロジー以後のバットマンは、(ノーラン病という言葉で揶揄される程に)苦しみ、悩み、孤独に戦う闇の騎士というイメージがすっかり定着してしまいました。本作のバットマンも、「子供向け」らしからぬ深刻な悩みを持っているのですが……そこは底抜けノー天気感には定評のあるレゴアニメシリーズ。深刻になりすぎてテンションを落としちゃうような事もなく悩みを解消、そして解決に導く手腕は見事の一言。

 バットマンジョーカーの奇妙な、ブロマンスといってもいいような関係性も盛り込み、さらにさらにクライマックスの大カタストロフを実にレゴイズム溢れるやり方(しかもバットマンの孤独な心と他者の心が結ばれるというのをまさに体現する形で)見せ切るのだから、これはもうシャッポ脱ぎました。レゴ映画としてもバットマン映画としても大傑作!

 

 

 

3:ベイビー・ドライバー

 エドガー・ライト監督作品らしい小気味いいカッティングやいつものシチュエーションは健在ながらも、ブラッド&アイスクリーム3部作やスコット・ピルグリムのようなボンクラ感は無く。主人公の聞いた音楽がBGMという変わり種アイディアはこちらの感情を喚起させるだけでなく、脚本としっかり結びついており、主人公ベイビーの感情や人間性表現にも役立っています。僕は洋楽に全く明るくないですが、それでもすっかり、時にはノリノリ、時には悲しく・切なくと、すっかりベイビーというキャラに共感してしまったのでした。あと終盤のバディのセリフでようやっと気づいたけど、これ歌の歌詞もちゃんとその時の状況やら心情を語ってたのね。ミュージカルじゃん! 洋楽、英語判る人羨ましい。

 冒頭、ベイビーが強盗仲間を待つ間の音楽にノリノリの様子(あ、ここだけエドガー監督のいつものボンクラ感あるわw)から一転、無数のパトカー相手を手玉に取るカーチェイス。もうここだけでベイビーのこと好きになっちゃうよ。格好いい&気持ちいい。フゥー! それに続いてのOPクレジットのシャレオツな長回しシーン。これは今回のエドガー監督はいつもと違うとビンビン感じさせてくれます。いつも以上に緩急が洒脱でグイグイ引き込まれるんだよなぁ。

 そして、ボニー&クライドのような逃避行がああいう形で終わり、その後に繋がっていくというのは、エドガー監督が持つ優しさじゃないでしょうかね。他作品でもそうですが、人間を肯定したいという暖かみが僕は好きなんだなぁ。

 クライムアクション、カースタント、若者の成長・恋愛、そして音楽。様々な要素が奇跡的に折り重なった、本当にノリノリで気持ちよく、切なく、暖かく、ゴキゲンな作品でした。ありがとう! ありがとう!!

 

 

 

4:スター・ウォーズ 最後のジェダイ

 過去作をたっぷり本歌取りもしながらも、完全に「世代交代」を果たした感がある本作。中盤カイロ・レンが予想外の動きを果たして、いやァ面白くなってきやがったと! 予想としてはせいぜいレンがレイを暗黒面に誘い、ジェダイの後継者がいなくなるところで終わり、Ep.9でなんだかんだで2人がライトサイドに還るねんやろ? とか思ってたのに! 

 レンは冴えないクソオタクのボンクラ二代目扱いでネタにされるし、俺もそう思うけどさァ……。生まれのお陰もあって力を持ってしまったけれど、器じゃないなんて彼もよく判ってると思うんよ。器なんてこれっぽっちも無く「何者にもなれねぇな」とレースから降りちゃったヘタレな僕は、父を斬り師を斬り、器に全く見合わぬ修羅道を迷いながらひた走る彼に、どこか憧れや応援するような感情を抱いてしまうんだな。アイツは俺ですよ!

 そしてアイツは俺、と言えばルーク! Ep.4でタトゥイーンの2つの夕日を眺めるルーク。辺境の田舎とは、勿論そのままの意味でもありますが、ズバリ若者を縛る「枷」の象徴でありましょう。「このまま腐っていくしかないのか」という諦め混じりの苛立ちに、全世界の「枷」に囚われた若者のように、僕は共感を覚えたものです。やがてルークは田舎を飛び出し星々を巡った果てに英雄になったものの、また「枷」に囚われてしまいます。歳経た僕もやはりまた。

 しかしルークの精神は「枷」を破り、遥かな空間を飛び越えて、最後に大きな務めを果たしたのです。その彼が最後に見たものは……あの2つの夕日! 人は老いるけれど、それでも……と可能性を示してくれたと信じたいですね。

 誰だってフォース使えるんだ問題も賛否ありそうですが、『ウルトラマンティガ』の「人間は皆、自分自身の力で光になれるんだ。レナもなれただろ?」的で僕はアリだと思います。この作品の肯定派というより、大好き派です。

 

 

 

5:ラ・ラ・ランド

 画面の色使いも艶やかな序盤は、レトロなミュージカル映画のようでもあり。主人公の二人も、その時代の映画の中のような「夢見がち」にも思える台詞を語ります。しかし話が進むにつれ、画面の色は落ち着き、主人公たちもそれぞれの現実という壁にぶち当たります。「古き良き」ミュージカル映画のようでありながらも、ここで描かれる「愚かな夢追い人」の姿は、この世界中に無数にいる「今」の夢見る若者たちそのものなのでしょう。

 ミアがオーディションで歌ったおばさんの逸話の中の言葉、「少しの狂気が新しい夢を見せる」。ミアが踏み出す為に(そしてセブが踏み出すためにも)、2人はあのままではいられなかった。あの別れは必然だった。夢追い人たらん者が諦めてはいけない事、諦めるしか無い事。「冬」でセブが演奏している間のあの泡沫の夢(そう、まさしく夢)の切なさ。しかし2人は互いを認め合えた。セブのあの笑顔と納得に、ただただ涙。

 

 

 

6:スパイダーマン:ホームカミング

 うるさ方が仰るところの、「スパイダーマン映画の問題点」をひょいとクリアしつつ良質の青春映画に仕上げ、スパイダーマンとしては新鮮なルックのシーンを幾つも見せてつつ、なおかつMCUシリーズとしてのブリッジの役目もちゃんと果たしてるという凄まじいバランスで作られてる非の打ち所のない作品。新スパイダーマンを演じるトム・ホランドくんの、応援したくなること必至の驚異的なかわいさ、フレッシュさ。友人ネッドの愛すべきバカオタクぶり。個性豊かなクラスメートたち……。キャラクターの勝利!

 敵のヴァルチャーも魅力的なんだなァ。彼の行った事は悪ですが、気持ちは物凄く判るもの。トランプ政権誕生の裏には、ああいう事の積み重ねもあったのでしょう? 情勢もよく取り込んでらっしゃる。

 『アベンジャーズ』でのNY決戦は今回明らかに911として描かれてましたよね。明るいベン叔母さんや呑気な先生がふと見せる、NY決戦にまつわる暗い影。ピーターの「克服」シーンもモロですね。あっちの映画は現実に起こった事件のエンタメ昇華が上手いよなぁ。

 

 

 

7:マイティ・ソー:バトルロイヤル

 監督が作品作りのコントロールをなかなか取れないという噂のMCU作品ですが……。果たして本作は、全体にコメディタッチが漂う負け犬たちのリベンジ物語という、いかにもタイカ・ワイティティ印の作品に。ソーの快男児ぶりがボルテージMAXで見ていて気持ちいいんですよね。情緒不安定なバナー、成長してないロキも楽し。

 終始楽しい楽しい作品で、クリヘム(&吹替担当・三宅健太)の弾けた愉快な芝居が堪能できるのですが、大層シリアスな展開もあり。両氏が芝居で様々な顔を覗かせてくれるので、ファンならどちらも必見(必聴)。ヘラ役のケイト・ブランシェットは洋製曽我町子といえる流石の貫禄(高笑いしてほしかった!)。

 ……と、メインキャストの描写は大満足なんですが、スカージやウォリアーズ・スリーの扱いの雑さったらないというか…シフはAoSのお陰で助かった? 紛うことなき傑作で、ワイティティ監督には感謝感謝だけれど、ウォリアーズ・スリーのあの扱いに関しては全く納得がいってない。いつか酒場でバッタリお会いしたら二時間説教モードだ。

 

 

 

8:ガーディアンズ・オブ・ギャラクシーミックス

 ワイスピ時空がグルート役のヴィン・ディーゼル経由でMCUと繋がったのかと思うくらいに、「家族」の物語だった……。そしてまんまと泣かされてしまった……。

 ラストでかかる作品を象徴するオールディーズナンバー『father and son 』がめちゃグッと来た。

www.tapthepop.net

 この手の曲に心を動かされる事なんて今までなかったんだけど、それ俺がいい歳こいて、この曲に歌われてるような事に向き合ってこなかったからなんだよな、恥ずかしながら。

 スターロードは作品を司る音楽要素の象徴たる、母から受け継いだカセットテープ&ウォークマンを「父」の手によって失ったけれど、「親父」から新たにZuneとして受け継いだんだな。

 

 

 

9:ローガン

 「X-MEN」でも「ウルヴァリン」でもなく、まさしく「ローガン」な一作でした。一個人の内面を掘り下げる、『アイアンマン3』的な物語。アダマンチウムの毒により能力を失いかけ、ボロボロのローガン。あの偉丈夫が冒頭からチンピラ相手に苦戦し、手加減をしてる余裕などなくやむなく惨殺するしかないという衝撃。やっとこ住処に戻ればエグゼビアの介護が待っており、何かと同居人のミュータントと言い争うという、まぁー哀しい境遇ですよ。

 「自分の愛したものはみな酷い目にあう」、とローガンが言うように、幾つもの物語を重ねて、結びつきの殆どを失ってしまった彼が、自分の遺伝子から産まれた娘・ローラと出会う。やがてエグゼビアも失い孤独を選ぼうとしたはずのローガンは、しかし最後にローラを助けに走る、走る!(薬物によって往年のバーサーカーレイジを取り戻すさまがまた切ない)
 凶暴性を植え付けられ、兵器として産まれたウルヴァリン・クローンの強敵・X-24という「己との戦い」の果て、今際の際にやっと、今まで持てなかった「家族(としての絆)」をローガンが得たのは、救いがあったとも言えるけれどやっぱり哀しいなぁ……。
 ラスト、ローガンを埋葬したローラが、墓標として作った木の十字を斜めに倒すんですね。まさしくそれは「X」の文字。最後の「X-MEN」メンバーへの弔いであり、一作目から今まで続いてきた映画のX-MENシリーズの終わりを示してもいて……。なんともしみじみ泣ける終わり方でした。
 

 

 

10:トリプルX 再起動

 すげぇ! 上映時間の108分全て、ひたすらにハッタリをかました絵が流れ続けるんだよ! やだ楽しい!ヴィンさま抱いて!

 最強の敵に挑むイカれた仲間を紹介するぜ! 百発百中のスナイパービッチ、アデル(アダ名はクリ勃起)! 199のデススタントをこなした不死身のフェイスブックいいねキチガイ、テニソン! 葬式会場もサンバカーニバルに変えるDJ.ニック(一緒にいると楽しい)! かように矢鱈に濃くて変な仲間を引き連れたケレンみたっぷりヴィン・ディーゼルが、ピチピチの53歳ドニー・イェン、 今回悲壮感ゼロで陽気に暴れるトニー・ジャーUFCミドル級王者マイケル・ビスピンと戦うんですよ。

 『ワイルド・スピード ICE BREAK』もそうなんですが、冒頭で主人公の大独壇場のスーパーアクション&男気祭りコーナーがあるので、シリーズ未見の人でも開始10分であのマッチョハゲが好きになってしまうという、最高のヴィン・ディーゼルPVになってるのも上手い。まーただただ楽しい。皆も観ろ!

 

 

 

11:マグニフィセント・セブン

 黒人、PTSD患者、山男に東洋人にメキシコ人にインディアン。それに用心棒を雇い主の女性と、PC配慮(?)が幸いして、オリジナルよりメンバーに幅が出ましたね。七人を集めるまでがあっさりしすぎで、各々の動機がイマイチはっきり描かれない(特にインディアンが仲間になるシーンの力技具合といったら!)のは気になりますが、テンポは悪くない。

 そういう各々のエピソードをもっと見たい!と思わせるほど、各メンバーは魅力的でした。特にクリス・プラットは儲け役で、僕がイメージしてるクリス・プラット像を一番体現してるんですよね。ジョセフ・ジョースター的「またまたやらせていただきましたァン!」なトリックを使いこなす食えない、しかし愛嬌たっぷりな男!

 イーサン・ホークイ・ビョンホンのいちゃいちゃぶりや、ヴィンセント・ドノフリオのラブリー狂熊ぶりも見逃せない。そんな連中が技・奇策・地元民との連携で見せる激闘・死闘。やぁ、なんと見応えある西部劇のガン・バトルでした。

 しかし歪んだ資本主義を体現するような敵役に、寄せ集め多国籍・マイノリティ軍団が挑むってのも、偶然とはいえ、まぁいいタイミングでこんな話が劇場にかかったもんですなぁ。

 

 

 

12:HiGH & LOW THE MOVIE 2:END OF SKY

  日本屈指のアクション映画がさらにその凄みを増して帰ってきたのだから堪らない。中盤のバイク&カースタントシーンは日本のアクション映画のレベルを超えてる。素直に手に汗握ってしまった!

 終盤のハイロー名物、集団対集団の喧嘩祭りも、個々人・チームの個性を活かした色のあるアクションは益々冴え渡り。登場シーンにチームのテーマ曲が流れるのは演出の常套手段ですが、前述のようにきっちり個性を描いた上だと尚の事効きますね。

 ハイローはシリーズ通して脚本が稚拙なところが多々あります。しかし今回、話があるにはあるけれど、それが殆ど前進してないのも良い方に作用してたかもしれません。話ダッセーな……と焦れる事なく最後までアクションを堪能できました。

 細かい点は皆さんの感想に譲りますが、日向のどこまでも進化していくエクストリーム腕十字と、村山のかわゆさがたまらんところはやはり言及しておきたいですね。鬼邪高校の永遠の部活感いいなぁー、楽しそうだなぁー。

 

 

 

13:スノーデン

 米国が世界の、そして国内の情報を違法に収集していたという事を暴露したスノーデン。その暴露事件そのものを描くというより、関わった彼個人の苦悩と決意を描く事で、よりこの事件の危うさを浮き彫りにする事に成功しているように思えました。

 この作品の成否はスノーデン演じるジョセフ・ゴードン=レヴィットの力量に結構なウェイトが置かれてると思うのですが、果たして彼はおよそ10年間のスノーデンの心情変化を丁寧に表現してくれています。あの光の下へ赴くシーンの、なんとも深く心に響く事よ。

 アメリカだけでなく、どんな国でも(日本でも!)個人の自由や権利を制限したり侵害したりするのには「NO」と言いたいものです。しかし体制の力は巨大すぎて、個人がそれを貫き続けるのはとてつもなく難しい。スノーデンが、大きなスクリーンに映し出された上司・コービンと対峙するシーン。悪魔めいた様子でスクリーンに映るコービンは、体制という「大義名分」の下ならすべて許されるいう嫌らしさの象徴ですよ。撮り方の勝利。

 

 

 

14:キングコング 髑髏島の巨神

 中々御大が出てこないギャレゴジの焦らしプレイとは対局の、南海の怪獣・巨獣・珍獣の釣瓶撃ち! 人間なんぞ軽はずみに死ぬ! とはいえざっくり大味映画という訳ではなく、かなり誠実で真面目に作られてるなぁと思いました。怪獣プロレス興行の邪魔にならない程度に人間のドラマを絡めて、個人個人をそこまで深掘りはしないけど、「あ、こいつこんな人間なのね」としっかり判る丁寧さ。怪獣もその動きだけで生態がちゃんと判ってまるで怪獣図鑑のような楽しさ。

 コングのあの知性溢れる戦術と技も素晴らしい。大木を武器にする際は、クッションになる枝葉をこそげ落としてから使うし、自分を縛った船の鎖&スクリューを流星錘のように巧みに使い、その鎖で相手を捕縛する喧嘩巧者ぶりですよ! それをヒロインをソフトに掴みながらやるってんだからさァ! 『ブレードランナー』で、片手に鳩を優しく包み、もう片方の手でデッカードを持ち上げたレプリカントの超人性を表す描写を思い出してしまった。 これで成長途中ってんだから、ゴジラとの怪獣王争奪戦が楽しみじゃて。

 

 

 

15:ワイルド・スピード ICE BREAK

 快速王に俺はなる、ファミリー大事なワンピース系やんちゃカーアクションムービーは8作目でついに氷上決戦! ドム、ホブス、デッカードの3人の超人度数もどんどんアガるゾ!

 この作品、ど派手トンデモアクションがメインですけれど、構造的にも上手くできていて。敵も味方も徹頭徹尾「ファミリー」の絆にこだわりぬいてるんですね。一貫性があるので見ていて納得がいくという。無茶苦茶な話なのだけれど、トンデモアクションつるべ打ちだけに逃げないこういう姿勢はちゃんと評価したいなぁ。

 

 

 

16:傷物語 Ⅲ 冷血篇

 登場人物の心象風景や立ち位置が反映された、時に写実的、時に幾何学的、時に超現実的なシリーズ独特の背景美術と、抑制的ながらも美しく乱舞する光と影、赤と黒の色彩が作り上げる美しくも妖しの世界。尾石達也マジックここに極まれり!

 クライマックスの不死の吸血鬼同士のタイマンバトルも、ハイパーポップなゴアアクションで楽し。ポップコーンが弾けるように首がポンポン飛ぶよぅ!

 しかし『キャット・ピープル』でも思ったけれど、あんなキスショットみたいな魅力的な吸血姫がいたら、バンバン人殺させちゃうよね!(断言)

 

 

 

17:猿の惑星 聖戦記

 確か町山さんが、シーザーがモーゼ状態な出エジプト記的な話であるとか仰ってたと思うんだけど、キリスト教に基づいたお話ではあるのかしら? 人を人たらしめる云々を阻害する新たな病はバベルの塔のエピソードよりの拝借と考えると、あれは生物の霊長であると奢った人類に与えられた罰ですよね。そういう発想は非科学的ではありますが、とはいえ「こりゃ人間色んな意味でもうダメだわ」という描写しか繰り返されていないし、「せめてこの人間だけは助かってくれよ」という善なる存在もいないのでまぁ罰当たってもしょうがねーなという心持ちでしか同族・人間を見れなかったのであります(ひでー)。

 作中でシーザーについて「目がほとんど人間だ」みたいな台詞があったと思いますが、その目は今まで以上に更にモノを言うというか、僕らが感情移入する大いなる一助になってると思うんですよ。目の芝居表現の大切さ、そして今のCG技術は、僕らを引きつけるそれが充分にできる事を改めて確認できました。

 

 

 

18:ブレードランナー2049

 色々SF的な考察もできるんでしょうけれど、ラヴがジョイの命を絶った(あえてこう書く)その時、本作が革新的SF映画の続編だとかそういう事は僕には結構どうでもよくなり、ベタですらある復讐譚に「成り上がった」本作に妙な肩入れをして観てしまったのだ。

 Kなんてレプリカントとして、人間からは散々疎まれ疎外されてる訳じゃないですか。オタクという「人種」だってそういう風にされてた時期はあったし、今だって個々人や地域の差などはあれ、それは残ってる。そんなKが「作られた存在」のジョイで心を癒やす様は、様々な創作物で心を癒やすオタクの様に重なる訳ですよ(もっと直接的に言えばあれはまさしく二次オタの姿でもありましょう)。自意識過剰マンなのは承知で物語を横に置いてでも、僕はKに共感してしまったし、だからこそジョイの最後の言葉に心を動かされねばならなかった訳です(実際あのシーンで落涙してしまい、その事実に我ながらびっくりしてしまった)

 どれだけこのSF大作を矮小化して観てるんだよって話なんですけれど、恥ずかしながら、いい歳こいてそう受け取ってしまったものはもう仕方がないんですなぁ。本筋と離れてた所で変に心を動かされてしまった。

 

 

 

19:Fate/stay night [Heaven's Feel] I.presage flower

 stay nightはセイバールート、凛ルートと何度も映像化されている訳で、いうなればスパイダーマンのベンおじさん何回死ぬねん問題的な箇所がどうしても発生してしまう訳ですが、今回桜ルートの映像化にあたってそこを大胆に処理してきましたね。想定される客層は、判ってる人々が多数とはいえ、「原作で描かれていた事を映像に落とし込むに当って、どう整理・洗練するか」という、原作ものにつきまとう課題を大変巧みに解決してるなぁと。どのシーンの描写に注力すべきか否かの取捨選択が洒脱なので、ゲーム経験者的には成る程と膝を打つ点が散見されました。

 またstay night以降のヒットタイトルであるZeroやFGOも踏まえて作られており、それが作品・表現の豊かさにも繋がり、ファンサービスにも繋がるというあたり、王道を行くものの抜け目のなさを感じました。桜ルートでピックアップされる桜や慎二については好きなキャラではないので、見に行く前は正直あんまり乗り気ではなかったんですが、どうしてどうして。その二人の細やかな描写に新たな発見も見いだせて、収穫でした。や、だからといって好きなキャラになった訳ではないんですがw

 

 

 

20:ジョン・ウィック チャプター2

 殺し屋時代に交わした誓いのお陰でNY中の殺し屋に追われるハメになったジョン・ウィックの殺人メソッド大お披露目大会。我々と同じ世界とは思えない、独自ルールに支配された裏の世界描写が楽し。

 ジョンの近接戦闘テクニックは組技要素が大幅アップ。オモプラッタ射撃とでも言いましょうか、一人を組技で固めつつ、右手を空けて迫る敵を射殺というテクが面白い。ケレンのあるCQBガンファイトといえば『リベリオン』に端を発する、手で相手の技を捌きながら射撃というスタイルがありますが、本作ではスパイダーガードで相手を捌きつつ射撃やナイフ攻撃という、また1つ踏み込んだ新鮮なケレンファイトが見られてよろしゅうございました。世界観と面白ファイトの愉快さが正統進化していて、よい続編。でもジョンの置かれた状況はシビアすぎる……生きて……!

 

 

 

21:バイオハザード ヴェンデッタ

 近接戦闘アクションがよくできておりましてね。近年流行りのリアルよりCQCスタイルにたっぷりのケレンを乗せたもので見応え抜群。クリスvsアリアスの導入はるろ剣リスペクトだ!

 こういう実写アクションの延長にあるような見せ方のアクションとCGアニメは相性いいな認識できたのは収穫でした。ただやっぱり実写に寄っている分、背景などの作り込みが薄く見えてしまう点もあり(やりすぎると時間と予算が幾らあっても足りなくなるから仕方ないんだけど)、そういう所はショボく見えてしまったなぁ。

 

 

 

22:パトリオット・デイ

 ボストンマラソン爆弾テロ事件をもとにした、ピーター&マークコンビの実録もの第三弾。ウォールバーグが一応の主人公としてメインは張ってるんだけど、本作はこの事件に関わった様々な人々の群像劇になるのかな、脇の人間の描写が良くって! 特にJKシモンズが演じる愛煙家の巡査部長がよかったね。あのシガー捌き! あと台詞なかったと思うけど、「8歳の子供に寄り添う」あの無名の警官。表情と仕草だけで彼の心情が伝わってきてねぇ、グッときましたよ。

 また町中の銃撃戦が壮絶でした。ハンドガンだけでなくM4までぶっぱなす戦場のような凄まじさ。そんな中でもちょっとした「緩」の場面をひょいと挿入するのが面白い。

 ウォールバーグが語る正義と悪の二元論は、やや乱暴にも思えてしまうのだけれど、それは僕がテロの被害を受けた事がないからというのもあるのでしょう。

 

 

 

23:アトミック・ブロンド

 アクションはトレンドの近接戦闘型だけど、お話自体は古式ゆかしい、冷戦時代が舞台のスパイアクション。シャーリーズ・セロンがやってる、というのがポイント高いという向きもいらっしゃるでしょう。

 劇中のTV番組が音楽のサンプリングについて取り上げていたけれど、有名スパイ映画の懐かしオマージュっぽいポイントもチラホラある中で、長回し風近接戦闘シーンやかつての流行歌をBGMに使うなどの流行りも取り入れていて、まさしくサンプリングみたいな作りの作品。

 もちろんシャリ姐の腕っこきスパイぶりを楽しむというアイドル映画的側面もございましょう。えらいステゴロが強くてどこか冷めてるアイドルだけれどw あ、シャリ姐とマカヴォイがやたらタバコスパスパしてるのもいい。昔を描くならこーでないと。

 

 

 

24:バリー・シール アメリカをはめた男

 トムがニヤケ面7割で演じた米史上最大の運び屋、バリー・シールの成り上がり物語。『オール・ニード・イズ・キル』のあいつがあのお調子のまま、賽の目の出が良かったばかりにスルスルとヤバいビジネスに成功してしまった、というようなお話。

 ポリシーもイデオロギーもないバリーは、金の為なら武器&麻薬密輸の違法ビジネス道まっしぐらなんですが、それをおトムさんが妙にイキイキ爽やかに演じてるのであんまりヤなヤツに見えないんですよね。むしろ都合が悪くなったらバッサリ彼を切るCIAの方がひっでぇって思えるという。この手の邪道ビジネス成り上がり映画は、やがて破滅を迎えるのが常ですが、彼らは一様に仕事に対してはまっすぐで勤勉で、そしてとっても楽しそうで。どこか憧れてしまうんだよな、そうじゃない立場のおじさんとしては。

 

 

 

25:ドリーム

 マーキュリー計画に関わった三人の黒人女性を描いた事実をもとにした物語。多様性を認めないというのは人道的にもダメな事だと思うんですが、単なる道義の問題だけではなく、社会損失にも繋がるのだという主張が、米国の科学の最先端に位置するNASAを舞台にしてる作品らしいというか。しかしその科学の最先端に位置するNASAですら、差別は明確にあり、それを覆したのは彼女たちの不断の努力であったという事実。

 彼女たちの努力する姿や、それが結実する様は感動的ですが、とはいえ「NASAに入れるほどの超天才でもこれほどまでに努力を積み上げねばならぬのだ」という(ま、そりゃそうなんだろうけれど)事に、怠け者で凡人の僕は「ううっ、現実って厳しいなぁ!」とも今更ながらに思い知ったり。

 あと三人が乗っている車や黒板への板書、NASA敷地内での東奔西走、空を見上げる等のシーンの天丼重ね(って言うのかしら?)が効果的で、各々のシーンの意味、受け手の感情への揺さぶりがより豊かになってたと思います。上手いなぁ。

 

 

 

26:ザ・コンサルタント

 絶品の死んだ目を持つ男・ベンアフがその目全開で自閉症の殺人会計士を演じるアクション……と言い条、ベンアフ無双が観られるのは3シーンほど? もっと見たいなぁ!

 自閉症の主人公の取る奇異(に僕ら「健常者」には見えてしまう)な行動が「あ、この主人公何考えてるかわかんねぇ……」という「畏怖」に結びつくのだけれど、作中でも言われてるように、それは「健常者」の勝手に過ぎんというか。主人公を類型的な「自閉症故にある能力に秀でた天才」に描くのではなく、マイノリティに寄り添った形で誠実に描いているのはいいですね。税金控除ポイント引き出しまくって食い詰め寸前の農家を救うシーンなんて最高じゃないですか。

 ただ、主人公以外の登場人物の、ヒロインたるアナ・ケンドリック、会計士を追う捜査官と上司、ヒロインを消そうとする武装集団のリーダーがいまいち有機的に絡み合わないというか。アナケンは終盤出ないし、捜査官いなくてもいいんじゃないと思うくらい。

 武装集団のリーダーも……まぁあんだけ印象的に兄弟の過去を描いてたら、みんな正体判るよね?(全然面影ないなーと思うけれどw)お前ら今までの命をかけたやりとりをあっさり置いておいてまとまっちゃうんかい?!とも思っちゃう。 なーんかミョ~な映画でしたワイ。

 

 

 

27:ドクター・ストレンジ

 今までのMCU作品とも繋がってはいますがその描写は薄く、これ単体で充分楽しめます。予告にも観られる高層ビルをぎゅんぎゅん捻じ曲げる幻惑映像や、ストレンジがエンシェント・ワンに見せられるマルチバースの一端は、サイケデリックなビデオドラッグな映像そのもの。

 「凝り固まった」ストレンジがやがて「自分の殻を破り」悟って真の魔術師になるという成長譚なのですが、テーマに沿わせて成長してるように見せるにはやや性急、というか描写不足にも感じたかなぁ。でもテンポはいいです。

 ラスボスとのタイマンシーンでの、アガモットの目を用いた永遠の延長戦は、ストレンジが背負った地球を護る魔術師としての悲壮な覚悟に感動すべきか、天丼として笑うべきか、若干悩んでしまいましたよw

 

 

 

28:IT それが見えたら、終わり

 恥ずかしながら原作も過去の映像作品も通過してないんですが、これ、言ってしまえばオカルト風味スタンド・バイ・ミーなんですね。あぶれもの達が絆を深めていく様子、そしてラストのイニシエーションなんかは印象深いですね。ペニーワイズがみょーに弱かったですけれど。

 しかし原作を知らん身なので驚いたのですが……続くんかい!

 

 

 

29:ハクソー・リッジ

 銃を持たず、人を殺さずを誓った衛生兵、デズモンド・ドスという実在の人物を主人公にした作品。前半はそんな軍人にあるまじき誓いを立てた男が如何にして前線に行くのかを描き、後半はひたすら泥沼な戦争を見せつける二部構成。前半でしっかりデズモンドの家族や恋人、そして隊の同僚について描いてるから、後半の戦闘シーンでそれが効いてくる。だからこんなに頑なに銃を持たないのか! ああ、あの愛すべきアイツが虫けらのようにやられていく! とついつい引き込まれる。丁寧な仕事だ。

 景気よく肉が爆ぜ死が満ちる戦場を観客にさんざん見せつけた後に、使命に目覚めたデズモンドがそこに戻っていくんだもの。いつ日本軍がやってくるかもしれぬ地で、休みなく夜を徹して人命救助を続けるその姿に、人は信仰の力を見出し、英雄と称えるのかもしれないけれど、僕には戦場で銃を持つという“正気”を否定した男の見せた“狂気”にも見えて。この英雄的行為と狂気は裏表ですよ。

 ウジが湧きネズミがたかる死体の山に始まって、上半身だけになった死体を盾に前進したり、地虫のように穴から日本兵がわらわら湧いてきたり、ハイローやアベンジャーズ2のように、米兵と日本兵が画面の端と橋から突っ込んで画面中央で激突したりとブルータルな戦争映画スペクタクルに満ち満ちていて、誤解を恐れずに言えば大層楽しいのだけれど、ちょうど観たのが沖縄慰霊の日の翌日な事もあって、日本兵がバタバタ死んでく様を見るのもなんだかフクザツではありました。

 

 

 

30: KUBO 二本の弦の秘密

 恥ずかしながらライカのアニメを観るのはこれが初めてなんですが、まぁ凄まじいですな。これ、言わなきゃストップモーションアニメだってわかんないすわ。CGアニメっすわ。丹念に積み重ねられた執念の結晶。そりゃ「瞬きすらしてはならぬ」よなァ。

 個人的にはその「言わなきゃストップモーションアニメだってわからない」感じがやや不満で、もうちょっと作り物っぽさと言いましょうか、そういうのを匂わせてもいいんじゃないかなーと思います。僕、ハリーハウゼンの映画なんかの実写の中に違和感を感じるモノがモリモリ動くあの感覚が凄い好きなので……。あるいは人形劇を見る感覚というか……。月光の下でのシーンはやや作り物感が増してた気がするからライティングで見え方変わってくるのかなぁ。や、完全に個人的な趣味の話です!

 

 

 

31:ジャスティス・リーグ

 完成までに何度か追撮や編集の手が入ったという本作ですが、そのせいか矢鱈にテンポがよく進んでいくので120分あるのにとても見やすいですね。各キャラが悩みや弱みを抱えていたりするのですが、深刻になりすぎずにスイスイ克服していくぞ。

 そのテンポの良さと引き換えなのか、見やすくはありますけれど、コク深さが足りないというか。描写不足に感じる部分も多々あり。各キャラクターが魅力的なだけに勿体無い。ザック版なら……とつい思いを馳せてしまいますが、それはそれで叩かれるんだろうなァw

 MoSで地球に降り立ち、BvSで死に、そして本作で復活、家族以外の仲間を得たカル=エル。三作通してみると、これまでのDCEU作品は、彼が名実ともにスーパーマンというシンボリックなヒーローになるまでのお話だったんだなと判り、感慨もひとしお。

 

 

 

32:ダンケルク

 戦記物、あるいは戦争に対してのメッセージ映画ではないのでょう、戦場を目撃する体験型映画といった方がいいのかもしれないですね。その割にはサスペンスの為の過剰な仕掛けを避けて作られてるような気がしました(音楽は露骨だったけど)。

 エンタメ方向から見れば抑制ぎみの演出という事なのでしょうけれど、それはあえて行っているのでしょうし。ここをどうとるかで評価が変わるのかも。や、充分体験型映画としても優秀だとは思うのですが、僕にはあんまり後に残らない映画に思えました。

 とはいえラストのスピットファイアのあのシーン、あそこはやたらに詩的でびっくりしてしまった。あそこだけなんか別格。

 

 

33:バーニング・オーシャン

 事件が起こるまで大体1時間くらいたっぷり使ってるんだけど、「うわ…これやばい方向に向かってるわ…」という不穏さを徐々に煽っていくスタイルなので退屈はせず。現場主任のジミーが7年連続安全賞だかを受賞して、皆が喜んで祝ってくれてるのを背にし、懸念案件にGOを出す引きのショットのなんて皮肉で意地悪い事か。

 後半はスペクタクルここに極まれりというくらいに景気よく泥水噴出と爆発、火炎のオンパレード。凄まじい地獄を作り出しているのだけど、ドラマをそれに合わせて英雄の美談として盛り上げようとか、この原因を作った者を断罪しようとか、そういうんではないんですね。起こった事故に対して、登場人物がプロとして事を解決の為、あるいは生き残る為の行動をただただ描くというか。

 

 

 

34:おじいちゃんはデブゴン

 65歳のサモ・ハンが歳相応のおじいちゃんを演じた、『アジョシ』風味の「舐めてた相手が実は殺人マシーンでした」系ムービー。サモ・ハンももうお歳ですから、アクションシーンはスロー多用、飛んだり跳ねたりも特にしないのですが、ひたすらにハプキドー風CQBで敵の骨をポキンポキンに折りまくる描写は小気味よし。

 サモ・ハンが演じるディンは認知症で、常時どうにも呆けた様子なのですが、かつて守れなかった孫を想起させる少女・チュンファの危機を見て、文字通り覚醒した時の目の芝居!「あっ、現役時代のスイッチに繋がっちゃった……ヤバイ……。」という空気を醸し出せるのは流石サモ・ハンですよ。

 少女や大家のポクとの交流シーンも僕もそれなりに歳を取ったという事なのでしょう、素朴な描写がなんだかじんわりきてねぇ。緩いっちゃ緩い出来なんだけど、嫌いになれないなぁというか。

 

 

 

35:オリエント急行殺人事件

 この有名な作品、大仕掛けを知ってると驚きは無く辛いかな、とも思っていましたが、会話劇の面白さと絵作りで引っ張っていくスタイルで退屈さは感じませんでした。特に列車という舞台を活かした、あ、こういう撮り方、見せ方あるのかという、面白くも品のあるカメラワークと、そしてこれまた列車ものという設定を活かした、美しい風景をロングで見せていくショットがよろしゅう御座いました。

 彼方より来たりて、そして去っていく。列車の宿命と物語の結末をリンクさせたような、物悲しくも美しいラストを見て、ああ、一見の価値はあったなぁと。シェイクスピア俳優のケネス・ブラナーらしい?、懐かしさも感じる(でも決して古くは感じない)王道を征く作品。

 

 

 

36:GODZILLA 怪獣惑星

 シンゴジラ以上の凶悪怪獣を描いてるのに、今ひとつその強大さが伝わりきらなかったのは、既に文明崩壊した大自然の中でゴジラが暴れてるからじゃないかなーと思いました。怪獣映画の華といえば現実対虚構、怪獣による文明蹂躙ですが、そびえ立つビル群も敵怪獣もおらず、せいぜい戦車程度の大きさの兵器をビームで蹴散らすくらい。かように力の差を示す対象が質・量ともに弱いので、かえってゴジラの強さが伝わりきらないんですね。

 とはいえ、アニメならではの絵作り(勢いのある空中戦カメラワークは楽し)は面白く、またこのSF設定が生きるのもアニメだからでしょう。や、海外で唸る程金出して作れりゃ別でしょうけれど、それは土台無理な話ですし。アニメである必然性があるゴジラ映画。

 けれど、この「怪獣惑星」は、クライマックスの超巨大ゴジラ登場までの前フリに過ぎぬというか、結局この1作だけでどうこう言えるものではなくなってしまいました。次作、完結?作が楽しみ。

 

 

 

37:HiGH & LOW THE MOVIE 3:FINAL MISSION

 アイディアたっぷりのアクション、矢鱈に勢いがある訳の分からないワード(カジノ建設の爆破セレモニーってなんだよ…)、キャラクター達の格好よい見せ場、タイミングドンピシャで気持ちよく流れるテーマ曲は相変わらず。それらが発揮されているシーンはどうにも盛り上がってしまうのだけれど、やはり「お話を収束させる」という至上命題がある以上、そんなシーンのボリュームは減り、物足りなさを感じるのは確か。

 そして、これも「相変わらず」だけど、脚本がやっぱり雑。???と頭を傾げざるをえない点が多すぎ、テンションが下がる。そうなるとやっぱりアガる見せ場のボリューム不足がより一層響いてくるんですね。脚本の妙味を味わう作品ではないと承知してはいるけれど、どうにも残念。

 カチコミ前のメインキャラ達の独白は、キャラクターを借りた中の人達の独白でもあるのでしょう。そういうのは嫌いじゃないし、不良軍団たちにEXILE軍団を重ねつつ物語を作っていったのだな、「誰よりも高く飛ぶ」などはLDHの決意表明でもあったのだろうな、とも受け取れたので、若者の奮闘ぶりにはおじさんジーンとはきてしまったよ。

 

 

 

38:ワンダーウーマン

 面白いには面白いし、ガル・ガドットの華、勢揃いアマゾン女傑軍団の力強い格好良さ、クリス・パインのヒロインぶりとか褒めたい部分はあるけれど……うーん、世界的な評判を受けて期待はしてたのに、それほどでもなかったなぁというか。どこがそんなに凄いのかよくわかんなかったなぁ。

 女丈夫が男尊女卑の人間社会に痛烈にカウンターをカマす様を見たかったし、僕がDCEUでいつも感じている、爽快で豪快な映像の格好よさも味わいたかったんだけれども。前者にはそれほど深く踏み込まなかったし、後者についてもラストバトルが一番ビミョーってどうなのさ! なんの新味も感じないし、スピード感もないし……ラスボスもCGで処理するんなら顔はオッサンのままにしなきゃいいのに……。

 

 

 

39:パワーレンジャー

 パワレンに選ばれし5人は皆あぶれもの、マイノリティ。彼らが抱える悩みや、それを告白し絆を深めるシーンには自分を重ねてしまい、不覚にも落涙してしまった。問題はそういう悩みなどが、ヒーローになる・なった際に解決に繋がる訳でもなく、何も活かされてないんだなぁ。ブツ切りでカタルシスがない。ジョシュ・トランク版ファンタスティック4を思い出すような展開の遅さの果てにこれでは……。

 とはいえ『GO GO Power Rangersが流れた時はやっぱりイヤッホォーーイ!とアガってしまった。音楽の力は強い&ズルい。あと日本の特撮に比べたら破格ではあるのでしょうが、予算の無さは随所に透けて見えました。

 吹替は赤と桃は、悪い意味での「芸能人吹替」だったなぁ。山里亮太は役にあってて良し。青の杉田智和は流石の芸達者ぶり。そして今イキの良いエロ悪女をやらせたら他はないという沢城みゆき大先生の芝居は出色。ありがとう!

 

 

 

40:夜は短し歩けよ乙女

 『四畳半神話体系』スタッフらしい作風は面白く、奇妙な絵が連発されてクラクラ。しかしもっと先輩と乙女のやり取りにフォーカスして欲しいとも思った(先輩、意外に影薄い)。凜としながらもちょっとズレてて、それでいてやっぱり可愛らしい乙女には好感触。

 乙女のこれまでの積み重ねが実になるクライマックスは感動的だけれど、もっとその積み重ねをじっくり見せる尺があれば、物足りない……という印象。映画よりTVシリーズの方が良かった? あと星野源使ってるなら主題歌も歌って欲しかったなァ。

 

 

 

41:打ち上げ花火、下から見るか? 横から見るか?

 『時かけ』しかり、『君の名は。』しかり、青春SFものの傑作は、その大仕掛けに一応の納得がいく物語になっていたり、あるいは違和感を感じさせないくらいのエモーショナルな高まりを感じさせる作りだったりするものですが、そのどちらでもなく……。牽引力に欠ける脚本・演出でした。キャラクターに魅力を感じる、あるいは共感を覚える前に、なんだかぼんやりと時は経過しクライマックスに辿り着いてしまう。最終的にはある程度盛り上がりはしたけれど、時すでに遅し。あの欠片が「あり得たかもしれない無限の可能性=未来」の断片を見せるシーンは好きなんだけどなァ。

 声優ではない菅田将暉広瀬すずの両名は、普段はリアリティラインが違う実写で芝居してる人たちなんだから、アニメに合わなくて当然なんですね。でもやっぱり根本の演技力はしっかりしてるんだなぁと関心させられるポイントが何度も。ちゃんと腕のある方々なのだと実感できました。そして脇でその二人を支える宮野真守の名バイプレイヤーっぷりに、俺ァ感動しましたよ。惚れる!

 褒めたい部分は細部に幾つもあるのだけれど、幹の部分がしっかりしてない歪な印象の作品でした。もったいないよ。

 

 

 

42:ザ・マミー 呪われた砂漠の王女

 ハムナプトラ+スペースバンパイアクイーン・オブ・ザ・ヴァンパイアといった感。ダーク・ユニバースという新たな世界の始まりにしては新味に欠ける。事件が起こるのは大体トムのせい、因果応報なのは判るけど、あの盗賊オチはもうちょっとそれまでに伏線張っておいてほしいなぁ。トムをキートン先生ばりに手癖悪いヤツにしておくとか。

 ヘンリー博士の部屋のプロップはちょっとワクワクしたけれど、次のダーク・ユニバースに繋がりそうな予告的なものは特になし。まぁどうもユニバース計画自体凍結っぽいけれど。

 

 

 

43:エイリアン・コヴェナント

 正直リドリーが描きたい事がよくわからず。キリスト教をモチーフにしてる……のかなぁ?というシーンも(僕がキリスト教詳しくないのでテキトーですが)あり、それを踏まえた上でリドリーが自分なりに神話(例の俺ユニバースのヤツ)でも作るとかいう事なのかなー。でもそれって、『エイリアン』を観に来た観客は肩透かしを食らうよね。俺ユニバースの構築でハッスルしたいんなら、エイリアンの看板外して他所でやった方がいいんじゃないの?

 しかしエンジニア星人の扱い雑すぎだったなー。エンジニア星がエイリアンの巣になったんなら、『エイリアン3』のボツネタの、地平線の向こうから雲霞の如くゼノモーフが押し寄せてくるヤツ来るか?!と期待したんだけど、そんな事はなかったぜ!

 

 

 

44:メアリと魔女の花

  スタジオポノックという制作会社の第一作目。「スタジオジブリ」の名前がどうしてもチラついてしまうのが人情というものですが、そのジブリからの脱却宣言かのような作品でした。作中ではジブリ作品のオマージュのような描写が散見されます。空飛ぶ魔女に黒猫といえば魔女宅。巨神兵めいたモンスター、ラピュタ、龍の巣、バルスetc……でも観た人なら判りますよね、オマージュされているそれらは最後に全て……。エンディングでメアリが描いた絵は、新たなメンバー(スタジオ)での旅立ちも示しているのではないのかな、と思います。もうあの制作会社の名前という「魔法」に拘る必要はないでしょう(ご商売上、プロデュース側的にはそうもいかんでしょうが……)

 しかしお話的にはもう1つパンチに欠けてしまったかなという感じです。ここぞという盛り上がりがなく、名シーン足りうる場面もなし……。全体的にのっぺりしてますよね。冒頭でメアリの長所と短所を見せ、「こいつおっちょこちょいだけど悪いヤツじゃないな、好感が持てるな」と思わせる手腕は良いんですが、欠点がその後の物語に絡んでこないのも勿体ないなーと。克服によるカタルシスでもあればいいのに……。

 EDクレジットの終わり際、高畑勲宮崎駿鈴木敏夫の三人の名前が。その括りが「感謝」なのには笑ってしまった。まぁ「スペシャルサンクス」とか表記したら怒られそうだもんなぁw

 

 

 

45:ゴースト・イン・ザ・シェル

 攻殻実写版。原作風味もあり、押井版風味もあり(ちなみに神山風味なし)。とはいえ、それらの「ややこしい部分」を削って、なんとかいちSF作品として「成立させた」感。ただその「ややこしい部分」ってのは「魅力」でもある訳で。扱いが難しいのは分かるけど換骨奪胎したら骨がどっか行っちまったんですな。

 この監督、攻殻好きなんだよねきっと。その気概は伝わってくるんだけど、成立させる為に色々オミットした結果、どうにも中途半端に。

 あと、これはもう時代的にしょうがないんだけど、今攻殻みたいな世界を実写で描いても、全然目新しく見えないんですよね、残念ながら。

 

 

 

46:ひるね姫 知らないワタシの物語

 夢と現実、魔法とテクノロジーがクロスし、親子三代を結びつける物語……にしたかったんだろうけれど、どうもそれぞれが今ひとつ噛み合わずちぐはぐだった印象。最後まで熱が伝わってこなかった。

 『時かけ』『君の名は。』にもあるような、作品を象徴するギミックが本作にもあり、それが「眠り」なのですが、それにより夢と現が曖昧になるはずが、果たしてそれを活かした面白さ、不思議さを出せていたかというと……(あれよく考えたらこのギミック、昼寝に限らないじゃないか。タイトル……?)。

 夢と現実の境が悪夢的に解けていくシーンには、今敏監督の『パプリカ』のような凄みを期待したのに、残念。パシリムもどきシーンもセンスが合いませんでした。絵の動く快感というアニメ的な面白さはそこかしこにあったのは◯。

 

 

 

47:虐殺器官

 映画を見る限りでは、ジョン・ポール邸でのクラヴィスとジョン、クラヴィスとアレックスの会話がこの作品のキモだとは思うのだけれど、僕がアホな所為もあって、理屈を理解するのであっぷあっぷになっちゃう。この作品、文章でじっくり噛みしめるのが一番なんじゃないの、というのが第一の感想。クラヴィス&ジョン&ルツィアの会話シーンは見せ方も退屈だよね(『ハーモニー』の悪夢再び!)。

 そもそも僕は語られたあのテーマについて、20世紀以降、物理的にもネットワーク上でもあまりに高速に世界とリンクできてしまうようになったが故に生まれてしまった、人間の解決できるレベルをひょいと飛び越えたどうにもできない問題だと思い、諦め、思考停止してしまっているので、早口で理屈を唱えられても乗り切れなかった、というのもあります。文章なら自分の考えなどを省みつつ咀嚼できたかもしれない。この映像表現でどれだけの人間に伝わるのだろうー!(僕の読解力が低いという可能性も勿論ある)

 あと細部の表現にも疑問符つく点多いなぁと。序盤、アレックスが将軍を射殺するシーンは、どう観ても味方のクラヴィス諸共撃ち殺そうとしてるとしか思えない。クラヴィスの潜入シーンも、折角光学迷彩めいた装備をしてるのに、動く度に無造作に音立てまくってて、迷彩の意味がない間抜けに見えてしまう……。面白いミリタリーギミックが多いのは良いんだけど、痛覚遮断した兵士同士の戦いも、そうじゃない兵士のものよりよっぽど泥沼の地獄を演出できそうなものなのに妙にあっさりしてるのよね……。

 クラヴィスがルツィアになぜあそこまで惹かれてしまったのかもよくわかんなかったなぁ。時間の都合でだいぶあっさりさせたんでしょうか。美術は好きだけどそれだけでは保たぬ。『屍者の帝国』『ハーモニー』よりは良かったけど、終わってからやっぱり狐につままれたような気分になりましたとさ。

 

 

 

 

 以上、47作品。どうも親子ものに弱かった1年だったように思えますね。

 2018年も良い映画に出会えますよう。

2016年映画ランキング

 新年あけましておめでとうございます……なんて書き出しで書いていたのに、ああでもないこうでもないとダラダラしてたらもう2月。ああ! ……ともかく、2017年もよろしくお願いいたします。

※注意※

・映画館で見たから、本数を見たから偉いという訳ではないですし、このランキングが絶対という訳ではありません。感想含め、あくまで僕の主観です。

・このランキングは「現時点で振り返ってみると大体こんな感じ」という程度の気軽さでつけています。今後順位が上下する事は大いに有り得る、大雑把なランキングであるという事をご承知ください。

寸評中にはネタバレも含まれますので、ご了承ください。

 

 

 

◆2016年ランキング

1:オデッセイ
2:ちはやふる 上の句
3:この世界の片隅に
4:君の名は。
5:シン・ゴジラ
6:バットマンvsスーパーマン ジャスティスの誕生
7:同級生
8:ローグ・ワン スター・ウォーズストーリー
9:レヴェナント 蘇りし者
10:クリムゾン・ピーク
11:ブリッジ・オブ・スパイ
12:ちはやふる 下の句
13:ドント・ブリーズ
14:アイアムアヒーロー
15:帰ってきたヒトラー
16:デッドプール
17:ロスト・バケーション
18:傷物語 Ⅱ 熱血篇
19:ザ・ウォーク
20:ボーダーライン
21:シビル・ウォー キャプテン・アメリカ
22:スター・トレック BEYOND
23:X-MEN アポカリプス
24:ズートピア
25:HiGH & LOW THE MOVIE
26:聲の形
27:傷物語 Ⅰ 鉄血篇
28:エンド・オブ・キングダム
29:ミュータント・ニンジャ・タートルズ 影(シャドウズ)
30:マダム・フローレンス! 夢見るふたり
31:HiGH & LOW THE RED RAIN
32:SHERLOCK 忌まわしき花嫁
33:ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅
34:ルーム
35:スーサイド・スクワッド
36:ジャック・リーチャー NEVER GO BACK
37:ゴーストバスターズ
38:殿、利息でござる!
39:ザ・ブリザード
40:劇場版 ガールズ&パンツァー
41:バイオハザード ザ・ファイナル
42:グランド・イリュージョン 見破られたトリック
43:ドラゴン・ブレイド
44:ジェイソン・ボーン
45:貞子vs伽倻子
46:Mr.ホームズ 名探偵最後の事件
47:インフェルノ
48:超高速!参勤交代リターンズ
49:アウトバーン
50:KING OF PRISM by PrettyRhythm
51:ポッピンQ
52:白鯨との戦い
53:インデペンデンス・デイ リサージェンス

 

 

 

 

◆寸評

1位:オデッセイ

 面白かった! リドリー・スコット作品で一番好きかも。

 深刻な状況にたっぷりハラハラさせられるんだけれど、冗談を忘れぬ不屈の男、主人公のマーク・ワトニーとノリのイイ70’sソング、そして他の宇宙パニックものの漆黒の闇とは違う、火星の赤々とした景色が物語を陰鬱しすぎないのも良し。

 火星に取り残されるという絶望的状況を、知恵と工夫のDIY精神で乗り切る主人公。トライ&エラー&ネバーギブアップ&トライ、みたいな。生き延びるために学び、挑み、戦え! さすれば道は開かれん。見せてやるぜ、人のみが持つ無限の可能性を!

 これはリドリー・スコット監督の人生訓作品だ、と考えるのは安易かしら。でも、熱い心意気を受け取った気がするんですよね。なんだよリドリー、今までの作品観てたら、アンタは人間の事嫌いなんだと思ってたけど、こんな素敵な人間賛歌を作り出すなんて! 疲れた大人も子供もこれを見な! 俺たちはこれからも学び、挑んでいくんだぜ! EDのグロリア・ゲイナーの『I Will Survive』に涙、涙。

♪I'll stay alive.(私は生き続ける)

♪I've got all my life to live.(生きるための人生があり)

♪I've got all my love to give.(誰かに捧げる愛があるのよ)

 


2位:ちはやふる 上の句

  2時間という限られた時間なので、オミットされている点は多々あるけれど、一つの映画作品としては全く問題なし。むしろ原作漫画、あるいはアニメを超えてさえいるのが、キモのかるたシーン。

 読まれる上の句……一体下の句は何だ? ……張り詰めた緊張が空間に凝縮され、それが極に達した時、決まり字が読まれる……刹那、交差する視線と視線、手と手、響く快音! 取られた札が勢い良く舞い散る! 競技? いやいやこのエクストリームかるたは戦いだよ! 剣豪同士の決闘だ! 冒頭からかように、競技かるたの醍醐味を堂々真正面から観客にカマしてくれるので、一気に引き込まれます。緊張と開放の使い方が凄く上手。原作でもアニメでも、言うちゃ悪いけどこんなにかるたシーンに説得力はなかった。リアルな肉体の力強い躍動と演出が創りだす妙!

 キャラクターをみんな魅力的に描いてくれてるんですよね。特に太一の葛藤を丁寧に描き、クライマックスの試合でそれを解消し、理由ありきの勝利にしてくれるので、カタルシスが爆発するんですよね。原作に無い、太一の「運の無さ」の理由描写の洒脱さ。ぺらぺら喋らせてお涙頂戴にしないのも良い。机くんの「必要とされた事なんてなかった」のくだりも泣けるなぁ。

 青春映画、そして漫画実写化映画の傑作だと思います。漫画やアニメで実写化して、良かった作品なんてない? じゃこれ観よう! 

 


3位:この世界の片隅に

 昭和初期の広島。戦時中と言い条、人は毎日ご飯を食べ、働き、笑い……主人公・すずの愛すべきパーソナリティーも相まって、描かれる日常の細やかなおかしみや喜びにぐいぐい引き込まれる。

 しかしのんびりふんわりと生きてきた彼女も戦火をこうむり、大きな喪失を味わう。すると彼女は今まで殆ど見せなかった感情を見せ始めるようになる。この世界は残酷だ。少女はいつまでも少女でいられない。訪れる大きなカタストロフに、大きな世界の転換。しかしそれでも日常は続く。喜怒哀楽を受け入れ、“居場所”で生きていく。その生きていくという事の肯定と輝きに満ちたエンディング(原作補完までしてくれた!)、素晴らしかったです。

 よく「泣ける!」と評される本作ですが、僕は物語の中で起こっている事については泣けなかったんですよ。でも終盤、スクリーンの中で生きている・生きていくすず達を観ていて、「ああそうだよな、こうした人達が営みを繰り返して、昔から今に繋いできたんだな」とふと急に実感として思えてしまい、そうしたらなんだか涙が湧き出してきてねぇ。僕はこの歳でまだ何も受け継がせてない・残してない人間なので(それは人それぞれで、恥とか義務を果たしてないとかそういう事でもないとも思うけれど)、そういう事を果たしている人への尊敬と感謝を、若い頃よりも感じるようになった今の自分にはね、なんだか響いたんですよ。

 すずさんを演じるのは、能年玲奈こと、のんさん。冒頭にある、すずさんのモノローグ「よく周りにボーッとしてると言われる」の一言の鈍くさそうな感じといったら! 描かれる細やかな感情の機微をきっちり表現できるのですもの、女優ですわ! 色々ご事情あるようですが、今後のご活躍を願うばかり。

 暖かで愛らしい絵に、のんさんの確かな演技がのったすずさん。ぶっちゃけね、萌えます。これはかわいい! 僕結婚願望あんまり無いんだけど、すずさんはいいなーと、こう…ね!  そしたら片淵監督が「配偶者がほしくなる映画」を目指しました。とつぶやかれるのだものw まんまとのせられましたわー(笑) 本当すずさん、守ってあげたいし、終盤の成長した姿も素敵。もっと萌え視点でも語られるべきですよこの作品!

 


4位:君の名は。

 SFを下地に、時間や空間、さまざまな距離のもとに思いが交錯する男女の物語、というのが新海誠監督作品の持ち味。ビターな結末が多いというのも、その一つですね。

 新海誠作品はその持ち味に惹かれた熱心なファンを獲得していますが、どこかマイナーだったように思われます。所謂メジャーなエンタメとは言い難いものだったというか。しかしこの『君の名は。』は、新海監督の持ち味を存分に発揮させた集大成とも言える作品ながらも、メジャーエンタメ作品として通用する普遍性・大衆性を持ちあわせているというのは、今更僕が言うまでもないでしょう。

  入れ替わりものとしての物語が続く中盤までは、物語としてそこまで新海色は出ていおらず、肩透かしをくらったよう思えますが……。瀧と三葉の入れ替わりに三年のタイムラグがあり、彗星の落下で既に三葉は死んでいた、という急展開。一気に物語の景色が変わるサプライズから新海マジックが爆発! 宮水神社のご神体のある山頂で、誰そ彼の光の中、時間と空間を越え、思いが繋がる!

  ……の後も話は続くんだよ今回は! てっきりここで思いは繋がるもやはり二人は元に戻り、結局糸守町の住人は全滅だと思ったもの。そこからちゃんと物語を続け、三葉の奮闘、二人の分かたれた切ない思いをさんざん見せつけ、「どーなるどーなる?」と僕らを散々悶々とさせながら溜めを作った上で、さらに歩道橋の上で一回すれ違わせておいてかーらーのー、因縁の電車でのすれ違いによる再開だもの! こーれはキモチイイよフゥーゥ! で、タイトルに繋がる二人のあの台詞だもの。カタルシス爆発!

 これ!この皆をちゃんと楽しませるサービス業としてのエンタメですよ。しかも前述の通り、誰が観ても新海誠作品だわ!って納得させた上でですよ! 新海さんの作品は好きですが、明確なハッピーエンドの作品も見たいと熱望してた僕には嬉しい限り。

 「君もいつかちゃんと、幸せになりなさい。」という奥寺先輩の台詞がありましたが、それはお話の帰結としてだけでなく、この作品自体もお客さんに愛される幸せな作品になったんじゃないでしょうか(奥手な人ばかりの田舎の劇場で、まさかの拍手が起きた!)。この言葉は監督から観客へのメッセージであり、願いでもあるのでしょう。

 


5位:シン・ゴジラ

 今までのシリーズより、リアリティーの度合いをグッと上げて、ゴジラ日本上陸という大事件を対処したり、翻弄されたりする人間の様を描いた作品。『突入せよ!あさま山荘事件』と『プロジェクトX』を足したようなというか。テンポがよく、そこかしこにおかしさすらある会議シーンは楽し。巨大怪獣もし上陸したならば、というシミュレーションを入念に追求してやってくれるものだから、(東日本大震災というモチーフがあるとはいえ)あっ、そうか実際はこうなるよなぁ、この絵は怪獣映画で観たことないなぁという新鮮なショットが散見されたのが嬉しいですね。

 シリーズ中最凶最悪だと感じさせてくれる暴君・ゴジラが、東京を蹂躙し、破壊し尽くす様には絶望させられましたし、「でも、やるんだよ!前に進む他ないんだよ!」と、その絶望に対抗する日本人の奮闘には、グッと来ましたね。

 いわゆる一般的な「怪獣映画」のイメージとは違う変化球だとは思うのですが、しかしゴジラは作品全体を支配し続けており。やはりこれ立派な怪獣映画でしょう。面白かった! この手はこの作品でしか使えない、次同じ事はちょっとやれない一度きりの魔法のような作品だと思いました。

 


6位:バットマンvsスーパーマン ジャスティスの誕生

 やっぱり僕はザックが作る画面が好きだよー! アメコミが動いたらこうなるんだろうな、と膝を打つシーン多数。劇場のスクリーン映えしていて、これぞ映画館で映画を観る醍醐味だなァ。この映画、粗はいっぱいあるのは承知なんだけど、痺れる絵面がズバスバ出て来るので好きなんですよ。「ああ、あのシーン格好良かったなぁ、あのシチュエーション良かったなぁ。」とずーっと反芻していられる、そんな映画。僕にとっては、さらにデカいバジェットで作った『HiGH & LOW』というか。たびたび言及される、レックス・ルーサの屋敷の厨房横にサーバールームがあるのヘンだよ問題も、あのルーサーがそんな真っ当な屋敷を作る訳ないだろ、で論破できるんですよ!(暴論)

 闘いの果てに、物語は光の超人の死という結末を迎えます。しかし20年戦い続け絶望した「闇の騎士」に、その「光」が希望を与えたのには震えました。「光」を失い、今が一番暗い時かもしれません。が、我々は確かに「正義の夜明け」を目撃したのです! 集え、正義よ!

 


7位:同級生

 中村明日美子の同名漫画のアニメ化。総作画監督があの林明美さんだけあって、あの明日美子先生の繊細なタッチが文字通りそのまま動いてる! 前述のBvS評ではないですが、そうだよ、漫画は動かないけど、動いたらきっとこんな動きだし、コマとコマの行間はきっとこんな絵だよー! 説得力高い! 勿論キャラ作画だけでなく、背景やガジェット、演出も含め、全力で明日美子ワールドを作り上げるぞ、という熱が画面の隅々から伝わってきます。始めて本作を読んだ時に感じたあの空気をまた味あわせてくれるほどに……。単純にアニメ作品としてもレベル高いので、男性アニメファンにも見て欲しいなぁ!

 実力あるスタッフが世界の構築に力を尽くし、最高の画面が出来上がり…そしてそこに芝居がのっかる。や、正直原作読んでる時は、草壁=神谷さん、佐条=野島(健)さんとは全然違う声を想定してたんだけど…やぁこれは草壁に佐条ですわ。

 神谷さんはしゃべり倒す役を色々演じてこられてますから、台詞表現の組み立てが達者で豊か。こういうの、生きのいい芝居とでもいうのでしょうか。野島さんは役の立場上、抑制的な芝居が主ですが、きっちりポイントを抑えて情感を出してらっしゃる。素晴らしい……。

 ボンクラ腐目線で言うなら、守護霊視点で「がんばれ!」「カワイイなぁ」と素直にいい匂いしそうな男子高校生2人を見守れる至福。もう本当、ニヤニヤドキドキしっぱなしでした。劇中三回程ある、キスのあとの見つめ合い、良かったねw ときめくー!

 


8位:ローグ・ワン スター・ウォーズストーリー

 正直中盤までは若干ダルくもあるのですが……クライマックスの設計図奪還ミッションからは燃える燃える! SWは父(の立場の人)と子の継承の物語で、本作もそうではあるのですが、もう一つ、別の継承の物語があるのです。ローグ・ワンのメンバーが、針の穴を通すようにインポッシブルなミッションを攻略し、それは同盟軍兵士に繋がり、そして……。ああ、これはこういう意味だったのか! ファンなら膝を打つこと間違い無しのこの展開! ありがとう、ありがとうギャレス・エドワーズ
 シリーズに無かった新鮮なルックの格好いい絵面が、戦闘シーンで沢山見受けられたのは良かった。SWゲームのバトルフロントの影響もあるかもね。

 


9位:レヴェナント 蘇りし者

 息子を殺したトム“鬼畜”ハーディーを絶対殺すマンと化したレオ様の鬼気迫る熱演で、ラストまでぐいぐい引っ張る復讐譚。凄まじかった……。

 『北斗の拳』の「執念が俺を変えた!」という名台詞の如く、息子を殺されたレオ様が尋常ではない執念を背負い、体当たりの肉体表現でそれをひたすら体現しまくってます(台詞らしい台詞は中盤ほとんどないもんね!)。これでオスカー取れないなら永遠に取れないと思わせる程。

 その尋常ではない執念に立て続けに襲い来る困難困難、また困難を、これも尋常ではないカメラワーク(相変わらずのどうやって撮ってんだコレ、のエマニュエル・ルベツキ!)で追いかけ続ける。レオ様演じるグラスが 「1度死んだ身だからもう死は怖くない」みたいな事を仰るけれど、あんた10回は死んでたよ! そんな死のジェットコースターの合間合間に、ハッとする程に自然の美しい風景を捉えてたりするんだから如才ないすなぁ。

 あとvs熊シーンね! こんなに熊が人間を襲う様を丁寧に・執拗に描いた映画はちょっと無いんじゃないかなぁ。熊に襲われて生き延びた人の「熊に背を向けて亀の状態になったからなんとか助かった。仰向けだったら腹割かれて死んでた。」という生々しい証言を思い出したよ……。

 


10位:クリムゾン・ピーク

 いやー凄まじい美術・造形物。妖しの魅力をはらんだシャープ家の屋敷を現出させただけでも拍手。この館とクリムゾン・ピークという土地にすっかり魅せられてしまいました。作りこみが狂気の沙汰レベルですよ!
 メインの役者陣も秀逸ですよね。ソバージュヘアの間より見える、眉間にシワを寄せた苦悩の表情がハマっていたミア・ワシコウスカに対するは、トム・ヒドルストンの麗しの異相。そしてジェシカ・チャスティンは珍しい?怪奇派を演じていましたが、どうしてどうして。黒衣から見える白い肌、真っ赤で大きな口がインパクト大です。皆ルックス完璧!
 この作品は雰囲気に、世界にただただ酔う為の映画でしょう。悪い意味ではなく、素晴らしい「雰囲気映画」でした。

 

 

11位:ブリッジ・オブ・スパイ

 原爆の機密情報をソ連に漏らしたスパイを弁護する事となった、一人の弁護士に纏わる史劇・政治劇。自国に原爆の危険をもたらした男を弁護するという行為は正義か否か。
 守られるべき倫理よりも感情の爆発が目立つ事を、僕たちはネット上でいやという程経験していますが、そういう時代にこの「不屈の男」の物語の心強さ。我々は彼ほど決然と信義を守れるのか。スパイとタイトルにありますが、派手なシーンは特にあませんし、画面は終始地味です。しかし、こんな時代にはしみじみ味わい深い話でした。良い役者の演技と印象深き台詞の数々。いやぁ、静かに熱いぞ。

 

 

12位:ちはやふる 下の句

 作品単体で見るとパワーは上の句の方がありますが、纏めあげるバランスの良さは流石、上を受ける「下の句」。瑞沢高校かるた部が本当のチームになり、新が再生する物語は見応えありました。
 愛すべきかるた部の面々の素晴らしさは上の句と同じく。そしていよいよ登場したクイーン若宮詩暢は彼らに負けず、いやさ勝るくらい良い! 画面にいるだけで空気が変わる存在感。松岡茉優さん素敵だ…! 見下され京都弁で罵倒されつつ素足で蹴られたい……! 若宮クイーンが近江神宮で「神様の通り道」をスッと登っていくシーン。無言でただ歩むだけのシーンなのに、彼女がどんな存在なのか雄弁に画面が語っている! 独特の札の取り方も同じく! かぁぁっこいいい! 美しいいいい!
 またカルタシーンは上の句と同じくまさしく「闘い」なのだけれど、千早と若宮クイーンの試合はカンフーバトルシーンのよう(あの囲い手の変化!)。素晴らしいスポーツ青春映画でした。

 


13位:ドント・ブリーズ

 舐めてた相手が聴覚の優れた暗黒座頭市だった映画。深夜2時、灯りが落ちた闇の中。ドアや窓が完全に塞がれた勝手の利かぬ他人の一軒家では、視覚健常者など狩られる側に過ぎないのだ!

 最低の家族環境から妹を助けるためとはいえ、金を盗む事に固執したばっかりに追い詰められていく主人公のロッキー。キチ○イ(になってしまった!)爺さんとペットの猛犬は容赦なくこっちを殺しに来るもんだから堪らない。最初から最後まで全く気が抜けない!

 異常に耳の良い盲目爺さんは、少しの音も聞き逃さず執拗に攻撃をしてくる。とはいえ音を立てなければ……あッ爺さん、光を奪いに来やがった! 闇にじわりと消え、どこから襲い来るのか判らない、拳銃持ったタンクトップマッチョのキチ○イデアデビル爺! 悪夢か!

 巧みな演出で緊張を強いてくる上に、中盤でドン引く展開も待ち受けているので、90分も無い短い映画なのに「早く終わってくれ!」と祈りながら観ていました。つまらないんじゃないんだよ、面白いんだ! でも怖いんだ! 鑑賞前に必ずトイレに行っておこう。漏らすぞ!

 


14位:アイアムアヒーロー

 日本が舞台なのに、真っ当にゾンビものやってるって嬉しいじゃないですか。予算と規模は勿論違うけど、『ワールド・ウォー・Z』の冒頭風、街中で感染が拡散していくパニック描写! あれが日本で!

 ま、その大拡散シーンの後、画面に出てくる人数はガックリ減るんですけれどw、逃げずにゴア描写をガンガンやってたのは大いに評価すべきでしょう。また、単なるジャンル映画の面白さの枠に留まらず、ダメ人間が立ち上がるという覚醒映画としても成り立ってますよね。劇中にも「海外なら銃でZQN倒すんのラクなのに」みたいな台詞がありますが、ゾンビものにつきものの銃が、規制のある日本ではなかなか出てこず、故にここぞの必殺技、男が覚醒した証のカタルシスを呼ぶ機能を果たしてるのも面白いですね。
 ラストの大射殺祭りは邦画ではちょっと無い位に屍山血河を築く凄まじいものですが、ショットガン攻撃の見せ方に幅が無く、やや間延びしたようにも感じます。けれど消耗戦を強いられる登場人物の精神状態と、それを見守る自分の焦燥感が同期してるようにも受け取れたので、初見ではアリな気もしました。

 

 

15位:帰ってきたヒトラー

 1945年に自殺したはずのアドルフ・ヒトラーが2011年のベル リンに蘇ったら……というコメディーの皮を被った問題提起。映画という「虚構作品のストーリー」の流れとして、そのカリスマ性と話術でドイツ人を虜にして いくヒトラーなのですが、彼が街の市民にインタビューするシーンは、「現実の」街の素人さんを相手に「ガチで」ゲリラインタビューをしているというのだからなんとも挑戦的というか実験的というか。で、その結果、まんまと素人さんから国家主義民族主義 を肯定するような発言を引き出してしまったという……。この作品は物語という仮説に過ぎなかったのに、その実完全に当たっていたという皮肉(勿論、今ヒト ラーを担ぎ出す不謹慎さに怒る人もいたけど)。笑えるけれどなんとも怖い、日本の対岸の出来事ではないと感じた作品でした。

 


16位:デッドプール

 デップーといえばアッパー系クレイジーなそのノリがあまりにも有名ですが……その実、本作はごく真っ当な復讐劇でした。デップーがゲスト出演したアニメなどでは、彼には「賑やかし」の役を与えられる事が殆どですがそんな「飛び道具」だけでは単品作品では持たないでしょう。いや、むしろ単品作品だからこそ、デップーが背負う影にもちゃんとフォーカスできたともいえます。ごくシンプルな愛と復讐の物語というお話の幹がちゃんとあるからこそ、ハチャメチャやっても、(一見さんですら)ちゃんと楽しめる作品になってるのだと思います。低予算ですがよく出来てる!

 吹き替え版もハマってました。こりゃ喋り倒しになった加瀬康之さん大変だw

 

17位:ロスト・バケーション

 『フライト・ゲーム』『ラン・オールナイト』のジャウム・コレット=セラ監督の作品は、低予算でコンパクト、若干の粗もありながらも、総じて上手くまとめて見せてくれる……といった印象。今回もまさにまさに。ほぼほぼ一つの浜辺周辺で話が進み、最小の登場人物で見せちゃうこの小粒感。でも主人公にちゃんと動機を背負わせ、それを物語に組み込んで客に共感させ、きっちりハラハラドキドキで86分引っ張るんだから大したものです。
 主演のブレイク・ライブリーライアン・レイノルズのカミさん!)、いい芝居してましたね&尻! 最後にはサラ・コナーばりのど根性!
 メキシコの美しい海が息を飲むくらいに美しいし(それを使ったEDクレジット映像も秀逸)、スマホ表現もちょっとしたアイディア。あるアイテムの意外な医療サバイバル活用や、今っぽいデジタルガジェットも海に持ち込まれると新鮮。
 めちゃめちゃ大傑作!という訳ではないけれど、おっ、気が効いてる!って要素が散見された上に面白いという。意外なめっけもん観たなぁ、得したなぁという思いです。おすすめ。

 

 

18位:傷物語 Ⅱ 熱血篇

 冒頭で神谷浩史 vs 江原正士入野自由大塚芳忠とクレジットされますが、主人公の阿良々木くんを演じる神谷さんはひたすら喋り倒し叫びまくる。まさに声で、芝居で三人と戦ったと言えましょう。激闘! 熱戦! そしてもう一つの戦い(?)、羽川翼役、堀江由衣さんとのときめき丁々発止の掛け合いも良し。会話劇アニメの真骨頂を観た思いです。
 その会話劇を彩る、尾石マジック益々高みへ至りと言わざるをえない画面作り。シャフト作品というと、テンポのよいテクニカルな動の視覚的演出が取り沙汰される事が多い印象がありますが、静かで繊細な心理描写を支えるある種地味な演出もまた素晴らしく。羽川パート最高! ああ、羽川さんのあの手に引っかかって身を持ち崩してぇ!

 

 

19位:ザ・ウォーク

 人間の力強さを讃えた実在の綱渡り大道芸人の自伝的作品。と同時に、ニューヨーク最大の商業センターだったワールド・トレードセンターへの愛、そして直接描かれた訳ではありませんが、かつてあったあの悲劇への哀悼の意を、アメリカ人ならずとも感じさせられる作品でもありました。
 綱渡りまでの過程がケイパーもの風に描かれていて面白いですね。主人公は傲慢さも持ち合わせているのですが、冒頭からの軽妙語りと、演じるジョセフ・ゴードン=レヴィットの愛嬌であまり嫌味さを感じさせません。
 綱渡りシーン。WTCの壁面模様と、ツインタワーに張り巡らせたロープ、そして主人公が持つバランス棒、そして背景にNYの街並みが重なった時、幾何学的な美しい画面が幻出して、思わず息を飲みました。こんな絵は想像できなかったなぁ。秀逸!

 


20位:ボーダーライン

 やぁ、酷い(モノを見せられてしまった!)映画! 色んなパーツは『ゼロ・ダーク・サーティ』に似てるんだけど、関わろうとしても全く歯が立たず、徹頭徹尾状況の渦に流されてしまう女主人公はじめ、結局は全然違う作品でしたね。戦争にすらある「掟」なんて糞食らえ。ベニチオ・デル・トロジョシュ・ブローリンのあの2人の人非人っぷりよ。

 麻薬組織のアジトにカチコむ真際、夕刻のメキシコの大地に日が落ちていく。暗視スコープを装備し歩いて行く兵士たちは闇に沈んでいく……。 この夕刻のシーン、全くもって美しい(光と影のコントラストはまるで市川崑作品のよう)ですが、この「地平線を挟んで闇に没する」絵は、まさしくボーダーライン、何かの境界線を示したものではなかったか。この後の作戦の顛末、そしてさらにその後に女主人公に起こった事の酷さ、エグさ。うーん、僕、日本に産まれて良かったわぁ、とてもあんなの耐えられないわぁとゾッとしたものです。小市民の僕は、せめて出来る範囲で正しさを守って生きていきたいと思っているのですが、まぁ甘っちょろい甘っちょろい。
 頭からお尻まで、何もできないままの翻弄されるエミリー・ブラント、うさんくささ爆発のジョシュ・ブローリン、そして凄まじい存在感を誇るベニチオ・デル・トロ。この三人は本当よかったですね。面白いけれどしんどい作品でした。

 

 

21位:シビル・ウォー キャプテン・アメリカ

 物語は結構穴があるような気がしますが、観たい絵がバーン! 空前のアクションがドーン! で最高に楽しかったのも事実。うーん、なかなか困った映画だw
  例えばスパイダーマンなんて、ソニーとのしがらみがクリアになったから急遽ブッこまれたんじゃないかって思う程(別に彼いなくても成り立つよねこの話)。だけどこのスパイダーマンがまた可愛くって魅力的なんだw 彼のの能力がもっとお話の必然性 に結びついてくれたら……。

 また敵の魅力には欠けるよね。「超人達の活躍の裏で被害を受けた一般人の逆襲」なのは判るけど、地味! 掘り下げもないから思い入れも湧かない! 今回はアベンジャーズが2つに分かれて戦うお話なので、注力しないのは判るんだけど。

  でも前述のアクションは凄まじいし、メインキャラの掘り下げは、そのキャラのファンなればこそグッと来るくらいに描かれてるんですよね。キャップvsアイ アンマンのドロドロの殴り合いを見てたら泣けて泣けて。床に置かれた傷ついたキャップのシールド。印象的なあのカットに、キャップの心中や偶像としての キャプテン・アメリカの終焉など色んな事を想起させられました。

 

 
22位:スター・トレック BEYOND

 ワイスピシリーズで名を上げたジャスティンらしい、アクションの見所が多い作品。派手な見せ場で賑やかな画面づくりをさせつつ、果てには「なぜ、終わりなき宇宙を駆け、星々を探索(スター・トレック)するのか」という原点に立ちかえるお話でした。TVシリーズおよびその派生映画シリーズとのスタンスの差異が取りざたされる
本シリーズですが、ここで振り返りをしてくれたのは良かったなぁと。

 あと、本シリーズだけでなく、初代から続くスタトレシリーズ全体に関わる大きな存在・スポック a.k.a レナード・ニモイとその消失に、作品内で触れてくれた事は嬉しかったですね。(勿論もう一人、この三作で脇を固めてくれたアントン・イェルチンにも。)

 


23位:X-MEN アポカリプス

 新三部作の掉尾を飾る作品……ながらも、前作との整合性がややズレてる気が……。マグニートー関連の家族がらみの導入は不要にも思える。終盤の「一人じゃない」と絡めるならば、もっとチャールズやレイヴンとの絆、クイックシルバーとの関係性も強調すべきではなかったか。ちぐはぐな印象は否めない。

 ただ、新三部作だけでなく、『三作目が最低というのは全員一致』の旧三部作をもなんとか救おうという気概が見て取れたような気がして。結果、歪な作品ではあったのですが、旧三部作から見ていた身、第一次X-MEN直撃世代としては、スコットとジーンの姿に熱くなってしまったのですよ。スタッフのシリーズ愛を感じたのは嬉しく、好ましく思いました。

 


24位:ズートピア

 教科書に載せたいような相変わらずの優等生映画。その丁寧な組み立てや万人に通じんが為の目配せが鼻につくんだけど、まぁ大したもんです。最大公約数を得んがため「薄く」なってはいないものね。普遍的なテーマを陳腐に取られないような手際が見事って事なんでしょう。懐かしいバディポリス風味なのもおじさんには嬉しい。
 あとまぁほんのちょっぴり、ジュディとニックの仲を勘ぐらせるような台詞ありましたけど、あの世界では異種族カップルは成立するんだろうか。作中ではその手の事が全く描かれてなかったと思うけれど。

 


25位:HiGH & LOW THE MOVIE

 アクションシーンが凄まじかった、ヤンキーバトルものTVシリーズの映画版。いやぁ、大人数が入り乱れての乱戦バトルがどうかしていた! あれだけの規模の「喧嘩」をあのクオリティーで見せてるのは邦画史上初?(他にそんなものやろうって作品が無かっただけかもだけどw)もう少しカメラワークにキレが欲しかったけど、乱戦の中の長回しには興奮しましたなぁ。階段落ちしながら腕ひしぎ十字固め極めるなんてシーン、生まれて初めて観てその発想の斬新さにバカ負けして変な笑いが漏れました。
 勿論予算はかかっているのでしょうが、それより何より、アクションワーク、見せ方が意欲的なんですよね。ただ予算がれば良いアクションが出来るかというとそういうもんでもないでしょう。頭捻って体動かしてっていう地道な努力の結果かと思うと嬉しい。『ルパン三世』『るろうに剣心』や本作などがヒットして、アクションは売れる!アクションに憧れる!っていう風潮起きてくれ!と祈るばかりですよ。
 ただまぁ、仲間愛・地元愛に溢れたヤンキー思想の脚本は正直稚拙でライダー映画レベル。自分たちが見たい形でストレートに感動したいという、本作品が対象としたい視聴者層には合ってると思われるので否定はしませんけれど、タルいシーンも正直多々あり。今のライダー映画のシナリオが子供だまし程度なのは仕方ないのかもしれませんが、一般向けの作品ならもっと上のレベルのものが見たいなぁ、とも。

 


26位:聲の形

 漫画の評判は聞こえていたのですが未読。ヒロインがろうあ者という事で、障害が主軸のお話かと思ってたんですが、コレ違いますね。徹底してコミュニケーションの話だ。
 僕も恥ずかしながら、主人公の将也みたいな高校生活だったんですよ。自分には関係ないのだと、他人を諦観とともに断じた人間って、他人を一個の人間として認識しなくなるんですよ。本作では他人の顔にバッテンマークをつけて、将也がそれを個として認識していない事を表現していました。アニメ『乱歩奇譚』でも類似の表現がありましたが、あれはコミュニケーションの取れない人間の心象を実に的確に映像化したと言えます。他人と繋がりを持つのって、しんどいしめんどいし怖いんですよ。それでも人って、どうしても他人を求めちゃうものじゃないですか。そこで相手を一個の人間として受け止めて、相手に心を寄り添わせようとするか。その心持ちで顔のバッテンは着いたり取れたりすると思うんですよ。クライマックスで将也が観た、世界が広がっていくような風景は、まさしく閉じこもってきた殻から飛び出したという証左でしょう。
 で、なんで将也のことばっか書いてるかというと、他のキャラにあまり共感できなかったからなんですよね。これは尺の都合だと思うのですが、キャラの信条の移り変わりが一見して読みにくく思えます(僕の読解力不足かもですが……)。特に真柴は将也と友達になりたい理由も判らない。彼はそれ以外も殆どのシーンの行動が唐突に見えてしまう程に心が読めなかったですねぇ。顔つきだけは思わせぶりだったので、後で裏切るのかと思っちゃったよw
 とかく将也視点では大いに共感できましたし、故にラストも大いにカタルシスを感じ、得心が行くもので良かったのですが、周りの描写に不満があるという感じです。
 あとブヒ部的な話をすると、長身スレンダーな佐原さんが超タイプです。付き合ってください。結弦は悠木碧さんの演技も相まって超かわいいです。付き合ってください。植野さんは腹立ちますけれど、超エロいです。いやらしい事させてください。

 


27位:傷物語 Ⅰ 鉄血篇

 今までの物語シリーズの前日譚。阿良々木暦が如何にして吸血鬼になったかを描くお話。なぜ今このタイミング?と思っていたものの、直前にTV放映された『終物語』の死屍累生死郎編を経た後だと飲み込みやすい話でもあるのか、と合点がいく。しかし映画だから予算が増え?ると、尾石演出がますますゴージャスに出来るもんだなぁと。スクリーン映えする絵を作れる監督さんですよ。

 

 

28位:エンド・オブ・キングダム

 ホワイトハウスの次は英国だと、ロンドンで同時多発テロに見舞われる大統領とその警護官。前作に続いて、立て続けに各国首脳が殺害され、英国が制圧されていくさまは見応えあり。日本の首相も巻き込まれてるのには笑ったw
 「ダイ・ハードもの」なので面白くない訳はないのだけれど、続編らしく(?)主人公の言動が前作より雑になってるのは気になったかな。一応、欧米諸国の若者が他国のテロ組織に入り、祖国に仇をなす、という問題も取り入れている……のだけれど、主人公の雑な言動も相まって、「リアリティーの補強として取り上げはしたもののホントはそこに興味ないんです」感がありありと見えるというか。現実の問題を掘り下げても、この作品の面白さと咬み合わないのはわかるけど、もうちょっとやりようないかしらとは思った。や、面白いんだけれど、どこかデリカシーに欠け気味というかw

 

 

29位:ミュータント・ニンジャ・タートルズ 影(シャドウズ)

 亀忍者達の愉快な掛け合いを楽しみながらテンポよく見られる佳作だと思います。
 終盤のアベンジャーズのNY決戦ぽい流れからのイケイケドンドン感→エンドクレジットのあのテーマ。雑な点もありますが、ハッピーにノリで駆け抜けるのがこの亀忍者シリーズの真骨頂でしょう。新キャラのケイシーがいまひとつパッとしないのはやや残念。

 相変わらず亀4人の吹き替えがハマってて、特に畠中祐さんは他の出演作より自由に遊べる役柄なので、いつもより幅の広さ、おかしみを感じてたまらんかったですね。

 


30位:マダム・フローレンス! 夢見るふたり

 歳をとってもお花畑なお嬢様(というだけではなく、実は……)という老婦人を演じるメリル・ストリープ、魅せてくれます。音痴の自覚の無い「困った」彼女を、「愛すべき」人間としても観客に受け取らせる細やかなニュアンスを含んだ芝居は流石!

 フローレンスと複雑な関係にある、ヒュー・グラントが演じる夫。彼が金のために彼女と結婚したか否か、どう取るかで彼と作品の評価が変わると思うのですが、やはり彼はちゃんと彼女を愛していたと思うのですよ。己は夢を果たせなかった。妻も過去、夢を果たせなかった。「おそらくは最後の夢」を叶えさせ、その夢を保つために東奔西走する、金目当てを遥かに越えた献身的な様! 嘘を積み重ねた上での「夢」でしたが、その真摯な愛が本当だったからこそ、あの最後のフローレンスの表情でしょう。

 彼女を「裸の王様」「芸術への冒涜者」と見る事も出来るのですし、それも事実ですが、「非難されても、カーネギーで歌った事実は消せない」と彼女が言うとおり、(信頼できるパートナーたちの支援も相まって)「やってみた」からこそ、夢を叶え、会場の客から万雷の拍手を浴びたのですよね。自分の情熱に正直に進む事を肯定してくれる一本でした。ともかく役者陣の熱演が素晴らしかった!

 


31位:HiGH & LOW THE RED RAIN

 雨宮兄弟をフォーカスしたスピンオフ的作品。今まで殆ど描写がなかった兄弟について掘り下げてくれたのは○(ED後のアイスのやりとりのカワユさよ)。相変わらず(主に泣かせの)描写がダラダラしてるのは×。もっとテンポよく!
 ラストの雅貴と広斗、そして二人の心の中の尊龍のバイク並走シーンは『ワイルド・スピード SKY MISSION』の『See You Again』の流れる別れのシーンのオマージュだよね。でも劇中、尊龍のバイクに自転車で並走する雅貴・広斗の、幼き無邪気なあの頃の描写を入れてるから、変な唐突感や嫌味はなく。あれは上手い消化・昇華だと思いましたよ。

 


32位:SHERLOCK 忌まわしき花嫁

 舞台を現代から19世紀、コナン・ドイルが生きていた時代に移し替えた本作。しかし感性は現代のままに、ドラマ『SHERLOCK』の本質は変わらず。元々英国本国では、TVスペシャルの作品だったらしいですね、これ。本編前後にメイキング的な映像もあり、今までのシリーズを楽しんできた人の為の作品でしょう。これだ、この大いなる着地を待ってたんだ!
 薬物中毒というホームズの設定を巧みに使った絶妙なるご都合主義。さぁ、ゲームの開始だぞ諸君! シーズン4が楽しみ!

 


33位:ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅

  ハリポタは1作目の冒頭を観ただけなんですが、楽しめました。でもそこかしこにファンじゃないと判らないネタが仕込まれてた感じ。急に出てきたグリンデルバルドなんて正にそうでしょ?

 逃げた魔法生物をニュートがポケモンマスターよろしく捕まえる話と、魔法の根絶を目指す結社の思惑という2つの話が軸になり、収束していくお話なのですが、この2つがもっと有機的に関わってたらなぁというのは、最近の緻密で唸らされる映画を観すぎてる故の贅沢な注文でしょうか。とはいえ、魔法生物や魔法バトルの派手な絵は、見応えあり。
 「整ってはいるんだろうけどどこか異相」系役者のエディ・レッドメインは、ギーク系男子のニュートを魅力的に演じています。コミュ力が無い訳じゃないんだけど、相手の目を見て話さない、あの人付き合いが得意じゃない感! コリン・ファレルもいい味出してたんだけど、話の流れ的に損こいてるよなー。勿体無い。もっと掘り下げがあったら、名ヴィランキャラとして君臨しそうなのに。あれはグリンデルバルドが最初から化けてた」って事でいいの? シリーズファンじゃないからよくわかんないけど。
 吹替版で観たんですが、ニュート役の宮野真守さん、細かなニュアンスもしっかり表現なすってて、あ、やっぱりこの方信頼置けるわと。そうそう、妹クイニー役の遠藤綾さんも素敵だったなー! アリソン・スドルのアクトとばっちり合ってて、ジェイコブじゃないけど、ひと目(ひと耳?)惚れしてしまったw 続編(あるんでしょう?!)でジェイコブともども活躍してほしい!

 


34位:ルーム

 誘拐犯に閉じ込められた女と、その中で産まれ、外を知らない少年の密室からの脱出劇……のように予告を見ると思えるのだけれど、実は脱出後のドラマの方にこそ重きが置かれてたという。

少年が初めて外に出た時に、世界を認識できない描写がしばし続きますが、自分が上京した時をふと思い出してしまった。あの寄る辺の無さよ! 本作は母と息子の物語でありますし、ベタですが閉じ込められていた納屋=母の胎内という事でもあるんでしょう。

 人間はいざ希望を持って産まれてみても、なんかんだ世界の洗礼を受けて大変な目にあうもんなんですよ。でも本作のラストシーンのように「決別」をして歩き出していかなければいけない。「子供の目」の視点だけれど、大人の僕も改めてそれを受け止めなおしましたとさ。

 

 
35位:スーサイド・スクワッド

 『ジャスティス・リーグ』前にちゃっかりチームものですよ。とりあえず 集められたバラバラの悪党たちがいよいよ一つになり、男気見せてチームとして動くのは燃えるのですが……そのチームとして結束するまでが描写不足に感じま す。キャラクター個々人は魅力的な連中揃いなので、ちゃんと丁寧に段階踏んで結束してくれたら絶対アガるのに! でもそんな描写に割ける尺はない……。
  これさ、2時間の映画じゃなくって、ドラマシリーズでみたいよね。各個人の魅力や関係性をもっと掘り下げてさ。キャラクターに魅力があるだけに、いろいろ 端折られてる部分が勿体無く感じてしまった。ジョーカーの出番も増やしてさ。見たいでしょ?  ハーレイは当然かわいいのだけれど、人外萌としてはエン チャントレスちゃんも好きなんですよ。故に、繰り返しますが人外萌えとしては、汚い方wのエンチャントレスちゃんの方が好きなんですよ(わかるっしょ?) 声も沢城みゆき先生だしな!

 


36位:ジャック・リーチャー NEVER GO BACK

 前作と違い、、今作は女性少佐と少女を加え た三人でのチームものみたいになってる。リーチャーもならず者の顔をやや潜め、むしろトムが過去に演じたスペシャリストの側面が強いか。マンネリ化を嫌ったのか、その前作と違わさんが為に、ジャック・リーチャーという強烈なキャラクターの個性が薄まってしまっているのは勿体無い。前作の魅力は、まさにその薄まった部分なのですよ。
 その点はなんとも惜しいけれど、アクションとしてはそこそこ面白いし、おトムさんも体張ってる(また全力疾走何度もしてる!)し、女性少佐役のコビー・スマルダーズはマリア・ヒルを演じてる時よりもりもりアクションしてて良かったっすよ。

 


37位:ゴーストバスターズ

 お話は落第点。盛り上げられそうな所はハズすしタルいシーンもチラホラ。ゴーストもバリエーション少なめで寂しく、メリハリなくなんとなく流れでファイナルバトルに入るものだから、カタルシスがじぇんじぇん無い……。

 ただ、キャラクターは100点! エリンの妙なだらしなさ、アビーのキュートさ、パティの強いおばちゃんぶり、ケヴィンのバカかわゆさ、そしてそしてホルトマンのキチガイセクシー……(ホルトマンは5億点!)。

 


38位:殿、利息でござる!

 「今の日本に足りないもの」を提示する寓話。悪い作品ではないのですが……常々「時代劇の良い話」を観る度に抱く「こじんまり感」「どこかで見た感」をやっぱり覚えてしまった。「日本の道徳に寄り添う寓話」を二時間程度の尺でまとめると、こんな感じにまとまっちゃうものなのかもしれない。語彙力がないのでこの気持をなんとも表現できないのですが…。引っかかるなぁ。

 悪役・松田龍平の作りこみと、守銭奴山崎努は流石。今わの際を演じる山崎努の瞳の中の光! あの撮り方良かったねぇ。

 


39位:ザ・ブリザード

 大型タンカーを真っ二つに裂く史上最大級のブリザードに、クリス・パインが小型救助艇で立ち向かう樣は見応えバッチリ(ああ、海にももう行きたくない!)。ただ没するまいとあの手この手で生き残りにかける、大型タンカーに残された男たちの奮闘ぶりも意外に楽しめます。

 ただ、クリス・パインがなぜそこまで救出に拘るのかという理由がちょっとサラっと描かれすぎ。動機づけの部分はもっとしっかり描いて欲しかったです。冒頭30分くらいは結構タルい感じもしますし、そこでもっと動機部分の根回しを、ね。

 


40位:劇場版 ガールズ&パンツァー

 あれだけの大人数のキャラにまんべんなく見せ場を作り、活躍させている交通整理力は大したもんだなぁと。決戦の地に、今までのライバル校が味方として、テーマ曲を背負いながら集うシーンは燃えるし、ギミックだらけの遊園地決戦もアニメならではと言える絵。

 ただ、愛里寿の参戦に至る動機づけが弱い・雑というか。ボコミュージアムの唐突さ。みほ達が訪れるシーンも同じくで、あそこはタルく感じた。熱烈なファンはキャラ描写でニンマリできそうだな、とは思うけれど、申し訳ないけれど僕はそこまでこのアニメのファンではないので……。ファンムービーとしては素晴らしい出来なのだと思いますが、僕の思い入れの無さでこの位置。

 


41位:バイオハザード ザ・ファイナル

 今までのシリーズ作品以上でも以下でもない(裏を返せば安定した?)面白さ。予告にあったゾンビ大焼却シーンより見栄えのする絵がないのは残念。ロボコップガンカタ展開は笑ったw

 レッド・クイーン役にジョボ姐の愛娘を起用したのは案外縁故採用でもないのには関心(いや、でもある意味親子関係を作品に利用した究極の縁故採用か)

 


42位:グランド・イリュージョン 見破られたトリック

 完全に1作目観てる人向けの続編映画。マジックもますます奇想天外感を増し……。まぁ、ファンタジーですよねw そう割りきって見ると、あの中盤のトランプ受け渡し芸はコントすれすれで笑えます。

 ラストマジックの見栄の切り具合は様になってて格好良いけれど、あのオチに落とすには展開がやや雑に思えたのと、ダニエル・ラドクリフの見せ場は登場シーンが頂点だったのは残念。

 


43位:ドラゴン・ブレイド

 『ロード・オブ・ザ・リング』、『300』、『グラディエーター』をつまみ食いしたようなシーンが散見されましたね。団結・集結シーンは燃えますが、話はまぁ、良くも悪くも荒く、今ひとつ食い足りない印象。主人公の価値感が矢鱈に現代よりですが、まぁそこは目くじら立てても仕方ないでしょう。

 


44位:ジェイソン・ボーン

 一度終わったシリーズが再び……というシリーズ再起動もの。しかしシリーズを牽引してきた魅力の悉くが、今までの三作より矮小化されてしまっていたように思えます。 アクション映画の近接格闘のリアリティーを底上げしたCQCの見応えは薄く。今までの三作よりさらにカメラは近いし動くし、何とも見難い。ボーンの強さを支える頭脳戦での機転も今ひとつで、「この手があったか!」「頭いい!」という驚きに欠く……。

 ボーンが工作員になるきっかけが明かされるというストーリーも、ボーン本人には大事かもしれないけれど、観てるこっちには大した話には思えなくって……。蛇足を見る虚しさに苛まれてしまったのでした。再起動というより墓暴きに終わってしまったなぁという印象(そうそう、EDのテーマの『Extreme Ways』に入るシーン、タイミングも今までで一番ダサい)。作中で「このまま消える」とか、「これからは若い世代の時代」みたいな台詞がありましたけど、これってこのシリーズ自体の事を隠喩してるんじゃないかしらん。

 しかしベガスのストリップを大胆に使った、SWAT装甲車vsダッジ・チャージャーのカーチェイスは素晴らしい! アガる! えっ、こんなに頑丈なものなの?!と吃驚のタフネス&パワーを誇る装甲車が一般車両を面白いように蹴散らす! 追うダッジ・チャージャー(但しAT)! ベガスのビカビカテラテラのネオンをバックに、ボーンシリーズらしからぬヤンチャ暴走を繰り広げる装甲車に向かって、これまた破天荒アタックをしかけるボーン! おお、ボーンシリーズのリアリティーを越え、まるでワイルドスピード時空に飛び込んだかのよう……楽しかった!

 あと人物を映す際に光と影で内面を表す演出は良かったです。クドくならぬないようにさり気なく挿入されてるのが、自然に情感を溢れさせてくれるんだ。

 

 

45位:貞子vs伽倻子

 テンポよく話が進んでいくのはいいのですが、ねっとりじんわりしたいやらしい怖さは無く、ホラー感はあまり無かったです。あくまで「対決」に焦点を絞った作品ゆえかと思いますが、ホラーを期待して観に行ったので、ちょっと物足りなくも思えました(とはいえ、多くの人が見られる娯楽映画に仕上がっているのは商売としても正解だとは思います)。

 2つの呪いの対決も、まぁ「どちらかを負けさせる訳にはいかない宿命を背負った対決もの」だからね、仕方ないね、なあっさり醤油味。あの2つの呪いが合体するというラストも想像できちゃったので、うーん。呪い同士が立ち会うまでの盛り上げはかなりワクワクしたのですが。もっとこっちが口アングリ、バカ負けしちゃうようなラストが欲しかったなぁ。

 あとあの自分勝手な酷い呪い拡散のくだり、要る?w 特に解決せずに終わったし、あるかもしれない続編に向けて取り敢えず入れときました、かしらん?

 


46位:Mr.ホームズ 名探偵最後の事件

 タイトルに反して(?)これは万人にやってくる「老い」と、それをどう受け入れるかという作品でしょう。老い。得たもの、得ていたものを失い、孤独になる。我々が存分に知る、あの天才的頭脳を誇ったホームズですら、多くのものを失ってしまうという事に、我々は愕然とする。しかし老いなお、彼が理性的に真実を追求せんとする姿勢に勇気づけられるし老いてから新たに得るかけがえのないものだってある。しみじみと響く作品。

 ただ、ホームズが30年前に残した謎を、新たな相棒を得て解く推理劇……なんてものを期待していたので、拍子抜けしたのも事実。思てたんと違う案件。

 


47位:インフェルノ

 シリーズ未見。MMR風の物語を想像しましたが、金田一シリーズ要素もあったような。ミステリーものの割には、犯人やそのタネなどはあっさり明かされるし、のちのちょっとしたどんでん返しも後付けの強引感がなぁ。今ひとつ。

 ウイルスを封じるケースの封印が、ちゃんと効いてる/効いてないの描写がやや判りにくいのも勿体無い。あそこはっきりさせるだけでもっとハラハラさせられるのに。イタリアの歴史建造物を美しく描いてるのは良し。そういう絵のリッチさはある。

 


48位:超高速!参勤交代リターンズ

 ファンタジー時代劇人情コメディーでご都合主義が多すぎます。が、劇場内は結構笑いが起きていたし、ライトに楽しむものでしょう。そこに野暮は申しますまい。

 ただ、前作で「参勤交代という制度に振り回される人たちの話」は既に終わってるんですよね。中盤以降は「参勤交代」は何処へやら、前作からの因縁に決着をつけるだけに終始。軸となる面白い仕掛けがなくなってしまった分、「普通の人情時代劇」になってしまった所は否めない。続編の辛い所だと思います。

 あとちょいちょい無駄に見えるシーンが挿入されるのも疑問。(弓の名人・吉之丞の脈絡なく出てくるあの特殊矢、要る?)古田新太大岡忠相は良かったっすね。この人時代劇合うなぁ。 

 


49位:アウトバーン

 アウトバーンという邦題と予告映像から壮大なカーチェイスを期待したのですが、それは然程大きなウェイトを占めている訳ではなく。ニコラス・ホルトが機転で切り抜けていく逃亡劇。

 『ビトレイヤー』の監督作品なので期待していたのですが、話の作りは荒し。監督らしい色気のあるよい絵は散見されるのだけれども、ね。脚本がもうちょっとしっかりしていれば……。ニコラス・ホルトのアップの表情は沢山楽しめるので、ファンなら(ファミ通クロスレビュー風〆)

 『アイアンマン3』のマンダリンをより胡乱にしたようなベン・キングズレーと、センスのいいスーツ着た、ハンニバルっぽい知性を感じさせるアンソニー・ホプキンス。この二大悪党は流石の存在感。良かったですが……何で出演したんだろう!?w

 


50位:KING OF PRISM by PrettyRhythm

 TVアニメのプリリズのシリーズは未見。尺が58分と短い所為か、とにかくテンポが早い……。ここ間が欲しいな、って所も関係なくどんどん話が進ます。尺の短さを逆手に取ってとにかく畳み掛けるスタイル。この駆け抜けるドライブ感が、ファンには快感なのでしょう。個人的にはじっくりドラマが見たいと思うのですが……。

 話題のレインボーライブはじめ、過剰な演出も、個人的にはあまりノレず。僕にそれらは、必然としての演出ではなく、過剰なものを見せんが為の演出に見えてしまうんです。既視感を覚えるなぁと記憶を探ったら、ゲームのスパロボシリーズのオリジナルキャラの戦闘ムービーに同じノレなさを感じている事を思い出しました。長台詞&シリーズごとにインフレしていく派手な演出を思い入れの全く無い人物にやられても……。勿論キンプリもスパロボも、それが好きな人は勿論多いでしょうし、これは好みの問題でしょうかね。僕はやっぱり理屈じゃないものは、丁寧に助走して盛り上げてくれないとノリにくいんだなぁ。そしてこの尺では、ドライブ感を売りにしている(であろう)キンプリではそれは難しいのだろうなぁ。

 シンボルたるコウジが去り、沈みゆくライブ会場を新人のシンが盛り上げ、新たなる希望となるという継承の物語は好み。シンが「これからもプリズムショーを応援して下さい!」と観客に語りかけるシーン。これはプリティーリズムを作ってきたスタッフ達からの、スクリーンの向こう側にいる僕達鑑賞者へのメッセージでもありましょう(シンの語りに、キンプリ本編と関係ない、今までのプリティーリズムシリーズのライブ映像を重ねて見せているのがその証左ですね)。そういう作り手の思いにはグッとさせられます。

 僕には良し悪しある映画で、残念ながら悪しの方が多く感じた作品でした。皆さんが熱狂的になる理由も、理屈ではですがなんとなく判りますし、否定するつもりも全くないです。

 

 

51位:ポッピンQ

 『ちゃお』にコミカライズ作品が連載されているようだが、一番の対象は小中学生女子だろうか。大人の階段を最初に踏み出す「中学卒業」を控えた5人の少女の物語。その少女達を通し、現実の同じような境遇の少女達にメッセージとエールを贈るという心意気は良い。けれども正直、構成や脚本は首を傾げざるをえないレベルだった。ご都合でルール設定がどんどん出てくる割に、それに必然性は無い(ように僕は思えたし、あるなら理由をもっと強く打ち出すべき)のだ。

 プリキュアシリーズで練り上げられたCGダンスは流石の出来だが、なぜその異世界でダンスを踊る必要があるのかもまるで描写が無い。5人の少女達でメインに描写されている、伊純とさき、彼女たちが抱えた問題を乗り越えるのはまぁ理解できるが(それでも根拠不足だとは思う)、他の3人の少女は物語が解決したから、結構なんとなく成長したていで問題を乗り越えてしまう。

 かように一事が万事、描写不足ゆえに説得力に欠けるのだ。少女達にメッセージとエールを贈るという心意気は良い、と前述したが、この説得力の無さで果たして受け手の少女たちの心を掴む事はできるのか疑問である。もっと対象年齢が低ければ、こんなにざっくりしたお話でもいいのかもしれないが、それにしても子供だましもいいところ、なのである。

 あとEDクレジット後の続編の予告。本編だけではレノの存在の意味が判らなかったが、これを見れば一応の合点はいく。しかしそんな続編の予告サプライズを作ってるくらいなら、まず本作を一つの作品として地に足をつけてまとめ上げて欲しかった。ダンスシーンの地味ながらも凝ったカメラの使い方、キャラクターデザイン、演者の熱演等、褒めたい所も多くあるのだが、話の作りという幹の部分があまりに宜しくなく、最後まで乗り切れなかった。これが東映アニメーション60周年記念作品で本当にいいのだろうか。今のところ続編を観に劇場まで足を伸ばす気にはなれない。

 


52位:白鯨との戦い

 原作未読。白鯨モンハンものでも、クリヘムとベンジャミン・ウォーカーの男同士の対決でもなく。すいません、僕の読解力では何をやりたいのかよくわかりませんでした。捕鯨反対を叫んでるアメリカでも、昔は鯨狩り尽くしてたという歴史を掘り下げる訳でもなし……。キリスト教徒ならもっとグッとくるんでしょうか?

 


53位:インデペンデンス・デイ リサージェンス

 予告で観れた大カタストロフシーンは少なく、折角出てきた新キャラも、別にいなくてもいいんじゃなかったのか感あるヤツもチラホラ。前作で言う大統領の演説のような高揚シーンはあそこまでアガらず、テーマの一つ?の親子愛もなんだかボンヤリとしていて。

 怪獣としかいいようがないラスボスの正体は良く言えばバカっぽくて面白いですが、存在が面白いだけで見せ方・展開は序盤のエイリアンの攻撃に比べて尻すぼみだよねアレ。それなりに豪快な絵は観られるけれどどこかのっぺりとした、メリハリなく最後まで走ってしまったような作品でした。ラストはノー天気だなーと笑うべきか、正気を疑うべきか。

 

 

 

 以上、53作品。2017年も良い映画に出会えますよう。

『君の名は。』の感想など。

君の名は。』の感想です。ネタバレ有り。

 拙文ですがお付き合いいただければ幸いです

 

 

 

 

 

 

 

 

 

君の名は。』観ました!

 SFを下地に、時間や空間、さまざまな距離のもとに思いが交錯する男女の物語、というのが新海誠監督作品の持ち味。ビターな要素が多いというのも、その一つですね。

 新海誠作品はその持ち味に惹かれた熱心なファンを獲得していますが、その持ち味アニメファン向けだったりややマニアックだったり、どこかマイナーだったように思われます。所謂メジャーなエンタメとはやや言い難いものだったというか。しかしこの『君の名は。』は、新海監督の持ち味を存分に発揮させた集大成とも言える作品ながらも、メジャーエンタメ作品として通用する普遍性・大衆性を持ちあわせているのではないでしょうか。まさしく傑作!

 

 入れ替わりものとしての物語が続く中盤までは、物語としてそこまで新海色は出ていないように思われ、肩透かしをくらったよう思えますが…… 瀧と三葉の入れ替わりに三年のタイムラグがあり、彗星の落下で既に三葉は死んでいた……という急展開、一気に物語の景色が変わるサプライズからは新海マジックが爆発! 宮水神社のご神体のある山頂で、誰そ彼の光の中、時間と空間を越え、思いが繋がる!

 

 ……の後も話は続くんだよ今回は! てっきりここで思いは繋がるもやはり二人は元に戻り、結局糸守町の住人は全滅だと思ったもの。そこからちゃんと物語を続け、三葉の奮闘、二人の分かたれた切ない思いをさんざん見せつけ、「どーなるどーなる?」と僕らを散々悶々とさせながら溜めを作った上でさらに歩道橋の上で一回すれ違わせておいての電車すれ違いによる再開だもの! こーれはキモチイイよフゥーゥ! で、タイトルに繋がる二人のあの台詞だもの。カタルシス爆発!

 これ!この皆をちゃんと楽しませるサービス業としてのエンタメですよ。しかも前述の通り、誰が観ても新海誠作品だわ!って納得させた上でですよ! やー、自分の趣味に走ったサンプリング芸のカルト的作家だったタランティーノが、その趣味を出しつつ、近年どんどんメジャー感のある映画を作っていったのと同じですよね(あ、これ最近『シン・ゴジラ』でも思ったかもしれない。)

 「君もいつかちゃんと、幸せになりなさい。」という奥寺先輩の台詞がありましたが、それはお話の帰結としてだけでなく、作品としてもお客さんに愛される幸せな作品になったんじゃないでしょうか(奥手な人ばかりの田舎の劇場で、まさかの拍手が起きた!)。この言葉は監督から観客へのメッセージであり、願いでもあるのでしょう。

 

 

 

 

 

 以下、思った事を箇条書きで。

 

・マイナーからメジャーへというのは、田中将賀さんがデザインしたキャラクターについてもそうで、田中将賀キャラと聞いて僕らが思い浮かべるイメージとはちょっと違うデザインですよね。田中氏の作品中で比較的メジャーよりな作品といえる『心が叫びたがってるんだ』と比べても、目の描き方や髪型のシルエットなどがシンプルで、今の深夜アニメのラインからはちょっと外れているように感じます。でもパーツや肉体のラインが確かに田中氏のそれだって判るのだよなぁ。面白い。

 

・この作品、「2人が体をとりかえて日常生活を送る中で、三年のタイムラグに何故気づかない?」という、お話の大前提をひっくり返す不自然な点があるっちゃあるのよねw まぁ思わず身を乗り出しちゃう位に惹きつけてくれるので、観てる間はそこまで気にはならないのだけれど。

 

・「もうあたし、この町いややー。狭すぎるし濃すぎるし、さっさと卒業して、早く東京行きたいわー。」という三葉の台詞。癒着を思わせる町長と土建屋。「また町長は再選やろ」という変わらないという諦めと、本当にクソ田舎な町でしかない糸守。新海さんもかつては田舎で鬱屈していたのかな、と思わせる描写ですが、そうだとしたら、糸守を嘆く三葉をたしなめながらも、このままこの街に留まるならば将来どうするのかと問われると、どうも言葉を濁らせてしまうテッシーというのうは、東京に出る前の新海さんご自身が投影されたキャラクターなのかも知れませんね。僕もド田舎に住んでるんで、あの辺の思い、よく判ります。

 

・主演の神木隆之介さんは、声質も芝居も役にピッタリでしたね。声の演技のテクニックも『サマーウォーズ』の頃より上がったなぁと感じました。入れ替わりの女の子演技、可愛いw 上白石萌音さんもこれまた役にピッタリ。『ちはやふる』でも役をちゃんと把握してらして、細やかな所作にまで役柄を反映させてらしたのに感激したのですが、その細やかさは本作でも発揮されてました。

 

・主人公が思い切り走る作品は名作、の法則にこれまた当てはまる作品ですね。熱走!

 

・彗星の落下という大災害について、ここ数十年の震災被害や広島・長崎の原爆被害を織り込みながらも、説教臭くなく・変な配慮を感じさせずエンタメに落としこんでいたのには関心しました。東日本大震災が起こった当時は津波の映像表現などが自粛されたものですが、こんな作品もいよいよ出てきたのですね。瀧くんの「東京だって、いつ消えてしまうかわからないと思うんです。」という台詞もサラッと流しちゃったし。

 彗星が破滅を呼ぶ存在だと判った後でも、「──それは、まるで夢の景色のように、ただひたすらに、美しい眺めだった。」だものなぁ。

 

・やたらに扉が開いたり閉じたりする描写がありましたが、その扉を乗り越えて、行動するか否か、という物語でもあったような気がします(再見した時にどんなポイントで扉の表現が出てきたのか確認したい所。)前述の「君もいつかちゃんと、幸せになりなさい。」という台詞。幸せってのはやっぱり行動、アクションを起こさないと掴めないものなんじゃないかなと。……なんか、当たり前の事なのかもしれないですけれど。何か決断する時に勇気を借りる作品になりそうです。

 

シン・ゴジラの感想など

 『シン・ゴジラ』の感想です。ネタバレ有り。

 拙文ですがお付き合いいただければ幸いです。

 

 

 

 観ました『シン・ゴジラ』! 今までのシリーズよりリアリティーの度合いをグッと上げて、ゴジラ日本上陸という大事件に翻弄されながら立ち向かう人間の様を描いた作品。『突入せよ!あさま山荘事件』と『プロジェクトX』を足したようなというか。

 

 巨大怪獣がもし上陸したならば、というシミュレーションを高いリアリティーでやってくれるものだから、(東日本大震災というモチーフがあるとはいえ)「そうか、怪獣が上陸したらそりゃそうなるよなぁ!」「あっ、この絵は怪獣映画で観たことない!」と感心しちゃうような新鮮なショットが散見されたのが嬉しいですね。

 

 新鮮といえばゴジラの熱線放射も、今までに無い見せ方でしたね。足下に爆風をぶち撒けてからの巨大熱線……いや光線! あっという間に灰燼と化す都心! 燃え盛る街に佇む荒ぶるゴジラを見た時、特撮大好きな皆さんは思ったんじゃないでしょうか。これ、『巨神兵東京に現る』じゃん!(そういえばゴジラの進化予想として、羽根が生えて大陸を超える可能性も、って言ってた!)

 

 『巨神兵東京に現る』は、昔ながらの特撮技術で新たに巨神兵を描くという作品のコンセプト上、成る程褒め言葉として作り物感が溢れたとフィルムでしたので「おっこの破壊は面白い!」と呑気に興奮できたものですが……リアリティーを高めまくった本作で、圧倒的な都市の大破壊を見せられると、「お、俺たちの街を蹂躙しやがって……!」と悔しさと絶望感で胸が詰まりました。おのれゴジラめっ!

 

 相手は通常兵器が通じない究極生物。首脳陣の多数が死亡。米国による核攻撃までの時間はない……。それでも! 生きている人間は善処しなくてはいけない。前に進まなくてはいけない。「でも、やるんだよ!」と抗う人々の姿は『プロジェクトX』的で燃える展開です。ここまで絶望的なシチュエーションではないにせよ、こういうの、大人なら仕事なりで経験、ありますよね? 共感や憧れを覚えます。もちろん、庵野総監督や樋口監督も現場で大変な状況を経験なさっていますでしょう。「仕事ですから!」なんてのも自らへの鼓舞でもあるんでしょうね。

 また、ヤシオリ作戦前の矢口の演説や、赤坂の「この国には若くて有能な人材がいる」的な台詞は、彼らが新たな次代のクリエイターへのメッセージでもありましょうね。

 

 対抗しうる怪獣も超兵器もないこの作品世界で、どうゴジラに挑むか。なんと、今までのシリーズでもゴジラに蹂躙され続けてきた都市ビルと電車を利用してゴジラの動きを止めるってんだから。そして対策班と日本各地の製造工場が作り上げた血液凝固剤を決死の特車隊が直接ゴジラの口に注ぎ込む!(ヤシオリ作戦とはよく言ったもの!) まさに人間の知恵と勇気! その手があったか!& その手しか無いよな! という二重の思いで感心。

 

 本作の続編を作ろうと思えば作れるように終わっているとは思うのですが、ここまでのテンションを保ちながら、トンデモ要素を排してゴジラに対抗しうる現実的な手段を考えるのは骨でしょうねぇ。や、もうこのゴジラはこの作品で完結すればいいと思うし、庵野&樋口コンビがゴジラを撮らなくてもいいでしょう。「終」だ「終」!

 

 粗がないといえば嘘ですが、とにかく面白かった! こんなゴジラがあったらと、色んな人が本作と同様のアイディアを夢想した事と思いますが、ここまで徹底して作るのは中々できないんじゃないかなぁ。 ……世界よ、これが「日本の」怪獣映画だ!

 

 

 

 以下、思った事を箇条書きで。

 

・(流石にもう「ゴジラは着ぐるみじゃないと認めん!」なんて人は殆どいないと思いますが)今回のシンゴジはCGで作って大正解ですよね。あの究極生物に、何か僕達との共通項であったり、コミュニケーションが取れそうだったりという余地を見出させてはいけませんよ。CGでそういう余地を完全に消したモンスターを作り上げたというのは、今回のゴジラの特性にぴったり合ってます。

 

プレジャーボートから消えた牧教授は、ゴジラに向かって身投げしたのか、あるいは某かの方法でゴジラに取り込まれたのか。会議シーンが劇場版パトレイバー2に似ているという意見を目にしましたが、僕はこの、いわゆる物語の発端を担った男が既に死んでいる点や、前述の「結局は知恵と勇気」が、劇パト1っぽいなーと思って観ていました。

 

ゴジラ初上陸時の第二形態。あれよくリークで事前バレしませんでしたよね。てっきり第三形態の形で上陸するもんだと思ってたので、あれには本当びっくりしました。ファニーフェイスで不気味に地を這う姿がまた気持ち悪い。

 

・会議シーンが矢鱈に早口な本作ですが、あれ早口にしないと観ててタルくなるから敢えてあの速度で喋らせて、テンポよく進めてるんじゃないかなーと。会議シーン以外はそんなに早口じゃないですし、意図的ですよね。聞き取れなくても大意は掴めるようにもなってますし。

 確かどこかのインタビューで、「撮影前の事前準備をしっかりやった。声優に台詞を色んな速度で喋らせてシミュレーションしてた」的な話を読んだ気がするのですが……。

 

・今回は自衛隊の攻撃が百発百中でゴジラに命中してるのがいいですよね。過去作品では特撮技術上の仕方ないのでしょうが、この距離で外すんかい!ってなくらい結構攻撃を外しててちょっと格好悪いんですよね。またあれだけ的確な集中砲火を受けてもビクともしないという、ゴジラの強さの証明にも一役買ってますし。

 

・東京に核攻撃がなされる事に対して、「アメリカはニューヨークでも同じことをすると言っている。」という台詞がありましたね。これ、84ゴジラの有名な台詞、「あなた方の国アメリカやソ連ゴジラが現れたら、首都ワシントンやモスクワで、ためらわずに核兵器を使える勇気がありますか?」へのアンサーでもあるのかな、と。

2015年観た映画ランキング

 

 さて、昨年も「1年間で劇場で50本、1週間1本の計算で映画を見よう。」という目標を立て、結果55本の作品を鑑賞しました。自分の記録として、2015年に見た映画のランキングにtwitterなどに上げていた寸評を合わせてまとめてみようと思います。

 

以下注意書き

・映画館で見たから、本数を見たから偉いという訳ではないですし、このランキングが絶対という訳ではありません。感想含め、あくまで僕の主観です。

・このランキングは「現時点で振り返ってみると大体こんな感じ」という程度の気軽さでつけています。今後順位が上下する事は大いに有り得る、大雑把なランキングであるという事をご承知ください。

寸評中にはネタバレも含まれますので、ご了承ください。

 

 

 

 

 

  ハイカロリーなシーン満載だった前作をさらに飛び越える程の熱量、「どうかしている!」と形容する他無いトンデモカーアクションのつるべ撃ち! ファミリーを大事にする「ロスのマイルドヤンキー」「ワンピース」感はそのままに、快速王に俺はなる!と、テロリスト相手にどこまでも車だけで丁々発止! 全くもってどうかしている! 知ってた? 車って空を飛ぶ乗り物なんよ!

 しかし、最後。子供が出来、引退するというブライアンが砂浜で家族と戯れる様を、もう一つの「家族」達が優しい笑顔で見守る。ドムは語る。「家族が彼の居場所だ。」ああ、ドムが認めてしまった。本当にブライアンは足を洗ってしまうんだ……。
 
 「家族」に黙ってその場を去り、車を走らせるブライアン。ドムは追いかけ、車を横につけます。「さよならも言わずに出て行くのか?」 そう、撮影期間中で交通事故で亡くなってしまったブライアン役のポール・ウォーカー。彼もまた、さよならも告げずに、『ワイルド・スピード』シリーズの作中を超えた「家族」たるキャストやスタッフ、ファンの前から居なくなってしまった。もうスクリーンで彼を観る事はできない……。このラストシーンは、彼に「家族」が捧げる別れの儀式なんですよ。
 
 やがて笑顔で車を走らせる二人。彼らの始まりの車であるスープラとチャージャーが並走していく。どこまでも彼らのドライブを見続けていたいけれど、やがて道は別れ、二台の車がどんどん離れていく。いやだ、行かないでくれ! ブライアン、まだまだお前の走りを観ていたいんだ! ポール、役者として油が乗ってきた今、お前はこれからじゃないか……! そしてカメラはブライアン=ポールの車を追いかけていき、そして彼は朝焼けの光の中に消えていく……。観ていてこんなに涙し、嗚咽したシーンは未だかつてありません。
 
 実にワイルド・スピードシリーズらしい見送り方でした。ありがとう、全ての制作スタッフの皆さん。ありがとう、ポール。
 
 
 
2位:マッドマックス 怒りのデス・ロード
 3作目より27年の時を経て、再び帰ってきた伝説のポスト・アポカリプス映画最新作。その後の数々のエンタメ作品に影響を与えてきた本シリーズですが、それらフォロワーが到達しえなかったマッドな表現の数々に息を飲みました。旧作よりも遥かにパワフル&ノンストップなカーアクション劇は、ジョージ・ミラーよ本当にあなたは御年70歳のジジイなのかというギラギラさに満ち満ちており。マッドマックスを超えるのはマッドマックスしかねぇんだなぁと脱帽いたしました。
 
 CGを殆ど使ってないっての、嘘でしょ?!ってぐらいに、マッド人間が駆るマッドカーによるマッドドンパチでマッド爆発のオンパレード。その狂気の映像世界の中、時々ハッとするような芸術的な絵も見せてくれるのだから堪らない……。
 
 吹替MVPはニュークス役の中村悠一さん(や、僕がファンなのもあるけど)あのノリノリな狂信者ぶりを聴いてると「あれ? なんか割とイモータン・ジョー教楽しそうだなぁ」と思えてくる不思議。あとやっぱこんなイカレた役でもやっぱり声が色っぽいんだよね。素敵。
 
 
 
3位:スター・ウォーズ フォースの覚醒
 これまで描かれてきたスター・ウォーズサーガは継承の物語でした。そしてこの作品は紛れも無くそのサーガに連なる継承物語であり、あらたな始まりでもありました。
 
 またシリーズの正統続編が、11歳の頃に雑誌『スターログ』でスター・ウォーズの記事を読み、雄叫びをあげた少年こと、J.J.エイブラムスの下で作られたというのも素晴らしい継承の物語ですよね。 そりゃこれだけの歴史とファンを持った作品ですもの、何を作っても不満が出てくると思うんですよ。でもこれ、ほぼ最適解じゃないですか? 旧作のヒーロー達も活躍しますし、けれどもこれは、新たなる時代の新たなるキャラクターたちの物語だとも明確に示している。バランス絶妙ですよなぁ。大したもんだよJJ。よぉビビらず形にできたもんじゃ。
 
 上映までに盛り上がっていくボルテージ、皆と味わう祭り感も楽しく、その期待に違わない楽しい作品だったのが良かった。 伝説から神話にならんとする物語の最終章を、リアルタイムで見届けられる幸福! こりゃまだまだ死ねんですよ。
 
 
 

4位:劇場版 PSYCHO-PASS

 僕が日本の映像で見たかったけれど、今まで見れなかったもの、僕がPSYCHO-PASSという物語で見たかったものが全部詰まったハイパー幕の内映画でした。やったね!


 TV版でもえらい凝った近接戦闘シーンがあって、何度も巻き戻して舐めるように見たものですが、本作もアバンから凄かった……。ギノさんの小手返しテイクダウンだけで、もううっとり。銃の描写も凄くてねぇ、こんなにアクション周りが凝ったアニメちょっと無いですよ! 思わず惚れ惚れしちゃう位に見事な、敵の傭兵軍団の殺しの描写や、狡噛とギノさんvs傭兵隊長ルタガンダの変則タッグ戦など、ホントこの作品は「エンタメ映像としての見栄え」と「格闘技術のリアリティ」が共存したアクションの殺陣を組んでくれるんです。鑑賞中何度も絶頂したね俺ぁ。


 TVシリーズで大きく成長した朱も、さらに女傑ぶりを発揮して、強い女好きとしてたまらんかったですわい。「シビュラ否定派だけれど、平和的な社会を成り立たせるのに、現状はこのシステムが有効だというのも理解している。だがその統制を享受し続けてはならない。人間はこれまでもより良い社会を目指し、連綿と歴史を営んできた。遠い未来になるかもしれないが、必ずシビュラを必要としない世界が作られる。私は人間を信じる。」というのが、TV版後編からの常守朱というキャラクターの一貫したスタンスなのですが、クライマックスはその集大成だったという思いです。朱の高潔さと、台詞の俺納得度の高さが極に達して、なんだかおじさんは涙が止まらんくってねぇ。

 

 劇場に6回観に行ったので「あ、ここの演出変だな」とかいらん事も気づいてしまいましたがw、それでも2015年ベストアニメ映画ですわん。

 

 

 

5位:キングスマン
 劇中、悪の天才大富豪・ヴァレンタインと、諜報組織キングスマンのエージェント・ハリーが交わす、「スパイ映画は好きかね?」「昔の007が好きだ。最近のものはシリアスすぎる。」という会話。あれはマシュー・ヴォーン監督の本音でもありましょう。その言葉通り、往年のスパイ映画に存分にオマージュを捧げた作品でした。ジェントルで茶目っ気もある超人的なスパイが、様々なガジェットを駆使し、悪役と戦い世界を救う……。やっぱりこういうスパイ映画も良い!
 
 さりとて単なる古臭い懐古趣味ではなく、青年の成長譚・新たなヒーローの誕生譚でもあり。勿論「今どき」の絵作りになっている…というか、絵も音も相当格好良いぞ!『X-MEN ファースト・ジェネレーション』をアップデートして英国よりにしたというか……。 
 
 これは!というアクションシーンも複数あり、面白ガジェットも盛りだくさん。文句なしに楽しめる快作でありました。ビシッとオーダーメイドのスーツを決めたメガネ英国紳士が延々出てくる作品なので、その手の好事家も必見であります。まさにスーツポルノ。最高の目の保養でしたわ…!
 
 あ、2015年の映画ベスト名台詞章は「マナー、メイクス、マン。」これでしょう。紳士たれ!
 
 

6位:ジュラシック・ワールド
 正直脚本は「???」と首を捻らざるをえない箇所が幾つもあり……。しかし、この映画はこの恐竜たちの暴れっぷりを楽しむ映画でしょう。そう思わざるをえない程に、凄まじいテンションのクライマックスでした。強大なる力で暴虐の限りを尽くす恐竜たちの暴れっぷりはラストバトルでその極を迎え、いよいよこの映画は恐竜映画ではなく、怪獣映画の様相を呈します。「このパークを作ったのは、人間が如何にちっぽけかを思い知らせる為だ。」然り然り! 
 
 恐竜図鑑を一日中、何時間でも眺めていたあの頃の僕にこの映画を見せてあげたいなぁ。ラストカットにそびえ立つティラノサウルスの勇姿に、僕は1作目のアラン・グラント博士の言葉を思い出さずにはいられないのです。「僕が子供の頃から一番好きだった恐竜だ……」と。
 
 
 
7位:フォックスキャッチャー
 人格者の兄、その兄を超えられない弟、母の愛・人の愛に飢えた大金持ちの3人が織りなす実話を基にしたドラマ。不穏と歪みにひたすら覆われた二時間でした。この作品が刺さらない人は幸せですよ、形や大きさは違うものの、自分のコンプレックスをビシバシ刺激して、それを炸裂させてる時の嫌なモヤモヤを思い出させてくれる作品でしたね。

 ジョン・デュポンのやった事は許される事ではありません。が、どう足掻いても埋められない空虚さ、あれに耐え切れる人間まどいないだろうと思うと切なくて切なくて。生まれてこの方、人への交わり方・愛され方・愛し方を知らず、覚える事もできなかった50近い男。しかも矢鱈に凄まじい権力とお金とがあるものだから、皆線を引いて踏み込んでこないんだもん。そりゃどうにもならんよ……。
 
 デュポンを演じるスティーブ・カレルのあの虚ろな表情が印象的でしたね。会話の途中なのに無言で間をたっぷりとって、あの表情。いつ爆発するやも判らない爆弾を目にしているようでおっかなくておっかなくて。マーク・ラファロも好人物なんだけど、微妙に「今もうちょっと空気読んでくれ!」っていうもどかしさを覚える人物を細やかに演じていて、こんなに良い役者だったんだなぁと。チャニング・テイタムも、他人の目を気にした顔にやや前かがみの姿勢が、彼の演じる役らしからぬ「オドオド感」を演出してる。彼のちょっと出た下唇と顎が、作り上げた肉体も相まって哀しきフランケンのようでもあり……。

 余談ですが、今のアニメやドラマのキチガイって判りやすさ重視なのか、甲高い奇声を上げるハイテンションキャラという陳腐な類型に陥りがちですけど、本作のスティーブ・カレルみたいな本当におっかないキチガイも見てみたいなぁ。チャレンジ求む!
 
 

 世界、いやさ宇宙規模にまで話の広がるMCU。フェイズ2の掉尾を飾るのは才はあるものの離婚し、犯罪歴があり、無職。ヒーローとはかけ離れた負け犬でした。
 
 スケールがどんどん大きくなり、シリーズ同士が有機的に絡みあうMCU。傍から見ればマニアックなシリーズと受け止められる事もあるでしょうし、ファンも膨張し続けるその世界に時に戸惑ってしまう。その弊害の緩衝材としての意味も込め、アベンジャーズAOUの前後に『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』と本作が配置されたのかなと。決して大スケールの話ではありませんが(最終決戦の舞台の小ささよ!)、どん底から這い上がりヒーローとなる男、愛すべき人々、緩急のあるギャグ……。そうそう、こういうのでいいんだよ!
 
 ミクロの世界も楽しい、親子で楽しめる地に足の着いたヒーロー誕生譚でありつつも、しかしやはりこれはMCU。シリーズファンが胸を熱くするようなシーンは満載。エンディングロールの後のお楽しみではフェイズ3にしっかり繋がって…! 長生きしてこのシリーズも見届けよう!
 
 
 
9位:劇場版 蒼き鋼のアルペジオ -アルス・ノヴァ- Cadenza
 劇場版第二弾にして完結編。やー、終わった終わった。ファンが見たいものがギッシリ詰まった一本。ザッツ・エンターテイメント! 途中、WW2の潜水艦映画のような潜水艦戦らしいシビアな描写があるかと思えば、SF艦船アニメならではのケレン味たっぷりの絵がガンガン出てくる大艦隊戦もあり。劇場版らしい迫力とリッチさを感じました。
 
 劇中のナチの台詞じゃないけど、「なんて戦い方!」のオンパレード。これは一度は劇場の大画面で観るべきでしょう。コンゴウの登場シーンなんて、もう歌舞伎のように決まってましたね。「コンゴウ屋!」って大向うの声を掛けたくなっちゃうw DCとの対になるように、イオナのピンチを今度はコンゴウが救うってのも粋じゃないですか。コンゴウファン冥利に尽きます。
 
 CGキャラについても、構成の上江洲誠氏が「このクオリティを維持し続けるのは、現状サンジゲンのアルペジオチームにしかできない。しばらくは、タイトルホルダーとして君臨できるのではと自負している」と仰るように、凄まじいクオリティでした。CGキャラにありがちな不気味の谷をほぼクリアしてるんですもの。まだ動きに硬さが残る部分はあるものの、表情豊か。声優陣の熱演が絵に乗っても、それに負けない、受け止められる完成度なんですよね。これだよ!
 
 現状最もセルアニメに近いルックを備えるという難題に挑戦し、応え、日本のCGアニメに未来を示すという偉業を果たしつつ、物語の完結編として、エンタメとしてきっちり成立させてた秀作だと思います。あー、満足満足!
 
 
 
10位:クリード チャンプを継ぐ男
 フォースの覚醒もそうでしたけれど、過去シリーズを大切にして、それでいて過去作オマージュに頼り過ぎない、同窓会だけで終わらない作品に仕上がってますよねぇ。時が経過した重みは、スクリーンの前の僕らだけではない。ロッキーたちも背負っているのだという説得力。
 
 クリード自身もロッキーという偉大なキャラクターの影に隠れるような存在ではなく、ちゃんとキャラ立ちしています。ロッキーの名シーン、街中ダッシュもちゃんとクリード流になってますし、何しろそこで流れるクリードのテーマ(今風の音楽!)もちゃんとアガる音楽なんですよ。音楽といえば過去作を匂わせるものも最低限、かつなればこそ効果的に使われてましたよね。
 
 ボクシングシーンもより本物に寄せて、レベルアップ。何よりクリードのデビュー戦の長回しにはびっくりしました。どうやって撮ったんだろう。バストアップ多めなところになにか秘密があるのかしら…?
 
 
 
11位:シェフ 三ツ星フードトラック始めました
 大切なものを取り戻すという普遍的な王道テーマに、監督ジョン・ファブローが自らのキャリアも重ねつつ、生唾ものの料理とノリノリの音楽でゴキゲンな作品に仕上げてくれました。

 そんな上手い事行くかい!っていっちゃえばそれまでだけれど、テンポの良さと楽しい音楽で盛り上げてくれるんで、気持良くノれてハッピーになれるんですよね。料理人と映像作家、畑は違えどファブローの主張そのものの台詞にもグッと来た。オススメ!
 
 
 
12位:ナイトクローラー
 主人公・ルイスがド底辺裸一貫から成り上がるサクセスストーリー。良く勉強し、根回しし、行動する。いやぁ、彼は最高のビジネスマンですよ! ……ただ彼は、倫理観なんてこれっぽっちも持ちあわせちゃいないんだけれど。
 
 スクープの為なら法も道徳もどこへやら。絵作りの為ならやらせ上等。商売仇どころかパートナーまでもビジネスの種にしてどんどん成り上がっていく、ルイスのサイテー男ぶりは実に胸糞が悪いけれど、「事故・事件専門のパパラッチ」という仕事に関しては、彼は本当に優秀な男なんだよね。冴えなく歯牙もない営業マンの僕は、その働きぶりに痛快さを感じ、憧れすらも感じる。その道の才を持った人間が、天職を見つけた時の眩しすぎる輝き。カメラ写りを良くする為だけに、ルイスが轢死体を勝手に動かすシーンの成功の予感に満ち満ちた美しい劇伴たるや! 道徳的に完全アウトな人間を、こんなに魅力的に、共感すら覚えるように描くなんて……!
 
 このギョロ目のクソ野郎に、僕の心は完全にノックアウトされてしまったんだよなぁ。前述の『シェフ 三ツ星フードトラック始めましたと対になる、2015年・男の仕事映画。ワタミ社長の自伝読むくらいならこの映画を観なさい!
 
 
 
13位:チャッピー
 人を人たらしめん要素、心とは、意識とはという、古典的なSFのテーマに挑戦したとも言えるし、自己形成・子育て物語とも言えるし、ブロムカンプらしい、ヨハネスブルグ地元密着型アクションとも言えるごった煮映画。

 正直「え、これでいいの?!」という粗さ・雑さは多い。けれど、「これ好きだなぁ!」という加点ポイントが上回って、僕は楽しく見れました。その粗が気にならないか否かでだいぶ評価が変わってくるような気がしますね。

 しかしシャールト・コプリーがモーキャプと声を演じるチャッピーは愛おしいなぁ。キレた時のムキーッ!と癇癪起こしてる様・声も好き。過ぎた力を持て余す子供が、何するかわからん感じの不気味さ! あ、耳が感情に合わせてシャコシャコ動くのも犬みたいで可愛いw

 ニンジャ&ヨーランディの、本業の方にしか見えないギャングスタぶりも◎。色んなSF作品のオマージュ、そして自身の作品のセルフオマージュも色々散りばめてあるので、その辺も楽しかったです。


 
14位:ソロモンの偽証 前篇・事件
 映画に「非日常」を求めており、それを余り感じない邦画には食指が動かないクチの僕ですが、本作はまさに日常に起こった「非日常」。後編も見たいと素直に思いました。

 役と年齢の近い無名の役者が中学生を演じているので、役の色がついてない彼らからは他出演作品からのイメージを読み取る事ができません。故にこのキャラはどういう役目なのか、ドラマがどう転がるのかという道筋が読みにくく、スリリングでした。既に名のある眉目秀麗な役者を本作に起用していたとしたら、年齢も相まってこの「中学生っぽさ」は出せず、ファンタジーに見えちゃって興ざめなんだろうなと思います。

 その無名キャスト達が演じる生徒たちは皆、ちゃんと個性的で魅力的に描かれているのだから大したものです。柏木役の望月歩くんの表情は、本当に薄っ気味悪くてねぇ。涼子を糾弾するシーンの台詞は、スクリーンの前の僕らにも投げかけてる台詞でもあるんだろうけど、その表情も相まってドキッとさせられた。
 
 

15位:アメリカン・スナイパー
 流石に流行のFPSゲームを意識したようなカットはなかったけれど、極めて真っ当な現代的戦争映画の映像に仕上がっていて、イーストウッドよ、老いて尚こんなの撮るんだなぁと驚き。発砲音の響きも心地よいですね。

 戦争の英雄として祭り上げられる男も、戦場での現実と家族との間で揺れて……というありがちな描写よりも、たまに主人公のクリスがポロっと無自覚に、観てるこっちが「えっ?」と思っちゃうような、野蛮で過激な発言をしちゃうのね。そっちの方がよっぽど怖くて反戦的な表現だと思った。どっか壊れてまうねんなぁ。
 
 

16位:劇場版 蒼き鋼のアルペジオ -アルス・ノヴァ- DC
 TVシリーズの総集編にその後を描いた新作映像を加えた劇場版前篇。総集編の思い切りのいい編集具合は、TVシリーズを一通り観た身にもストレスやテンションダウンを感じなかったですね。一気に駆け抜けてくれて気持ちよかったです。総集編には新規作画部分はなかったけれど、それでも劇場の大画面にも耐えうる絵力・情報量だったと確認できて納得&ビックリ。霧の艦艇らが兵装を起動させるシーンや、超重力砲のエフェクト等々のバトル関係は本当、劇場栄えしますわ。

 セルルックCGによるキャラクターも素晴らしい。ここまで表現できるのかとシビれました。イオナ戦後、膝を抱えて座るコンゴウの脚の曲線の艶かしさと言ったら! CGキャラ独特の違和感を感じさせないというのは現在の技術的には難しい事なのかもしれませんが、鑑賞者にとってはそれが最低限のハードルなんです。それの違和感をクリアして初めて、鑑賞者は物語にのめり込めるし、キャラに思い入れも託せるんです。

 新作シーンについては、ラストに引きで見せてくれた霧の艦隊勢揃いの絵が印象的ですね。これ次で終わるの?! って心配しちゃう位にスケールのデカい絵でした。劇場版はこうでなくっちゃ。
 
 
 
17位:アベンジャーズ エイジ・オブ・ウルトロン
 スーパーマーベルヒーロー大戦第2弾……なものの、後々に控えるシリーズの大きすぎるブリッジというか。もう少しヒーロー集結のお祭り映画のリッチ感・得した感も欲しかったかしらん。

 とはいえあれだけ登場人物がいるのに、全キャラに見せ場を作り、原作を踏まえた含みを持たせたオリジナルストーリーを構築し、興行的な理屈も折り込み(韓国ロケはMCUが大当たりしてる韓国市場への目配せでしょう)、そして後のシリーズに対しての仕掛けを作る。2時間半でこれだけの事をちゃんと纏めて、しかも見にくくない作りになっているという、ジョス・ウェドンケヴィン・ファイギの手腕たるや。
 
 今後のMCU作品では、あのシビル・ウォーも予定されているとの事ですが、それを見越したであろうキャップとトニーの台詞が切ない。のちのちに、今回のラストの二人の会話にしみじみさせられそうです。あとラストといえばキャップがいよいよ言ってくれましたね! さぁ皆さんご唱和ください、「アベンジャーズ、アッセンブル!!」
 
 
 
18位:百日紅 -Miss HOKUSAI-
 主人公のお栄が書いたエッセイを読むかのように、小さなエピソードの積み重ねの中で淡々と人物や時代を描いていましたね。故に、物語の大きな縦軸がある訳ではなく、山場に欠けるかな、とは思います。とはいえ、この情緒たっぷりの世界に浸れる作風も嫌いではなく……。あの細やかな日常と、非日常である怪異や火事などが継ぎ目なく地続きである世界。たまらない。

 お栄が妹の死を察して家を飛び出し駆けるシーンは、原恵一イズムを感じてニンマリです。藤原啓治さん、矢島晶子さんのご出演もウレシイ。画面の構図・カメラワークも見ごたえありますよ。

 なによりお栄さんが素敵でした。板津匡覧さん(電脳コイル!)による、太眉&下唇をひねたようにやや出すというヒロインらしからぬキャラデザが、お栄の性格を物語ってましたねー。演ずる杏さんの芝居も、アニメ基準だととやや硬さがある気もしましたが、合ってましたね。
 
 
 
19位:ジョン・ウィック
 死んだ妻から送られた犬を殺したロシアンマフィア達皆殺すマンと化したキアヌの銃と拳の殺人活劇。それだけでシナリオはあって無きが如しですw だが、それがいい。只々キアヌが復讐をとげていく様を見守るだけの100分あまり。

 このキアヌのカンフー+銃(ガン)アクションを“ガンフー”などと称しているようですが、特別トンデモな要素もなく。今時のアクションらしい無駄の無いCQB格闘に映画的ケレンという無駄を足したような殺人術でしょうかね。キアヌが斜線を定めるのが異様に早いのが格好良かったですね。インドアのCQBテクニックである、胸の前で腕を畳むハンドガンの構えはあまり画面映えしないかと思いましたが、高速かつ正確に相手を狙い、連続で確殺していく手際の良さも相まって、達人感の表現になってましたね。惚れ惚れします。

 その他、絵的に気が利いている見せ方も多々あり、低予算そうなのに得したもの観た儲けモン感高かったです。ウィレム・デフォーの使い方も◎。終盤の車中からの銃撃には、何もそこまで!とも思いましたが、面白い!

 ただこの映画、徒手空拳のステゴロバトルになるとなんだかかったるいんですよね。もっさりしてるというか。お陰でクライマックスバトルがなんとも盛り下がるという……ラストが割りと好みなので僕は救われましたが、あれはいけませんや。
 
 
 
20位:007 スペクター
 クレイヴ・ボンド“らしからぬ”冒頭からのガンバレル・シークエンスが宣言でしょう。007“らしい”作品。007っぽくないと言われ続けたクレイヴ・ボンドが、スカイフォールまでの成長の物語を経てやっとここに辿り着いたのかな、という感。個人的にクレイヴ・ボンドシリーズは、スカイフォールまでの三部作で完結したと思っているのですが、その「三部作を経て」という意味合いの作品であれば、本作は大いなる後日談なのでありましょう。終わった後の話ゆえのお祭りワッショイノリだったのかもしれませんねw
 
 しかし『キングスマン』で嫌味を言われていた007が、そのアンサーの如く原点回帰したとは言い条、魅力的な悪役が描けていたかというとそれは果たせていなかったかなぁと。大ボスにボンドの兄弟というバックボーンまで仕込んでみたものの、それが仇となって単なる兄弟喧嘩という小さいスケールに話が収まってしまったような。今の時代に、世界を牛耳る悪の組織を、ある程度のリアルティーをもって描こうとしてるのは良かったですけども。
 
 あとダニエル・クレイヴのシリーズ引退発言が物議を醸してたみたいですけど、流石に次の007は役者変えればいいと思います。クレイヴボンドに限っては、スカイフォール以降に何を描こうと後日談ですよ、後日談。
 
 
 
21位:カンフー・ジャングル
 武術の達人達を狙った連続殺人。私闘で殺人を犯してしまい、収監されているハーハウ・モウは捜査への協力と引き換えに仮釈放される。彼はこの連続殺人を止める事が出来るのか……?
 
 犯人は、拳法の基本たる6要素の拳技、脚技、武器術、擒拿術、内功、外功、それぞれの達人をそれぞれの技で殺害していくので、拳風がガラリと違う緊迫した命のやり取りがズラリと描かれます。このこだわりはそれもそのはず、本作は往年の香港カンフー映画に多大なるリスペクトを捧げた作品で、さまざまな作品のオマージュしていたり、関係者がカメオ出演しているなど、香港カンフー映画好きならニヤッとできるシーンが多くあります。
 
 こだわりあるからこそ、拳法の基本要素に則ってアクションが演出され、ハーハウと犯人は、「拳法とは」と問い続けます。その総決算たる入魂のラストバトルにはたまげた。ドニー兄貴、香港カンフー映画関係者の皆さん、ありがとう!
 
 
 
22位:激戦 ハート・オブ・ファイト
 『ロッキー』シリーズのエッセンスを、上手いことMMA総合格闘技)に落としこんだなというか。ダンテ・ラムらしいきっつい運命を背負った人物たちの物語。若干ダレ気味ではあったけれど、母娘とニックのやりとりは「これMMAの話だっけ?」と思うくらい情感深いものでした。娘役のクリスタル・リーちゃん、達者すぎる……! もう1つのドラマ、師匠と弟子のそれも、良い感じにそこにクロスしてくるんじゃよ。それらのドラマが暗くなりすぎなかったのも良し。
 
 MMAの動き、そして練習風景も結構きっちり描いててねぇ。勿論エンタメ的な見栄えを良くするために「盛ってる」描写はあるけれど、リアリティとの バランスやよし。実際のMMAの試合ではあまり見られない、足関節にトライするシーンが多いのは両選手の顔を見せる為でしょうか。
 
 ともかく、格闘ムーブとしても、ドラマとしても膝を打つ点が多かったですね。あ、そうそう、撮影当時50前のニック・チョンの体と動き、すげぇですよ。あれだけで銭が取れそうな。役者根性ここにあり!
 
 
 
23位:ヴィジット
 キチガイジジババクソゲロ映画という嫌~なホラー映画。でもなんだか笑っちゃう。「ヘンな」「嫌~な」シャマラン臭漂う映画だけど、意外に丁寧でオーソドックスな作りで、結構万人が見られる作品になってるんじゃないでしょうか。『エアベンダー』『アフターアース』はなんだったんだ……。 シャマラン、こういうのでいいんだよこういうので。
 
 
 
24位:心が叫びたがってるんだ。
 トラウマにより声が出せなくなった順然り、他の3人しかり、卵(玉子)の殻を破らねば、雛鳥は生まれずに死んでいく。恐ろしくても苦しくても、人とコミニュケートする為には心と言葉を尽くして踏み出し、想いを伝えなくてはいけないのだ。さぁ少年少女よ、殻を破れ!という、岡田麿里さんの脚本にしては直球勝負の本作。主人公がその事に気づいた瞬間に共感値がグググと上がって得心が行きました。
 
 ミュージカルの曲が、太鼓判の名曲を編してそれに歌詞を載せたものなのは良いですね。オリジナルだとここまで安心して聴けなかったかもしれない。劇伴も素晴らしく美しかった。クラムボンのミトさんと、横山克さんの名前を覚えよう。
 
 「声が出せない呪い」の少女。では歌ならその呪いをクリアできるのでは?という発想は力技ですが、ミュージカルの歌がクライマックスの盛り上げとしても機能しているか。好きだけど作りは歪なのよね、この作品。
 
 「王子」の拓実が「城」に「姫」の順を迎えに行く構図は冒頭を省みると面白いですし、『AURA ~魔竜院光牙最後の闘い~』の相似でもあるように思いました。テーマ自体もAURAに通ずる所がありますね。
 
 ただ最後に田崎が順に告白に行くのはあまりに蛇足かと。ファミレスの一件以降意識してた、という事なんだろうけど、もうちょっと伏線でも無いと唐突感、あてがい感は否めない。これからの二人を匂わす程度でも良かったのでは? なんでもかんでも青春に恋愛を絡めさせなくてもいいでしょうに。
 
 
 
25位:コードネームU.N.C.L.E
 “ガラハッド”ハリーも納得?の60年代冷戦時代のスパイ活劇。『アメリカン・ハッスル』もそうでしたが、懐かしきスタイリッシュさが洒落てて楽しいですな。劇伴も宜しい。

 もっとソロとクリヤキンのレベルの高いアクションを個人的には見たかった…とは思うのだけれど、ブロマンス風味はたっぷりで満足できました。悪女役のエリザベス・デビッキたん見目麗しい……『華麗なるギャツビー』リメイク版以来のファンなんですよ。
 
 ところでギャビー役のアリシア・ビカンダーって若い頃の加賀まりこに似てませんか? キュートよね。
 
 
 
26位:イミテーション・ゲーム エニグマと天才数学者の秘密
 数学者のアラン・チューリングが、ナチスの暗号機・エニグマを解読する話……ではあるのですが、それが主軸のサスペンスものなどではなく。独特の感性を持つが故に世間と乖離してしまうチューリングがいかに生きたか、という伝記ものでした。なんだ、文系オタクの話じゃん……!
 
 対エニグママシン・クリストファーを作り上げていく中で、ぶつかっていたチームメイトと絆を結び、良き友・良きパートナーを得ていくのですが、もう一つの秘密により、やはり世間と、そしてパートナーとも乖離してしまうのはなんとも切ない。色んな意味での「マイノリティー性」を内に秘めている鑑賞者、そう、僕のようなオタクにも喜びと悲しみをもたらす複雑な作品でした。

 主演のカンバーバッチは、同じく変人キャラではシャーロック・ホームズという当たり役がありますが、それとは全く趣きの違う繊細さを感じさせるお芝居でしたね。“オジマンディアス”マシュー・ボーンの伊達男ぶりも相変わらず。
 
 
 
27位:ミッションインポッシブル ローグ・ネイション
 おトムさんの限界超え、過去最高の体当たりアクションと、過去最高のサイモン・ペグとのブロマンス溢れるニヤニヤ作品。このサービス精神と積み重なるサスペンスとレベッカファーガソンのエロ格好良さ。ナイス娯楽スパイアクションでした。
 
 
 
28位:バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)
 うーん、難しいぞw ある男の再起を描いた物語としてや、ほぼ1カットの様に見える絵作りは面白いけれど、今のブロックバスター映画批判のような主張は納得できぬというか、それをテーマにするのは内輪の話すぎませんかというか(テーマではなくって、単なるドラマ作りの為の舞台装置なのかもしれませんが)

 出てくる人間もロクなのいない(あの最高に最低な批評家精神の婆さんは見てて相当イライラしました)し、嫌いな要素プンプンではあるのですが、それでも掻き立てられるドラムソロのBGMや、ひょいと挟まれる可笑しみ、いちいち主人公を睨むバードマンのポスターなど膝を打つ要素も散見されて、なんだか見ていて愛憎半ばしてしまった作品でした。脚本の言葉選びのセンスもいいし、撮影監督がアルフォンソ・キュアロン作品でお馴染みのエマニュエル・ルベツキなのは、メキシコ同郷組のよしみも感じてニヤニヤもできるのです。

 しかしラストがよく判らない。主人公は弾倉に弾が込められている事を確認してから拳銃を使い、確実に頭を撃ち抜いたように見えた。それが実は鼻を撃った、だって? そんなバカな。その後の投身?についてもどういう意味合いの表現なのか謎。
 
 僕の解釈ですが、ラストの病室でのシーンは、前述の鼻といい、その鼻が案外綺麗だtぅた事といい、批評家が「本物の銃を使った、あれこそ真のリアリズムだ!」と絶賛してたり(そんな訳あるかい。現物を使うなんて虚構を真に見せる芝居の世界から見たら下策でしょう。それを称えるなら何度舞台上で殺人が行われてるんだっつう)、とかく不自然なんですよね。そういえば例の「1カット風撮影」はこのシーンに入る前に「途切れ」ている!
 
 なので、あの病室のシーンは父親を失った娘がまた薬物に手を出して見た幻想かなんか、という説はどうでしょう。うん、成る程よくわからん!w  こういう観客に解釈を委ねるエンディングは苦手だなァ。
 
 
 
29位:カリフォルニア・ダウン
 『ゼロ・グラビティ』で宇宙怖い・地球最高!と確認した映画ファンに、地球にも逃げ場は無いんやでと容赦なく知らしめる本作。カル・エルとゾッド将軍の一個中隊同士が戦ったような大カタストロフ! それに対するは“映画界一シビれる男”ドゥエイン・ジョンソン! 冒頭で「この男ならなんとかするかもしれねぇ…!」と思わせるにたる、無理ゲー必至の超難度レスキューで胆力と判断力を存分に見せつける!
 
 しかし襲い来る、リアリティを保てるギリギリの、誤解を恐れずに言えば「見た目に面白すぎる」大ディザスターにはロック様も我々も口アングリ。死んでも会いたくないような大自然の猛威(と、娘役のアレクサンドラ・ダダリオのナイス乳揺れ)を体験しよう!
 
 
 
30位:テッド2
  僕はテッドとジョンのコンビが好きで好きで、彼らが愉快な事をしてくれてるだけで本当に笑顔になれるの。下ネタもオタクネタも増量でよし!
 
 本っ当くだらない某恐竜映画パロとかハズブロの社長の言い訳とか最高なんだけど、デートムービーで観に来たカップルどもの反応の薄いこと薄いこと。 お前らポップカルチャー知らないんだな?!
 
 
 
31位:ラブライブ! The School Idol Movie
 TVシリーズで活動停止を宣言したμ's。盛り上がっている(いやらしい言い方をするなら、稼げる)コンテンツにしては、今時珍しい潔さに感心したものです。商業主義、コンテンツの継続を否定するつもりはありません。が、例えば「終わらせる予定だったが、この後続いていくようにしたいと総監督・プロデュサーに要請された」と脚本の虚淵氏が語った『まどマギ』新編は、ほむらが悪魔化して以降、僕には蛇足に感じてしまい、「都合」を背負わされる格好のキャラたちに偲びなさも感じてしまったのです。

 ラブライブも勢いのあるコンテンツですし、劇中世界のファンの要請でμ’sを継続させるというストーリーも作れたハズです。けれどきっちりケジメをつけたのは、製作陣の誠実さではなかろうかと(勿論、その後声優グループとしてのμ'sの解散も発表されましたし、良いタイミングではあったのでしょう)。デカいコンテンツでの爽やかな幕引きを久しぶりに観た気がして、なんだか清々しいですね。

 一言言うせてもらうなら、NYに行く事にもっと必然性を持たせて欲しいとは思いました。とはいえTVではできないリッチな絵を、風景を見せるというのも劇場版の役目ですから、それを果たす舞台としては大いに機能したのかな、と。

 あと高山みなみさんが演じる謎の女性について、未来の穂乃果であるという説があります。しかし穂乃果が将来あんな事をやりたいようには僕には感じなかったので、あれは人間誰しもが内に秘めているはずの「可能性という名の内なる神」とでも申しましょうか、そのようなものが穂乃果に見える形で顕現し、背中を押したんだと解釈しました。進まんと奮闘する人には、天地人やご縁などの、不思議な巡りあわせだったりなんやらで、スッと某かの助けが来るもんなんですよ。
 
 
 
32位:劇場版ムーミン 南の海で楽しいバカンス
 トーベ・ヤンソンの絵本の世界を切り取ったような絵作りはお見事。質感、色合い、線。スタッフがその世界を再現するのに心を砕いたと言うだけはある、流石の出来でした。
 
 お話はこれも原作通り、ゆる~い感じ。豊かなムーミン谷で奔放に生きるムーミン一家が、ザ・資本主義貨幣経済なリゾート地に行ったらどうなるか…という文化のズレによる可笑しみが描かれてます。ムーミン気分でお気楽にゆるーく観るのが正解な気がします。
 
 最後は警官隊に追われたムーミン一家がリゾート地を脱出するのですが、連中最後っ屁のように、途中で見つけた謎の昆虫の大群をばらまいて、リゾート地を汚染させながらのんきに退散するんですよ。バイオテロだよこれ!w
 
 のんきギャグといえば、フローレンがリゾート地で紐ビキニを購入するのですが、その時に発した一言「これキワどくないかしら…?」には観客みんなが、「お前そもそも全裸やないかい!」と心の中で突っ込んだよねw あとムーミンパパがリゾート地の貴族に武勇伝を語るシーンね。「動物園の檻の中に囚われた事がありましてね。動物学者が我々とカバは違う事を証明してくれて事なきを得ましたよ…。」とドヤ顔。これ絶対、ムーミンパパの鉄板の持ちネタなんだろうなぁw
 
 
 
33位:シェアハウス・ウィズ・ヴァンパイア
 ヴァンパイア達の共同生活に取材班が密着するモキュメンタリー。「えっ、これカメラマンどうなってるの?」というシーンになると、登場人物がすぐツッコミ入れてたのは笑ったw
 
 ヴァンパイアならではの小ネタ&ブラックな笑いが散りばめられていて、ホラー映画・オカルトファンならニヤニヤできる事うけ合い。吸血鬼以外の種族も結構出てきたのには得した感ありました。小粒ながらも良作。
 
 
 
 ヒーローものとしてはごくごくベタな作り。ノリ良く軽口を叩きながらベタな展開やる亀忍者感は、好きずき分かれそうだけど良いと思います。

 そういうタートルズの面々の、ポップであっかるいティーンな空気が魅力なんですよねぇ。見てるだけで各メンバーの個性は伝わって来ますが、それが際立つエピソード(特にレオとラファの)がもう一つあるとメリハリもついて良かったかも。

 しかし終盤のハイスピードアジト脱出からは実に爽快。その終盤の加点もあって、総じて見てみれば楽しい作品でした。が、マーベル映画なんかがヒーロー映画の水準をグググと上げちゃってるので、物足りなさを感じちゃうのも正直な所かなぁ。
 
 
 
35位:エクソダス 神と王
 出エジプト記を描いた映画には『十戒』がありますが、そのリメイクと言っていいのかな。400年もヘブライ人をほっぽってたのに、いざとなるとトンデモない罰で報いる神という描写は、『ノア 約束の舟』みたい。「十の災厄」や、「海渡り」は今風のスペクタクルでビシバシ。エンタメな見せ場は沢山ありました。物語性はやや薄いかな。宗教感はほぼ無い感じでしたね。さらっと時間経過を果たしてる所が数箇所あるので、「えっ、もう?! はえーよ!」と思う所が2、3箇所あったような気もするけれど、これ以上ダラダラ長くなるよりはいいのかな。

 しかし、兄弟のように育てられた果てに、民族を分けて相争う事になったモーゼとラムセスの物語を描いておいて、ラストクレジット前に自殺した弟、トニースコットへの哀悼の意を示したリドリー・スコットの心中とは……と、作品と離れた所で色々考えちゃったよ。

 
 
36位:クレヨンしんちゃん オラの引越し物語 サボテン大襲撃
 メキシコに自生するサボテンの貴重な実を求めて、転勤する事になったひろし。一家総出でメキシコに引っ越す野原一家……という導入以外、メキシコについてからは完全にモンスターパニック映画だった! モンパニ映画のお約束描写もあり、映画好きなら楽しめるのではと。子供に一番受けてたのはオナラのくだりでしたのよ。
 
 
 
37位:メイズ・ランナー
 名のある俳優は出ていないけど、とにかくハイテンポなスリルが味わえるジェットコースター映画。思い返せば無理やツッコミどころはあるんだけど、観てる間はひたすら濁流に飲まれて流されていくかのように魅せてくれます。ま、勢いだけともいう。
 
 ニュート役、イケメンだけどクセのある顔立ちなトーマス・サングスター、マッチョ気質嫌味野郎・ギャリー役の、顔つきまで憎々しいウィル・ポータースがいい味&存在感出してました。でも自分のスケジュールの都合もあって2は観く熱は湧かなかったなぁ……。
 
 
 
38位:ターミネーター ジェニシス
 リブートではなく「IF」ストーリーというか。『ソー/ダーク・ワールド』のメガホンもとったアラン・テイラー監督は、まるでMCU作品からヒントを得たかのようにT1・T2の要素を物語に絡ませる形で必然として用いてくれたので、嫌味を感じずに「ほう、こう来たか!」と楽しめたような気がします。まぁMCU程上手くないっちゅーか、かなり無理くりですけれども。手放しで褒められる傑作!という訳ではないけれど、シリーズファンなら楽しめる面白さだと思います。や、T2みたいなマスターピースになるような作品を観に行くような気で行かなきゃ全然アリですよ。不満はあるけれど楽しめたのでOKOK。

 僕はT3が正直嫌い。シュワが老いを見せ始めて、それを全然隠しきれてないのに、昔通りの無敵のアンドロイドを演じていて観てて只々辛いんだもん。老わないハズのアンドロイドに老いを感じてどーする。今回のT800はガワの肉体組織が経年と共に老けるという設定なので、今のシュワちゃんが演じるのに都合よし。『ラストスタンド』以降のシュワはその老いを背負い、味方にして役を演じてるから無理がないし、だから観てるこっちも乗れるんだよね。そういえば自分の「老い」への言及、途中で盗むバス、ハイテクぶりを遺憾なく発揮するラスボス・T3000に対して、昔ながらのアナログな戦い方を挑む等々、妙に『ラストスタンド』感あったねw

 あとサラ・コナー役のエミリア・クラーク! 『ゲーム・オブ・スローンズ』で蛮族に嫁入りしてた時は全然そう思わなかったけど、今回の顔つき、やたらに初代サラ・コナーのリンダ・ハミルトンに似てない?! 頬骨の線とか目とか。それを見越してエミリア・クラークをキャスティングしてたんならすげーなーと思う……けれど、戦う日が来る事を知ってたのに、ぷにぷに二の腕なのはちょっと納得いかんぞw そこは2のリンダ・ハミルトンリスペクトで体作って欲しかった…!

 
 
39位:ANNIE/アニー
 舞台ミュージカルが原作という事で、映画もミュージカル仕立 て。「笑えて泣けて楽しい」という、僕がミュージカル映画で見たいものが詰まった作品でした。お話の展開は結構ベタだけれど、このストレートさが良いのでしょう。ライムスター宇多丸さんは酷評してたけど、後半の合唱が丁度僕の今の心情にも合うものでグッサリきてしまった身としては、妙に心に残ってる一本ですね。うんまぁ、確かにダメじゃん!って所もあるんだけどw あとカメオ出演してる有名人が多くて、それを探すのも楽し。 
 
 
 
 007+地獄の黙示録+フランケンシュタイン(もの、和月伸宏エンバーミング』に共通点多し!)+リーグ・オブ・レジェンド、とでも言えば良いのでしょうか。要素ぶっこんだなぁ! この作品の「屍者」は屍と言い条、ゾンビというよりは死体を使ったアンドロイドだよね。あ、所謂「ゾンビパウダー」で操られた労働者の方が近いか。労働力としての屍者に支えられた圧巻のスチームパンク世界を、物語の世界の有名人達が丁々発止。あ、こりゃ面白いですわい。
 
 しかし。僕原作未読なので推測ですが、これ原作を大幅に端折ってるよねぇ? 終盤の説明不足極まる展開たるや。芯となる部分は残してくれたと信じたいし、僕の読解力が無いだけかもだけど、「これ、どういう意味?」と理解に苦しむシーンが多発。キモのMの計画は、人類を抹殺してから遠隔で霊素を送り込んで、生者を全て屍者にするって事だと思ってたんだけど、屍者製造を司る機械が止まって魂?が戻ったら、屍者が生者に戻ったのとかホントによくわかんない(可逆するものなの?!)。魂がちゃんと生者の元に戻る理由も謎。まぁそもそも2時間に収めるのが無理なお話なのでしょうけれど、これは前後編などの長尺で見たかったなぁ。原作既読の方にご解説願いたいわぁ。
 
 
 
41位:ソロモンの偽証 後篇・裁判
  前篇が動なら後篇はひたすらに裁判と回想が続き、静というか。しかし退屈は感じず、「引き込み力」の高さを認めたい。前篇に続いて中学生たちの演技が◎。終わってみれば「サスペンス」というより「青春」映画でした。
 
 しかし死んだ柏木くんの描写がダメすぎる。原作に比べ描写不足なのか、そもそもこういう少年なのか判りませんが、前編であれだけ妖しく魅力的だった彼が、最終的にしょーもない只のこじらせクソ野郎にしか見えなくなってしまったのは大問題。屋上で神原を詰問する彼の台詞は、そのまま彼に返せるんだよ。なに上から目線で責めてるんだよバーカ。
 
 人の心をそもそも理解しようとしていないくせに、人の心を問わんとする柏木くんにこれっぽっちも同情できないので、白けちゃいましたね。他にも描写あって然るべき点が抜けてたり、まぁ、そこは尺の問題なのかもですが。
 
 
 
42位:クーデター
 ベトナムの隣国(カンボジア?)で起こった武力による政権奪取事変に巻き込まれた、海外赴任してきた米国人家族。しかしこのクーデターの原因を作ったのは……。言葉も通じない見知らぬ国で遭いたくない事といえば、そう、クーデター! 容赦なく外国人を殺しに来る現地民の群れ! 『ブラックホーク・ダウン』のそれとは違い、中途半端に組織化されてるのもまたヤ~な感じ。

 ジェットコースターで襲い来るピンチの連続、結構ハラハラはさせてくれるのですが、欲を言えば見せ方にもう一つインパクトが欲しかった。振り切った、語り草になるシーンがあればな、とも思いましたが予算的にもこんなものか。

 とはいえカミさんが夫に「若い頃描いた理想の人生より、母親になるというかけがえのない経験ができた今がずっと良い。そんな人生を与えてくれたあなたに感謝している」と語る家族愛のシーンにグッと来てしまうあたり、僕ももう年やもしれぬ。

 ピアース・ブロスナン(老けたなぁ!)のあっさり気味な活躍には若干膝カックン食らったような肩透かし感あったけれど、良いキャラでした。英国版CIA(MI6の事でしょうなぁ)という設定はボンド俳優についてまわる宿命かw
 
 
 
43位:ミケランジェロ・プロジェクト
 戦争もの、というよりは戦争の中での人間ドラマ。よりドラマチックにも、画面を派手にも出来そうなものですが、抑制された上品な仕上がりになっているのを良しとするか、物足りないとするかで意見が分かれそう。マット・デイモンケイト・ブランシェットのほんのりとしたロマンス、良かった。おっとなー! ビル・マーレーの元気そうな所も見れてよかったですよ。
 
 で、なんで公開延期になってたの?
 
 
 
 『ザ・フライ』+『インターステラー』+『クロニクル』テイストな、超能力ユニットの誕生を描く作品、なのだけれど……FFメンバーがその力を発揮するまでが、長い! 100分しか無いのに、1時間たってもまだ発揮しない! ジョシュ・トランクの青春ものの作風は僕は嫌いじゃないけれど、皆がアメコミ映画に求めるのはきっとこれじゃないよね。異色作か。

 ラストバトルも4人の協力戦法は描かれるものの、なんだかもっさり。MCUのキレキレアクション後の作品でこれは物足りないんじゃない? 超能力バトルの中、リードのゴム殺法の扱いにも苦慮した感が見えるw
 
 とにかく前半がダラダラしすぎ、ラストバトルが半端すぎ。もっと高揚感が欲しい所。作風は嫌いじゃないんだけれど、商業作品としては如何なものかというか。
 
 
 
45位:スペシャルID 特殊身分
 犯罪組織との間に出来た柵と自らの立場で板挟みになるような、もっとシリアスな潜入捜査官ものだと思ってたら、割とコミカル。話自体も大した事なく期待はずれ。
 
 でもMMA要素を存分に盛り込んだ格闘は見応えありました。ドニーがグラウンドでポジション争いをしているなんて、メチャクチャ新鮮な絵じゃないですか! 最初の格闘シーンなんて、ムエタイの使い手相手に猪木・アリポジションで対抗してたもんなw

 ドニーが敵に三角絞め→相手の動きに合わせて腕十字に切り替え→再度三角にトライ→そのまま相手に壁に叩きつけられたので、離れ際に相手の足を取って足関節、なんてムーブを出してくるんだもん。いやぁ、格闘表現のチャレンジは評価したいです。勿論例のドニー百烈拳や飛び回し蹴りもあり。いやぁ、贅沢!
 
 
 
46位:トランスポーター イグニション
 人気シリーズの夢再びと、リブートした本作。つまらなくは無いのですが、やはりシリーズの1発目は主人公をとことん魅力的に描かないといけませんよ。
 
 今回のお話は新味を出したかったのか、ショーン・コネリー風の親父とのバディもの風味になっています。如何せんそれが、キャラクターを魅力的に描くための描写が父と子に二分されてしまい、結果主人公の味が薄まってしまったなと。それは主人公に集中させるべきで、親父は続編に出した方がいいキャラだったような……。
 
 ステイサムのビジュアルに寄せてきた高遠るい顔のエド・スクレインは悪く無かったのですが、冒頭のチンピラ相手のファイト以外はそれなりに苦戦してたりして、ステイサム程の強さの説得力もない。カーチェイスも空港のシーンは面白かったけど……。イグニションしきれずに不完全燃焼でしたねぇ。
 
 
 
47位:ナイトミュージアム エジプト王の秘密
  主演のベン・スティラー繋がり、『LIFE!』のエッセンスも感じる、ナイトミュージアムのシリーズを締めくくる最終作。
 
  「親子の物語」というテーマがあるのに、その描写がちとあっさりめ。もうちょっと深く描いて欲しい気も。活劇とドラマのバランスで悩んだのでしょう、というのも伝わってくるようで。
 
 
 
48位:ピクセル
 負け犬達がただ一つだけ持っている、普段は人には馬鹿にされるような資質を活かして一発かます系映画。今回のお題は80年代レトロアーケードゲームでございますと。僕はこの映画に出てくるようなゲームが、アーケードで一線張ってた時代よりも後にゲーセンデビューしてるのですが、それでも冒頭のゲーセン描写は『シュガー・ラッシュ』同様、「体験無くとも感じる懐かしさ」と、「俺達の世界が取り上げられてる嬉しさ」と「今や衰退してしまったゲーセン文化への悲しみ」が混ぜこぜになって、見てるだけで泣ける。これはもうゲームバカの反射みたいなものなのでどうしようもないのだw
 
 作品自体は単純に笑えるコメディーであります。しかしその「単純に笑える」という所がなぁ。レトロゲームキャラはズラッと出てるし、ジャパニーズレジェンドクリエイターにも触れてくれているのですが、もっと「あの頃」からずっとゲームを背負ってきたファンが共感できる要素を入れたり、あるいは「ゲームとは」と思わず自らを振り返ってしまうようなポイントを入れたりして欲しかった。『シュガー・ラッシュ』の方がその辺上手く処理してたと思います。「レトロゲームを使った宇宙人侵略もの」というアイディアから余り前進していないような気がしたのですよね。気軽に観る映画を目指したと言われてしまえばそれまでですが、もっとゲームバカが「俺達の」と、つい(勝手な)想いを乗せてしまうくらいの描写があれば「皆は知らんが俺はこれ大好きだよ!」と言いたくなる心の一本になったんじゃないかなぁと思いました。
 
 お話のテンポを良くする為にご都合すぎるきらいもあるし、レディ・リサの出てくるゲーム『ドージョークエスト』は架空のゲームだしなぁ。思い入れとか無いよそんなの。あ、でも『シュガー・ラッシュ』でもやらなかった、コンシューマーゲーム界の総番長・マリオをサラッと悪役にしてたのは結構偉業かもしれないw
 
 
 
49位:バケモノの子
 んー……。個人的には今までの細田映画で一番合わなかったです。親と子両方の自己確立の話だと思うのですが、この映画、それ以外に盛り沢山に色んな要素がぶっこまれてて、その割にその要素が上手く絡み切れていないというか、ちぐはぐ というか。言葉で説明しちゃう割に「これ説明足りないんじゃない?」とか「もっと丁寧に伏線張ったり、回収したりしようよ!」と思ってしまう点多数。これね、2クールくらいの尺で丁寧にやってくれたら、もっと重層的な深い話になったんじゃなかろうか、そう思えてなりません。商業的な都合とかそういうのは知らん。

 芸能人声優も、役には合っていたのですが、所々聞き取りにくい所があり、やっぱアニメと実写の声の出し方ってちゃうねんなぁと改めて感じた次第。芸能人でも声優でも、声だけでの表現はもっとアーティキュレーションを確かにして欲しいです。

 いや、賛否別れたおおかみこどもも、なんだかんだで面白かった、全然アリだった僕としては、細田作品にこんなに乗れなかったのがショックなのよ。しかもお話というよりは構成の手際に乗れなかったという点も。チキショー!

 

 

 

50位:セッション
 「次のチャーリー・パーカー(真に才能あるものの意)は挫折しない」 と、殆ど病的ではないかと思えるほどに生徒を追い詰める鬼教師・フレッチャー。 「潰れたならそいつがそこまでのヤツ。」という日本のプロレス道場的ハイパーエリート主義を見るに、フレッチャー、お前今までよく刺されなかったなぁと。 そりゃそれを耐えられる人間は超人だろうけど、それ学校でやる事かね? 私塾でやれ私塾で!という思いに駆られるばかり。いやまぁこれが架空のドラマだって事は判ってるんですけれども! なんというか、理解できない「事もない」部分もあるけれど、こんなの納得できるか! というのが正直な所。
 
  フレッチャーに大舞台で悪辣な騙しうちをしかけられた主人公のアンドリューが、一旦そこから逃げ出すも、されど逆に「仕掛け」るシーン。そこで「それでも俺は修羅の道に行くんだ!」という決意を見せるとか、逆襲に至る心情を描写してくれていればまだ納得できたのに。僕には何故引き返したのか良く判らんかったなぁ。
 
 ラストは仕掛けたアンドリューと仕掛けられたフレッチャーが、演奏という名の戦いの果てにお 互いを認め合った、という事なの? 演奏によってフレッチャーを地獄に叩き落とし、再起不能にする位のものを見せてくれれば「ざまぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」ってスカッとしたのになぁ。そしてアンドリューが新たな音楽の悪魔になる……とかさ。
 

 まぁ総じてフレッチャーの糞野郎が不快で嫌い、という感想ですね。凄い映画だとは思いますが、多分二度と見返さないでしょう。ああ、『響け!ユーフォニアム』の滝先生がこんな糞野郎じゃなくてよかった!(ニッコリ)

 

 

 
51位:ハーモニー
 僕はセルルック3Dが基本的に嫌いです。理由は大体これ→(セルルック3Dがいまだ超えられない原理の壁 http://togetter.com/li/605850 ) 平面的に見える画面と硬い表情ゆえ、声優の豊かな芝居がかえって上滑りする辛さ。これがクリアできていないものを大画面で観るのはなんとも苛立たしいものです。この作品はアルペジオのように全てのシーンをCGで描いているのではないですが、2Dと3Dの齟齬を無くすために2D絵を3
Dの絵に寄せたのか、どのシーンでもなんとも扁平に見えます。

 それだけではありません。この作品、2人きりでの会話シーンが何度もあるのですが、そのシーンの見せ方の退屈さと言ったらないですよ! 例えば、アニメ『化物語』シリーズでは、視聴者を飽きさせない為に、あの手この手の手練手管で画面に惹きつけてるじゃないですか(もっとも物語シリーズは、特異な画面作りを持ち味にしてしまっている作品なので、一概には比べられないとも言えますが)。そんな努力がなかなか感じられない。
 
 思い出してくださいよ、あのレストランのシーンや、トァンがインターポールの捜査官と車中にいるシーン。顔のアップ、バストアップ、カメラ引いたロングで俯瞰、2人の周りをカメラグルグル回らせる。そんな少ないカメラワークのパターンだけで持たせようとしてるんですよ。正気か?! ほんとつまんない画面!
 
 同じノイタミナ作品の『PSYCHO-PASS』にも通じるようなディストピアンワールドや百合要素、声優陣の熱演、特にミァハを演じる上田麗奈さんの演技は、何ものにも代えがたい、これぞミァハという憑依っぷりでとても良い。しかし画面にそれを受け止める魅力が無いものだから冷めてきちゃう。冷めてきちゃうと「なんでこいつ薄暗い所でグラサンしてんねん」とか「この床まで透明な素材で出来てる通路、パンツ丸見えやな」とかどーでもいい事ばっかり残酷に見えてきちゃう訳ですよw あ、脳の作りがどうとかリアリティーラインがそこそこ高そうな事言ってるのに、様々な描写でそのラインがあやふやになってるのも気になる。
 
 ま、ともかく画面作りのダメさが面白さをモリモリ削いでる作品だと僕には受け取れました。あとあのラストは原作読んでないとい意味わかんないんでない? EDテーマの美しさが上滑りしてしまった悲しさ。


 
52位:シンデレラ
 荻上チキ氏が「今までのディズニーのお約束をかわした上で提示された、これからの時代の生き方」と評した『アナ雪』。そして『イントゥ・ザ・ウッズ』で古典の解体を行ったディズニー。

 でも本作はごくごく正統派のシンデレラ。特に大きな捻りもなく、「知ってる話じゃん」と正直退屈には感じました。継母役のケイト・ブランシェットヴィランぶりは流石でしたが。真っ赤なルージュで印象的に彩られた唇を、いやらしく歪めてニターリと微笑むあのツラ!

 ただ『アナ雪』日本語版で一躍有名になったフレーズ「ありのまま」が、本作のラスト付近で台詞として、何度か繰り返されるんですよね。『アナ雪』でも『Let it Go』の和訳は、日本向けで随分原語とニュアンスが違うらしいですが、本作の「ありのまま」も『アナ雪』を意識してぶっこまれた訳なんじゃないか? となーんかそういうふうに邪推しちゃって、その辺りでちょっと醒めちゃったんですよね。事実は判んないですけれど。


 
53位:96時間 レクイエム
 アクションが出来ない人をアクションしてるように見せる、例のカット割りが多いチャカチャカした撮り方な上に、アクション自体のボリュームも減ってる感。まぁリーアム・ニーソンもいい歳だしね……。
 
 ニーソンが警察をまく描写は沢山あるので、逃走者が追手を出し抜く描写好きとしてはウキウキできたんだけど、手段に今ひとつ説得力が足りないのでピンとこない。あと刑事役のフォレスト・ウィテカーに「あれ、なんか別の映画でも見たな……。」という既視感をバリバリ覚えるのは僕だけではないでしょうw
 
 
 
54位:イントゥ・ザ・ウッズ
 おとぎ話の登場人物をアッセンブルしては見たものの……。軸をどこに置くかを全く定めておらず、フラフラしたまま終盤になだれ込み、伏線回収も特に成されずそのままEND。なんじゃこりゃ!

 なんでこうも脚本が雑かね! 森が舞台だから絵的にも地味! 後半の特撮オタなら燃える展開もあっさりすぎ! ジョニー・デップの出番なさすぎ!(ギャラの都合?)

 お話の出来はひっどいけれど、役者陣の熱演と歌唱力は流石っすよ。メリル・ストリープには惚れ惚れします。我らがクリス・パインもこんなに歌えるとは思わなかった! あと元々舞台作品な所為か、舞台演劇っぽい画面の使い方は面白かった。
 
 
 
55位:チャーリー・モルデカイ 華麗なる名画の秘密
 残念ながらジョニデ主演作の中では屈指の駄作と言わざるをえません。コメディなのに笑い要素がひたすらお寒い……。いや、役者陣は好演してますが、脚本・演出がダメですね、これ。途中退席しようかと何度も考えました。
 
 笑顔になると美人度三割増し、背中が色っぽいグウィネス・パルトロー(ペッパー・ボッツ!)、久しぶりに顔を見たぞポール・ベタニー(J.A.R.V.I.S!)と、妙にアイアンマン俳優がメインどころに居たという、本編とは関係ない所「しか」楽しめません。今年のワースト!

 
 
 
 
 という訳で、以上が全55作品の順位でした。いやー、なるべく地雷っぽい映画は避けてるつもりなんですがねぇ、後半はクサしまくってしまって申し訳ない。でもそう感じたんだもの。
 今年2016年も、素敵な作品に出会えますように。いやー、映画って、本っ当に、いいものですね!